第6回 医療職のための統計セミナー 「事例から論文の読み方を学ぼう」(2022.1.29)

本日は、厚生統計協会主催の第6回 医療職のための統計セミナー 「事例から論文の読み方を学ぼう」をオンラインで受講した。

www.hws-kyokai.or.jp

■学んだこと・考えたこと

〇なぜ論文を読む必要があるのか?
・実践的な医療知識は、診療・看護マニュアルを読めば習得できる
・診療ガイドラインやUpToDateなど論文の二次資料を読めば、意識が高い医療従事者にはなれる。
→「知識の習得」のためには、特定の医学・看護論文を読む必要はあまりない

〇論文を読む目的

1.臨床でもEvidence Based Medicine/Nursingを実践するため
・非千野臨床現場はクリニカル・クエスチョン(臨床疑問)が溢れている
・二次資料をあたっても解決できないクリニカル・クエスチョンに答えるために原著論文を読む。
・患者への適応(エビデンスの実臨床への応用)を考える際に、論文の批判的吟味は必須。

2.自ら論文を書くため

・クリニカル・クエスチョンに明確に答える原著論文が少ないことがわかれば、自らエビデンスを気づくべく臨床研究にトライする。

・自ら研究を行うにあたって、より徹底的な先行研究のレビューを行う必要がある。

先行研究で用いられた疫学手法や統計手法を参考にする。

ソーシャルワークにおいても、臨床家の全員が必ずしも原著論文ばかりを読むことができる訳でも・したい訳でもない。きちんと更新されるソーシャルワークに関するガイドラインやUpToDateが充実すればそれでよい。しかし、残念ながらこの業界にはそれがないのがウィークポイントだと常々思っている。共通の分析枠組み・支援ツール・共通言語が育つ土壌が築きにくい。なお、日本社会福祉士会や日本精神保健福祉士協会など各職能団体でも様々なツールを開発してくれているが、会員以外が目にする機会がなくもったいないことになっている様に思う。

ソーシャルワークに関する最新の知見を紹介するソーシャルワークに関する月刊誌や、今日の治療指針UpToDateの様な常に更新され続ける有償オンラインサービスを出版社の協力を得て販売し、臨床家がそれを購読するという循環が必要である。

〇質の高い研究を見つけるための近道は?

・臨床では、「確実でかつ意義のある研究」を1編見つけるために200編強の論文を読んで吟味する時間はない!!

・対象とするテーマの核となる研究論文から読み始めましょう!

・読んだ論文のreferenceから孫引きする

・UpToDateなどの二次資料源のreferenceから検索する

・「有効」で「質の高い」ガイドラインの引用文献から検索する

一流紙に絞って論文を検索するなら、Chrome拡張機能であるPubmed Impact Facterがある。

www.noguchilabo.com

〇論文構造(IMRAD strucutre)

Introduction(序文)

Methods(方法)

Results(結果)

and

Discussion(考察)

〇PICOに落とし込んで整理する

Patient/Population

Exposure/Intervention

Comparison/Control

Outcome

PICOは主に介入研究の論文で効果的な認識ツールだが、ソーシャルワーク研究の場合は、実態調査が主のため、フィットさせにくい。但し、近年のプログラム評価の考え方を取り入れたソーシャルワーク介入プログラム開発であれば、十分に介入研究は成立するものと考える。他にも、芝野松次郎氏のD&Dでも成立するであろう。

繰り返しになるが、研究が研究のままで終わらない様にするためには、職能団体・養成校・研究者・学会が生み出した成果物を横ぐしを刺して分かりやすく紹介する雑誌・UpToDateが必要だと考える。なおこの場合、児童・障害・高齢・医療・地域などに分けず分野横断的なものであることが望ましい。何故なら、厚生労働省社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会『ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について』平成30年3月27日でも指摘された通り分野横断的な支援がソーシャルワーカーに求められているという実務的な理由と、分野ごとの媒体にするとマーケットが小さくなり過ぎて出版社が採算が合わないという経営的な理由と2つからである。