先行研究の収集方法

最近、他職種や大学で同期だった友人から先行研究の収集方法について問い合わせが多いので、ここに掲載します。あくまでも私のやり方なので、「こんなやり方もあるのね」という程度に参考にしてください。 ①調べたいテーマを具体的に設定する この作業で、調べたいテーマに関連するキーワードを選びます。私の場合、4/2の記事でも紹介したように、「老人保健施設/在宅復帰/介護力」というキーワードを設定します。これをやらないと、情報の洪水に巻き込まれて、情報収集にきりが付かなくなりますのでご注意を。 ②-1国立国会図書館http://opac.ndl.go.jp/index.html)で論文を検索する 論文を探す場合には、上記のデータベースを利用(無料)して探します。ここに①で設定したキーワードを入力し、該当した論文をリストアップしましょう。 この様なデーターベースは他にも有力なものがありますが、いずれも有料ですので、大学の図書館や大きな病院の職員用図書館でしかなかなか使えません。ここに出てこない論文もたくさんありますので、ご注意下さい。 ②-2国立情報学研究所http://webcatplus.nii.ac.jp/)で書籍・研究報告書を検索する 書籍・研究報告書(以下、書籍等)を探す場合には、上記のデータベースを利用して探します。ここが便利なのは、該当する書籍等がどこの大学図書館に所蔵されているのかまで教えてくれるところです。 ②-3②-1.2で収集した文献・書籍・研究報告書に引用されていた先行研究を取り寄せる この作業が、一番手っ取り早い方法だと思います。多くの論文で取り上げられている同一の先行研究は、恐らくその分野では、「手堅い」研究ですので、先行研究がたくさんありすぎてよく分からない、という時には、まずは、その先行研究から熟読すべきでしょう。 ③入手方法 上記②で大体取り寄せたい先行研究のリストアップができたら、いよいよ入手する段階に移ります。大別してa.大学等図書館でコピーする、b.文献複写サービスを利用して送ってもらう、c.購入する、d.所蔵している大学等図書館から借りる、e.研究主体から取り寄せる(有料)という方法が挙げられます。以下、順に説明します。 a.大学等図書館でコピーする 自分が卒業した大学等に付属する図書館に直接出向いて、所蔵されている該当先行研究をコピーします。大抵の図書館は、インターネット上で、所蔵雑誌・研究紀要などを掲載しているので、まずは、該当先行研究の掲載されている雑誌等がその大学等図書館に所蔵されているかを事前にチェックしましょう。図書館まで行く時間・金銭的コストはかかりますが、確実に先行研究が収集できます。なお、書籍の全コピーは、著作権に違反しますのでタブーです。注意しましょう。 b.文献複写サービスを利用して送ってもらう 仕事や地理的な事情でa.の方法を取れない場合に、この方法があります。全国にある図書館はネットワークで繋がっています。自分が出向いた図書館に該当する文献が無かった場合に、図書館からそのネットワークに問い合わせると所蔵している図書館が文献をコピーして郵送で送ってくれるサービスがあります。1枚10~50円位のコピー代+送料がかかり、若干高くつきますが、a.のコストを考えると、逆にこちらの方が便利だったりします。ただし、この方法は、だれでも利用できません。大学の研究生(1年間単位)になるか、大きな病院であれば、職員用図書館の文献複写サービスがあればそれを利用するか、先述の国立国会図書館から取り寄せるかといった条件をクリアする必要があります。なお、医師会や看護協会では、独自の文献複写ネットワークを持っているので、知人の医師・看護師に依頼するのも1つの方法です。 c.購入する 書籍については、amazonhttp://www.amazon.co.jp/)や紀伊国屋http://bookweb.kinokuniya.co.jp/)などの大手書店のサイトを通じて購入ができます。図書館等で借りるよりは、手元に置いてその都度参照したい場合には、購入をお薦めします。 d.所蔵している大学等図書館から借りる ②でリストアップした、書籍等を所蔵している図書館に問い合わせて借りる方法もあります。都市内で勤務している方の場合は、仕事帰りにこの様な方法で借りて、チェックした上で購入を検討する方法もあります。中には、貸出禁止のものもあるのでご注意下さい。 e.研究主体から取り寄せる(有料) 研究報告書は、その性格上一般の流通市場にはほとんど出てきません。先行研究に引用されていたり、専門誌を読んでいるとそのサマリーが掲載されていたりして、存在を知ることになります。またその道の業界団体・研究所のサイトを定期的にチェックするのも1つの方法です。 該当する研究報告書が見つかったら、その研究主体もしくは出版元に直接問い合わせて、まずは報告書の在庫の有無を確認しましょう。在庫があれば、利用目的を説明し、送付先を教えれば、大抵送ってくれます。その場合には、報告書代・送料を負担することになります。