中根成寿「kintoneを利用した社会福祉実習(ソーシャルワーク実習)記録の電子化の方法と意義ver.1.0」『京都府立大学学術報告(公共政策)』第 13 号,2022,pp.175-187

昨日、こんなエントリーがTwitterに上がりました。「実習×kintone」!!

中根成寿「kintoneを利用した社会福祉実習(ソーシャルワーク実習)記録の電子化の方法と意義ver.1.0」『京都府立大学学術報告(公共政策)』第 13 号,2022,pp.175-187

https://researchmap.jp/naruhisa/published_papers/36273953


京都府立大公共政策学部福祉社会学科の相談援助実習において、一部の学生に対して実習先の協力も得た上で実習記録をkintoneで電子化して実習に望んだ実践報告。面白くて、つい職場からの帰り道で全部読んでしまいました。

以下、厳密に引用せずメモ。

■参考になったこと
・ライセンス管理(養成校教員・実習指導者・実習生の3者における一般ユーザーとゲストアカウントの使い分けと値段、フィールドの権限付与の仕組み)
・実際の画面上の運用(視認性、同時閲覧性・リアルタイムに確認ができるメリット)
・変更履歴・変更箇所の履歴
・手書き注釈はアプリで対応可能(デバイスとペンの機能で大分差が出るかも)
・中根氏のreserchmapにテンプレートを公開している
・ベンダーに依頼せず、自分たちで必要に応じてシステムを変更できる

■課題
・実習生が、スマホで実習記録を確認したり入力する姿が職場内で共有されていないとマイナスに評価されてしまうリスクがある。
・実習生が、実習中にスマホを持ち歩きにくい。
・指導者と実習生が電子媒体を持ち合わせていないと、実習記録をその場で共有しながら話が難しい。

きちんと、課題も明記されているところが素晴らしく、これを踏まえて今後どうするかを読者も含めて考えることができる。

kintoneでも、他のツールでも良いがこの様に電子化に関する議論が活発に論文上で成されることを切に願う。

拙論も電子化については、以下3論文執筆しています。

・樋渡貴晴「当法人における医療ソーシャルワーカー間のOneNoteを用いた知識共有の試み」日本医療社会福祉協会『医療と福祉』№106,Vol.53-№2,2019,pp.8-16
・樋渡貴晴ほか(筆頭著者)「社会資源データベースを用いた社会資源情報標準化の試み」愛知県医療ソーシャルワーカー協会『医療ソーシャルワーク2009』96,第57巻,第1号,2009,pp.23-29
・樋渡貴晴ほか(筆頭著者)「支援相談員業務データベース開発の現状と今後の課題」愛知県医療ソーシャルワーカー協会『医療ソーシャルワーク2008』2008,pp.31-40

また、現在法政大学にいらっしゃる元老健支援相談員の間嶋健さんの次の論文も公開当時大変刺激を受けました。

間嶋健「MSWの各種記録が統合された電子記録システムの構築における研究」『ソーシャルワーク研究』40(1),2014,pp.73-79