令和8年度診療報酬改定 個別改定項目について(社会福祉士・精神保健福祉士を中心に+関心ごと)

2026.1.23開催の、中央社会保険医療協議会 総会(第644回) 議事次第|厚生労働省

に、総-2個別改定項目について(その1)が掲載されました。807ページ。

追記 1.30 個別改定項目について(その3)が掲載されています。

以下、自分の問題関心に引き寄せつつコメントしたいと思います。急性期病院や大きな枠組みでの議論は他の先達の方々の記事をご覧あれ。

まずは、社会福祉士精神保健福祉士記載の項目から。

■入退院支援加算・精神科入退院支援加算

入退院支援加算と精神科入退院支援加算双方を届け出ている病院の場合、精神科入退院支援加算の専従・専任の精神保健福祉士社会福祉士資格を有する場合、入退院支援加算の専任・専従の社会福祉士を兼務することができると。

■介護支援等連携指導料

「居宅介護支援事業所等の介護支援専門員等との連携及び地域の入退院支援に係る情報共有等の規定」とは何かについて、施設基準待ちにはなるが、これまでの中医協での議論を踏まえると、市町村が実施する在宅医療介護連携推進事業等による「入退院支援ルール」の策定が条件になるであろうか。なお、施設の「2」はあくまで入退院支援加算1の届出を行っていることが前提となる。

〇コメント
「2」が何点高いかにもよるが、入退院支援ルールが未策定の市町村においては、自治体に声掛けし、各医療機関あるいは医療機関は市内の介護支援専門員らとの申し合わせによりルール策定が必要。「個別対応から仕組み化へ」は、今回の診療報酬改定で介護保険や障害者福祉との連携において共通するメッセージの様に感じる。

■療養・就労両立支援指導料

・算定可能な期間3か月→6か月に延長
・対象疾患の定めを廃止!!
・相談支援加算を現行の50点から引き上げる

〇コメント

誰もを悩ませる「当該患者と当該患者を雇用する事業者が共同して作成した勤務情報を記載した文書の内容を踏まえ」が今回も残った。誰が、この条件にこだわっているのか。この文章がトリガーとなっている限り、病院側は算定が難しい。色々緩和しても伸びは低調なままであろう。ちなみに、第10回NDBオープンデータ|厚生労働省によると令和5年度1年間で全国で「療養・就労両立支援指導料(初回)」は1,164回しか算定されていない。2回目以降は599回。「患者の求めに応じて」、「患者の同意を得て」という条件で算定で良いのではないか。その上で、雇用する事業者が勤務情報を記載した文章を提出する場合は、上位得点算定という構造の方が診療の流れとして自然である。という話を、平成30年度の創設以来8年間言い続けている。

 

 

■がん患者指導管理料

今回、大注目のがん患者指導管理料。(その1)では、がん患者指導管理料イにおいて、意思決定支援の文脈が加わり算定回数が1→2回に増える。しかし、肝心のがん患者指導管理料ロor新設ホで社会福祉士による算定については記載なし。あと、「イ」について、サラッと「入院中の患者以外の」が削除され、入院中の末期の悪性腫瘍患者も算定対象となっている。この文言は「イ」以外のがん患者指導管理料も同様となるか今後注目。

 

これは2月下旬〜3月上旬頃の告示・通知待ちですね。

■精神病棟入院基本料 精神病棟看護・多職種協働加算

精神病棟入院基本料及び特定病院精神病棟の13対1、15対1の看護基準において、精神保健福祉士作業療法士・公認心理士を配置した場合を評価。冒頭では、「多職種の配置による質の高い精神医療の提供を推進する観点」と謳っているが、施設基準は看護職員に精神保健福祉士作業療法士・公認心理士を含めて13対1、15対1のカウントをしているため、後述の急性期一般入院料 看護・多職種協働加算同様に看護配置基準の緩和が本命であろう。

急性期一般入院料 看護・多職種協働加算では公認心理士・社会福祉士の記載はないが、本加算が一つの実験場になる。

■精神科地域密着多機能体制加算

精神科地域包括ケア病棟入院料を廃止(経過措置あり)。1・2においては、施設基準で精神保健福祉士が必置。3は「精神保健福祉士作業療法士又は公認心理師が合計●●名以上配置されていること。」という記載。

■精神科リエゾンチーム加算

対象が、認知症又はせん妄の場合であったが、それ以外の精神疾患にも対象拡大して点数として「2」を創設。また、「2」について、週2回以上のリエゾンチームの診療について複数回診療加算を創設。精神科リエゾンチームの活躍が広がるか。

精神保健福祉士の病棟の専従要件の見直し

これは、論点の整理のポストで私は「病棟をまたいで継続支援できる仕組み」と書いたが読み込み間違い。より範囲は広く、病棟専従であっても別病棟以外に、病棟外での当該病棟の患者の支援も認められる。これは、身体科病院においても、精神保健福祉士同様に年齢を問わず様々な患者の退院を見越した生活支援(身寄りのない患者宅へ貴重品を取りに訪問する、手続きのため行政へ同行するなど)を行う社会福祉士にも是非認めて欲しい内容である。本要件見直しを導いた精神保健福祉士協会の調査研究活動は流石。クリニックや外来勤務の精神保健福祉士による支援への診療報酬評価「精神科継続外来支援・指導料」についで、病棟勤務の精神保健福祉士の活躍を期待したい。SNSでは病棟勤務の精神保健福祉士の減少を嘆く声も多いが、マクロではそれほど減少はしていない。MSW同様、必ずしも地域と顔の見える連携ではなく病棟での業務で完結してしまっている人が増えているのかもしれない。

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出典:第622回中医協総会

■入退院支援加算

まずは、地メディ・地ケア・回復期入院料向けの入退院支援加算の創設。一般病床は基本的に転院が多くなる(無論、医療機器を付けたままの濃厚な自宅退院支援もある)が、それ以外の病棟では治療やリハビリを終え、具体的に自宅や施設へと退院支援するため当然手間がかかる。それを評価してくれるのはありがたい。地パスの検査・画像情報提供は通常行っていることなので点数が付くことはありがたい。

病棟配置の看護師確保にどこの病院も苦労している。入退院支援加算の看護師配置要件を廃止することを強く望む。

朝日新聞記事対応として、施設基準において、「入退院支援を行うにあたり、保険医療機関から退院先となる介護保険施設等への誘導を行うことによって、当該介護保険施設等から金品を収受し、誘引その他の財産上の利益を収受していないことを施設基準に規定」される。当然のことだが、わざわざ追記したということは全国でみればありうるのか。大病院の場合、入退院支援加算だけで1億規模の入院収益となるため、施設基準違反となれば病院経営に大きな影響を与える。退院支援に関わる、入退院支援部門の社会福祉士・看護師や病棟の医師・看護師は十分に気を付けること。

関連して、今回の診療報酬改定で「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」が改正され(p327)、「特定の主治の医師及び特定の事業者等への誘導の禁止」及び「経済上の利益の提供による誘引や誘導の禁止」について義務付けられる。判明すれば指定取り消し・診療報酬の返還にあたる。警告と理解すべき。

なお、医薬品や医療機器の購入にまつわる「金品の収受、誘引その他の財産上の利益の収受」についてはお咎めがないことと整合性のなさに違和感は甚だ残る。

退院困難な要因の、「ウ」に「又は現に認定を受けていているが、認定を受けている要介護状態区分若しくは要支援状態区分以外の区分に該当する疑いがあるが変更の申請がされていないこと」を追記。また、「タ 患者の意思決定支援及び退院後の生活に向けた調整を行うに当たって、家族及び親族との連絡が困難であること 」が新設。各病院の電カルのスクリーニングシートまたは様式の修正を。

今回注目しているのが、面会規定。面会が増えれば患者・家族から色々尋ねられることが増え、病棟の業務が止まってしまうことから、コロナが5類になった今でも感染症対策を理由にどこの病院も面会制限を厳しくしたままになっている。一方、有料老人ホームは面会制限がないところが多い。入院基本料等の通則に載ったのであれば、わざわざ入退院支援加算の施設基準に規定するのはトートロジーではないかと思う。「入院中の患者とその家族等との面会は、患者の療養生活の質の向上及び尊厳の保持に資する」という大変重要な一文は、本来入院通則に記すべき内容であろう。

■急性期一般入院料 看護・多職種協働加算

今改定の目玉の1つ。急性期一般入院料1(7:1看護)において、病棟に理学療法士作業療法士言語聴覚士・管理栄養士・臨床検査技師のいずれかを配置すれば、看護師の配置が7:1でなくても良いという施設基準。人口減少時代にこれまでの看護配置基準と異なる基準の先駆けとなりそう。

「看護職員を含む多職種が協働して専門的な観点から適時かつ適切に専門的な指導及び診療の補助を行う体制を整備」とされているところが重要であり、看護業務の療養上の世話は含まれていない。なお、診療の補助の概念図は以下が分かりやすい。

第3回 医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会 令和元年11月20日
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000568229.pdf


ちなみに、療養上の世話の定義は、以下の通り。

療養上の世話は、療養中の患者に対して、病状の観察をしながら食事や排泄、更衣、清潔の保持、移動、活動と休息、環境整備などの日常生活に対する援助

出典:日本看護科学学会

つまり、今回の加算で看護師以外の専門職が、代わりに療養上の世話をするということではない点が重要である。

「(7) 当該病棟において各医療職種が専門性に基づいて業務を行う体制が整備されていること。」とあるが、専門性を発揮しすぎると、単に病棟看護師が減るだけにもなってしまう。

療養上の世話でもなく、専門性に基づいた業務だけを行うのでもない。両者の間でどのようにバランスがとれるのか。また各職種の部門長は自分の部下が専門職として専門性を発揮できるよう、看護部と綿密な打ち合わせが必要。精神科同様、退院支援業務として社会福祉士もここの職種に加わるかは今後の経過次第。
 

■回復期リハビリテーション病棟入院料

「入院料1を届け出ている病棟を対象に、実績指数、排尿自立支援加算の届出及び退院前訪問指導の実施割合等を要件とする回復期リハビリテーション強化体制加算を新設する。 」とされ、基本料に包括されていた退院前訪問指導料が出来高算定に(但し、入院時訪問指導加算と併算定不可)。本指導料を含め他の要件もクリアした場合に、新たに体制強化加算を算定可能となる。しかし、ここまできて肝心の退院前訪問指導料の実績要件は「ハ 退院前訪問指導について、十分な実績を有していること。」とほんわかした書きぶりに。あとから数が追加される?

■回復期リハビリテーション病棟における高次脳機能障害者に対する退院支援の推進

回復期リハビリテーション病棟入院料1から5、回復期リハビリテーション入院医療管理料および特定機能病院リハビリテーション病棟入院料のすべてが対象。障害者総合支援制度との連携が求められるが、障害支援区分の認定が自治体によって認定審査会の頻度が少なく、退院までに区分認定が下りず、介護保険の様にスムーズに利用できない問題が残ったままの見切り発車となっている。利用実績が求められる訳ではないので算定上問題ないが、実際の支援においては何ら改善しないことがもどかしい。

 




療養病棟 医療区分

悪性腫瘍以外の一定の要件を満たす慢性呼吸器疾患、末期心不全、末期腎不全患者への医療用麻薬の投与による疼痛コントロールが必要な場合を医療区分3に追加。

療養病棟入院基本料2の施設基準で医療区分2・3患者割合を現行の5割から6割とする件は中医協協議の段階から診療側も認めており既定路線だった。経過措置付き。

■包括期充実体制加算

入退院支援加算1を算定している地域包括医療病棟および地域包括ケア病棟(いずれもる急性期病院一般入院料及び急性期一般入院基本料を算定する病棟を有しない病院)かつにおいて、在宅医療や介護保険施設からの入院を後方支援として行うに十分な体制と実績を有する場合の加算として新設。注目の加算であるが、果たして何点がつくのか。金額が多くなければそこまで食いつくこともないかもしれない。施設基準がほんわかしているが、今後もう少し具体的になるのか。

■協力対象施設入所者入院加算

協力対象施設入所者入院加算については、大幅に施設基準が緩和される。第1に「入院受入れを行う保険医療機関に所属する保険医がICTを活用して当該患者の診療情報及び病状急変時の対応方針を常に確認可能な体制を有している場合」、「当該入所者の診療情報及び急変時の対応方針等の共有を図るため、年3回以上の頻度でカンファレンスを実施していること」とされていたが、これを年1回でよいと。
第2に、第1のようにICTを活用していない場合は、「1月に1回以上の頻度でカンファレンスを実施」とされていたが、これを「年に3回以上の頻度でカンファレンスを実施していること。」に緩和。加えて、「ただし、当該介護保険施設等において入院の必要性が認められた入所者の入院を、年に2件以上受け入れた場合には、カンファレンスの実施は年に1回以上の頻度であれば良いこととする。」と大盤振る舞い。
最後に、「(2)のアの(ロ)及び(2)のイに規定するカンファレンスは、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施しても差し支えない。また、当該カンファレンスが別添3の第26の5の1の(4)に規定する入退院支援加算1における連携機関とのカンファレンスを兼ねることは差し支えない。」とも書かれているので、特別にカンファレンスしなくても、普段連携している介護保険施設の場合は、兼ねても良いことに。凄い楽になりますね。ソーシャルワーカー部門でしっかりとリードできれば良いと思います。

 

ちなみに、「別添3の第26の5の1の(4)に規定する入退院支援加算1における連携機関とのカンファレンス」とは、以下の通り。

概要図はこちら。

■地域包括ケア病棟における初期加算等の 評価の見直し

在宅患者支援病床初期加算の「救急搬送された患者又は他の保険医療機関で区分番号C004-2に掲げる救急患者連携搬送料を算定し当該他の保険医療機関から搬送された患者」縛りを緩和し「緊急入院した患者」に。これは結構算定対象が広がるので助かる。さらに、「それ以外の患者に対する初期加算を急性期患者支援病床初期加算を参考に見直す」とある。素直に読めば、受け入れ側医療機関の許可病床数が400床以上と未満で点数を2段階に分けることを意味する。正式には告示・通知公表を待つ。

「B005退院時共同指導料2及びB005-1-2介護支援等連携指導料について、包括範囲から除外する。」は予想通りとなった。地ケア病棟入院料1の施設基準である在宅医療の提供実績の要件候補の1つである退院時協働指導料2のカウントができるようになったので、実績クリアが楽に。これによって在宅医療等の実績要件が上がる!?告示・通知公表時に注目。

なお、在宅医療等の実績を上げた令和4年度診療報酬改定では、同年9月末までの経過措置があった。これが踏襲されるか注目。

■地域包括ケア病棟 リハビリテーション・栄養・口腔連携加算

人員の余裕と地ケア病棟に相当の入院予定があるなら増収が見込める。逆に両方を満たさなければ見送りの加算。

詳細は、2月下旬~3月上旬の告示・通知で確認となります。また、中医協で揉んで多少修正が加わるかどうか。


■救急患者連携搬送料の見直し

・入院前に搬送を行う場合の評価を引き上げる
・自院等の救急自動車以外を活用して搬送する場合についても評価の対象とする
→医師、看護師又は救急救命士が同乗しない、「その他の場合」を新設
・搬送先医療機関において入院医療を行うことについての評価を新設
・医師、看護師又は救急救命士が同乗して長時間(30分以上)搬送を行う場合の評価を新設

〇コメント
かなり大幅に変更が行われている。

医師、看護師又は救急救命士が同乗しない、救急患者連携搬送料1のロ「その他の場合」であるが、これはGemMedの記事にあった通り、1つ目は民間事業者を活用した転院搬送(民間の救急搬送)を想定したものと考える。金額設定にもよるが、民間事業者の搬送料を、本搬送料で病院が支払うのか、患者家族に別途支払わせるのかは不明。疑義解釈が必要となるであろう。報酬の金額がそこそこ大きければ、民間事業者の搬送料を患者・家族に支払わせた場合、二重取りの批判を受ける可能性がある。2つ目は搬送先の医療機関が救急患者連携搬送料2のイを算定して患者を迎えに来た場合を想定したものと考える。

民間事業者の費用を患者家族に支払わせるかは、急性期病院側では回避した分、手術などが必要な中重度の患者用のベッドを確保してより入院1日当たりの診療報酬増を見込むか。

搬送先医療機関において入院医療を行うことについての評価は、中医協で診療側が提案した通り、入院を受入れる側の医療機関の医師・看護師・救命救急士が自院の救急車両(こちらは民間事業者による搬送を想定する文言がない)で迎えに行く場合の評価を「救急患者連携搬送料2」のイとして新設。併せて、救急患者連携搬送料1で紹介され、自院の医師・看護師・救命救急士が救急車両で迎えに行かず入院を受入れた場合を想定して、「救急患者連携搬送料2」のロを新設。こちらは、受け入れが地ケア病棟の場合、在宅患者支援病床初期加算との併給は可能か、要フォロー。


訪問看護基本療養費等
営利に走りすぎた一部訪問看護ステーション・高齢者住宅に対する対策(その1)

訪問看護基本療養費等の算定要件に「標準の時間を下回る指定訪問看護の実施が、同一日に、同一の利用者に複数回又は複数の利用者に行われるなど、頻繁に行われている場合には、指定訪問看護を実施したとは認められない」が新設。30分未満の定型的・画一的な訪問看護を算定対象外に。

■指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の見直し
営利に走りすぎた一部訪問看護ステーション・高齢者住宅に対する対策(その2)
「特定の主治の医師及び特定の事業者等への誘導の禁止」及び「経済上の利益の提供による誘引や誘導の禁止」について義務付けると。
12年前、高齢者施設の入居者への訪問診療を行うため、医療機関側が施設に対してキックバックを支払う社会問題が発生した際、療担規則の改正でこれが禁止されたことの、訪問看護版になります。

保険医療機関及び保険医療養担当規則の見直し 

営利に走りすぎた一部訪問看護ステーション・高齢者住宅に対する対策(その3)

先述の通り、医療機関側が高齢者住宅に対して患者を紹介してもらった見返りとしてキックバックを禁止したことに加えて、反対に高齢者住宅や訪問看護等から医療機関キックバックをもらうことも禁止する旨療担規則を改正。これらにより、双方を規制。


訪問看護管理療養費の見直し

営利に走りすぎた一部訪問看護ステーション・高齢者住宅に対する対策(その4)

1月当たりの訪問日数及び単一建物に居住する利用者数によって評価を細分化。


■同一建物に居住する利用者への訪問看護の評価の見直し 

営利に走りすぎた一部訪問看護ステーション・高齢者住宅に対する対策(その5)

同一日に同一建物居住者である利用者に対して、訪問看護サービスを提供した場合に算定する訪問看護基本療養費(Ⅱ)について、批判の多かった短時間で複数回訪問をして稼ぐ事業者のハックを阻止。

 

■包括型訪問看護療養費の新設

営利に走りすぎた一部訪問看護ステーション・高齢者住宅に対する対策(その6)

高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションからの訪問看護について包括支払い制度を新設。わざわざ当該住まいに居住する利用者の定義を「特掲診療料の施設基準等別表第7に掲げる疾病等の者、同別表第8に掲げる者に該当する利用者又は特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者に限る。」としている点がにくい。

無論、真摯に対応している高齢者住宅・訪問看護ステーションもあるため診療報酬は採算がとれる程度には設定するはず。

これら6つの対策により、この10年近く社交場でお見かけした煌びやかなお召し物を纏った訪問看護ステーション管理者ないしばグループ経営者にお会いすることは減るであろうか。障害者分野の業者同様、制度の裏をかくビジネスモデルなので、厳しくなれば次の狩場に移るだけではある。制度改定まで積極的に利益を得るという点では淡々としている。その真似をしていた事業者は次に移行できず潰れていくであろう。これだけ社会問題になったにもかかわらず、日本看護協会全国訪問看護事業協会は一切、公式見解を示すことはない。有料老人ホームからの金銭授受問題で会員かどうかも分からないMSWが新聞記事に出たことで、実態調査や会長コメントをした日本医療ソーシャルワーカー協会は誠実なのか、またはまだまだ大人の団体になりきれていないのか。

我々MSWとしては、今回の一連の改正により真面目にケアに当たっていた高齢者住宅と異常なほどに入居費用を低く抑えていた高齢者住宅を見極めて患者・家族に紹介する必要がある。ただし、根本にあるのは介護保険施設以外の高齢者住宅は「負担限度額認定(食費・居住費の軽減制度)」がなく、低所得者が入居する選択肢にならないといった費用の問題。また、化学療法や高額な治療の外来へのシフトによりそのことと包括報酬の病院や介護保険施設との相性の悪さといった制度の問題があり、この2点の合わさるところに高齢者住宅ビジネスのニーズがあった。営利に走りすぎた一部訪問看護ステーション・高齢者住宅が多少いなくなったとしても、このニーズ自体は残ったままなので、治療をあきらめて包括点数の病院・施設に入るか、家族が無理をして自宅で見続けるしか方法がないことを意味している。この点は重要な社会問題である。

 

■看護補助者に係る加算の名称の見直し
看護補助体制充実加算は、看護補助・患者ケア体制充実加算に名称変更。介護分野の様に徐々にではあるが、看護師との独立性が制度上出てきた。

■障害者施設等入院基本料における看護補助者に係る加算の見直し
看護補助加算及び看護補助・患者ケア体制充実加算(旧看護補助体制充実加算)について、障害者施設等入院基本料では、これまで入院30日以内しか算定できなかった。それを、障害者施設等入院基本料2(10:1)以上の場合は、点数は下がるものの31日以降も算定可能に。看護補助・患者ケア体制充実加算1について、仮にロの半額の75点であっても、50床計算で50床×75点×30日=112万5千円。施設基準を満たすために人件費が増えてもそれを上回る収入。




■ICT等の活用による看護業務効率化の推進
見守り機器・看護記録・インカムの3点セットが揃っていれば、看護職員に対する看護師の比率等について、1割以内の減少でも入院基本料等の基準を満たすことにすると。既に、令和6年度介護報酬改定で特定施設入居者生活介護(24時間体制で介護サービスや生活支援を提供する形態の有料老人ホーム、ケアハウス、サ高住、養護老人ホーム)に認められた施設基準要件を、他の介護保険施設よりも先行して、いきなり病院本体に適応!!逆に言えば、次回介護報酬改定や障害福祉サービス改定時には入所系施設で全展開される可能性が高い。但し、何故か地ケア、療養、障害は対象外。









■全体を通して

印象として、入退院ルールの策定や介護保険施設等との協力関係の締結の上での定期的なカンファレンスのように、従来の個別ケースの評価に加えて、仕組み化されていることに評価がされる様になってきているという印象を持ちます。ソーシャルワーカー部門は新しい業務指針にもある通り、「組織内活動に係る業務」と「地域・社会活動に係る業務」として、個別支援のみならず、メゾレベルで院内と地域を結ぶ業務に病院の顔として活動することに取り組んで欲しいと思います。

地域包括ケア病棟として介護保険施設の協力医療機関になる際の検討事項

地域包括ケア病棟として介護保険施設の協力医療機関になる際の検討事項について、関係資料を掲載する。

 

医療機関介護保険施設の連携の令和6年診療報酬・介護報酬同時改定の全体像は、次のスライドの通り。

出典:令和6年度診療報酬改定の主なポイント

地域包括ケア病棟は今回の改定で、施設基準に以下の文言が追加となった。

(12) 地域において、介護老人保健施設、介護医療院及び特別養護老人ホーム(以下この項において、「介護保険施設等」という。) から協力医療機関となることを求められた場合、その求めに応じて当該介護保険施設等の協力医療機関として定められることが望ましい。 

出典:施設基準

 

あくまでも「望ましい」であり、義務ではない。そして次回改定でこれが義務規定になるかは分からない。協力医療機関数や協力の内容については詳細記載はない。

 

一方、介護保険施設側は、もともと以下の施設基準がある。なお、施設は老健を例とする。

(協力医療機関等)
第三十条 介護老人保健施設は、入所者の病状の急変等に備えるため、あらかじめ、次の各号に掲げる要件を満たす協力医療機関(第三号の要件を満たす協力医療機関にあっては、病院に限る。)を定めておかなければならない。ただし、複数の医療機関を協力医療機関として定めることにより当該各号の要件を満たすこととしても差し支えない。
一 入所者の病状が急変した場合等において医師又は看護職員が相談対応を行う体制を、常時確保していること。
二 当該介護老人保健施設からの診療の求めがあった場合において診療を行う体制を、常時確保していること。
三 入所者の病状が急変した場合等において、当該介護老人保健施設の医師又は協力医療機関その他の医療機関の医師が診療を行い、入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること。
2 介護老人保健施設は、一年に一回以上、協力医療機関との間で、入所者の病状が急変した場合等の対応を確認するとともに、協力医療機関の名称等を、当該介護老人保健施設に係る許可を行った都道府県知事に届け出なければならない。

出典:介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(省令第40号)

第1号が相談対応、第2号が診察、第3号が入院である。第1・2号には常時の文言があり、第3号にはない。

更に、解釈通知では、以下の通り協力医療機関について述べられている。

29 協力医療機関
基準省令第 30 条は、介護老人保健施設の入所者の病状の急変等に対応するための協力医療機関をあらかじめ定めておくこと、新興感染症の診療等を行う医療機関と新興感染症発生時等における対応を取り決めるよう努めること、歯科医療の確保の観点からあらかじめ協力歯科医療機関を定めておくよう努めること等を規定したものであること。
協力医療機関の選定に当たっては、必要に応じ、地域の関係団体の協力を得て行われるものとするほか、介護老人保健施設から近距離にあることが望ましい。


⑴ 協力医療機関との連携(第1項)
介護老人保健施設の入所者の病状の急変時等に、相談対応や診療を行う体制を常時確保した協力医療機関及び緊急時に原則入院できる体制を確保した協力病院を定めなければならない。その際、例えば同条第1項第1号及び第2号の要件を満たす医療機関と同条第1項第3号の要件を満たす医療機関を別に定めるなど、複数の医療機関を定めることにより要件を満たすこととしても差し支えない。
連携する医療機関は、在宅療養支援病院や在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟(200 床未満)を持つ医療機関、在宅療養後方支援病院等の在宅医療を支援する地域の医療機関(以下、在宅療養支援病院等)と連携を行うことが想定される。なお、令和6年度診療報酬改定において新設される地域包括医療病棟を持つ医療機関は、前述の在宅療養支援病院等を除き、連携の対象として想定される医療機関には含まれないため留意すること。
また、第3号の要件については、必ずしも当該介護老人保健施設の入所者が入院するための専用の病床を確保する場合でなくとも差し支えなく、一般的に当該地域で在宅療養を行う者を受け入れる体制が確保されていればよい。
なお、協力医療機関との連携に係る義務付けの適用に当たっては、令和6年改正省令附則第6条において、3年間の経過措置を設けており、令和9年3月 31 日までの間は、努力義務とされているが、経過措置期限を待たず、可及的速やかに連携体制を構築することが望ましい。


⑵ 協力医療機関との連携に係る届け出(第2項)
協力医療機関と実効性のある連携体制を確保する観点から、年に1回以上、協力医療機関と入所者の急変時等における対応を確認し、当該医療機関の名称や当該医療機関との取り決めの内容等を開設許可を行った都道府県知事、指定都市又は中核市の市長(以下「許可権者」という。)に届け出ることを義務づけたものである。届出については、別紙1によるものとする。協力医療機関の名称や契約内容の変更があった場合には、速やかに許可権者に届け出ること。同条第1項の規定の経過措置期間において、同条第1項第1号、第2号及び第3号の要件を満たす協力医療機関を確保できていない場合は、経過措置の期限内に確保するための計画を併せて届け出を行うこと。

出典:厚生労働省『介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について』(解釈通知)


第1号(相談対応)・2号(診察)・3号(入院)は、全て同じ医療機関でなくてもよく、目的に応じて複数医療機関との契約でもよいとされている。また、この契約については、年1回以上の施設と医療機関による対応協議で良い。

しかし、 介護保険施設が協力医療機関連携加算を算定したい場合は、次の要件をクリアする必要がある。

⒀ 協力医療機関連携加算について
① 本加算は、高齢者施設等と協力医療機関との実効性のある連携体制を構築する観点から、入居者の急変時等に備えた関係者間の平時からの連携を強化するため、入居者の病歴等の情報共有や急変時等における対応の確認等を行う会議を定期的に開催することを評価するものである。
② 会議では、特に協力医療機関に対して診療の求めを行うこととなる可能性が高い入居者や新規入居者を中心に情報共有や対応の確認等を行うこととし、毎回の会議において必ずしも入居者全員について詳細な病状等を共有しないこととしても差し支えない。
③ 協力医療機関が居宅サービス基準第 191 条第2項第1号及び第2号に規定する要件を満たしている場合には⑴の 100 単位、それ以外の場合には⑵の 40 単位を加算する。⑴について、複数の医療機関を協力医療機関として定めることにより当該要件を満たす場合には、それぞれの医療機関と会議を行う必要がある。⑴を算定する場合において、居宅サービス基準第 191 条第3項に規定する届出として当該要件を満た
医療機関の情報を都道府県等に届け出ていない場合には、速やかに届け出ること。
④ 「会議を定期的に開催」とは、概ね月に1回以上開催されている必要がある。ただし、電子的システムにより当該協力医療機関において、当該施設の入居者の情報が随時確認できる体制が確保されている場合には、定期的に年3回以上開催することで差し支えないこととする。なお、協力医療機関へ診療の求めを行う可能性の高い入居者がいる場合においては、より高い頻度で情報共有等を行う会議を実施することが望ましい。
⑤ 会議は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器をいう。以下同じ。)を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
⑥ 本加算における会議は、指定居宅サービス基準第 191 条第3項に規定する、入居者の病状が急変した場合の対応の確認と一体的に行うこととしても差し支えない。
⑦ 看護職員は、前回の情報提供日から次回の情報提供日までの間において、居宅サービス基準第 186 条に基づき、利用者ごとに健康の状況について随時記録すること。
⑧ 会議の開催状況については、その概要を記録しなければならない。 

出典:厚生労働省『指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について』(課長通知)

体制に対する加算なので、定員100名の施設で仮に常に満床と仮定すると、100単位(円)×100名×365日=年間365万円の収入となる。なお、100単位はあくまで2024年度のみ。2025年度以降は50単位に変更となるため、年間182.5万円の収入。さらに、3要件を満たさない場合は、5単位に減額となり年間18.3万円の収入となる。3要件を満たさなければそれほど大きな収入源にはらない。また、大規模施設ほどスケールメリットがある。

電子的システムについては、Q&Aで以下の通り定義された。

○ 協力医療機関連携加算について
問3 協力医療機関連携加算について、「電子的システムにより当該協力医療機関にお
いて、当該施設の入居者の情報が随時確認できる体制が確保されている場合には、定
期的に年3回以上開催することで差し支えない」とあるが、随時確認できる体制とは
具体的にどのような場合が該当するか。
(答)

例えば、都道府県が構築する地域医療介護総合確保基金の「ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤の整備」事業を活用した、地域医療情報連携ネットワーク(以下「地連NW」という。)に参加し、当該介護保険施設等の医師等が記録した当該介護保険施設等の入所者の診療情報及び急変時の対応方針等の情報について当該地連NWにアクセスして確認可能な場合が該当する。
この場合、当該介護保険施設等の医師等が、介護保険施設等の入所者の診療情報及び急変時の対応方針等についてそれぞれの患者について1ヶ月に1回以上記録すること。なお、入所者の状況等に変化がない場合は記録を省略しても差し支えないが、その旨を文書等により介護保険施設等から協力医療機関に、少なくとも月1回の頻度で提供すること。

出典:厚生労働省『令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)』

このシステムが構築されていない自治体においては、概ね月1回の会議を開かなくてはならない。

協力医療機関連携加算については、こちらのQ&Aも参照のこと。

医療機関側が算定する協力対象施設入所者入院加算は、入院初日に以下の通り算定する。

協力対象施設入所者入院加算

1 往診が行われた場合 600点
2 1以外の場合 200点
注 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に
届け出た保険医療機関において介護老人保健施設、介護医療院及び特別養護老人
ホーム(以下この区分番号において、「介護保険施設等」という。)であって当該
保険医療機関を協力医療機関として定めているものに入所している患者の病状の急
変等に伴い、当該介護保険施設等の従事者等の求めに応じて当該保険医療機関又は
当該保険医療機関以外の協力医療機関が診療を行い、当該保険医療機関に入院させ
た場合に、協力対象施設入所者入院加算として、入院初日に限り所定点数に加算す
る。 

出典:算定要件

留意事項と施設基準は、以下の通り。

(1) 協力対象施設入所者入院加算は、介護老人保健施設、介護医療院及び特別養護老人ホーム(以下この項において「介護保険施設等」という。)において療養を行っている患者の病状の急変等により入院が必要となった場合に、当該介護保険施設等の従事者の求めに応じて当該患者に関する診療情報及び病状の急変時の対応方針等を踏まえて診療が行われ、入院の必要性を認め入院させた場合に、入院初日に算定する。
(2) 「2」については、「1」以外の場合であって、当該保険医療機関が当該介護保険施設等の従事者の求めに応じて当該患者(救急用の自動車等により緊急に搬送された者を除く)に対し、診療を行い、入院の必要性を判断して当該保険医療機関に入院させた場合に、所定点数に加算する。
(3) 当該保険医療機関と当該介護保険施設等が特別の関係にある場合、協力対象施設入所者入院加算は算定できない。なお、この項において「特別の関係」とは、以下に掲げる関係をいう。
ア 当該保険医療機関介護保険施設等の関係が以下のいずれかに該当する場合に、当該保険医療機関と当該介護保険施設等は特別の関係にあると認められる。
(イ) 当該保険医療機関の開設者が、当該介護保険施設等の開設者と同一の場合
(ロ) 当該保険医療機関の代表者が、当該介護保険施設等の代表者と同一の場合
(ハ) 当該保険医療機関の代表者が、当該介護保険施設等の代表者の親族等の場合
(ニ) 当該保険医療機関の理事・監事・評議員その他の役員等のうち、当該介護保険
設等の役員等の親族等の占める割合が 10 分の3を超える場合
(ホ) (イ)から(ニ)までに掲げる場合に準ずる場合(人事、資金等の関係を通じて、当
該保険医療機関が、当該介護保険施設等の経営方針に対して重要な影響を与えるこ
とができると認められる場合に限る。)
イ 「親族等」とは、親族関係を有する者及び以下に掲げる者をいう。
(イ) 事実上婚姻関係と同様の事情にある者
(ロ) 使用人及び使用人以外の者で当該役員等から受ける金銭その他の財産によって生
計を維持しているもの
(ハ) (イ)又は(ロ)に掲げる者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの

出典:留意事項

 

1 協力対象施設入所者入院加算に関する施設基準
(1) 当該保険医療機関単独で以下の要件のいずれにも該当し、緊急時の連絡体制及び入院受入体制等を確保していること。
ア 介護老人保健施設、介護医療院及び特別養護老人ホーム(以下この項において「介護保険施設等」という。)から協力医療機関として定められている保険医療機関(以下この項において「協力医療機関である保険医療機関」という。)であること。なお、協力医療機関である保険医療機関は、介護保険施設等の入所者の病状が急変した場合等において、当該介護保険施設等の医師又は当該保険医療機関若しくはその他の医療機関の医師が診療を行い、入院を要すると認められた入所者の入院を原則として当該保険医療機関が受け入れる体制を確保していることについて、当該介護保険施設等と取り決めを行っていること。
イ 協力医療機関である保険医療機関において、24 時間連絡を受ける担当者をあらかじめ指定するとともに、当該担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等、緊急時の注意事項等について、事前に介護保険施設等の管理者等に対して、提供していること。この場合において連絡を受ける担当者とは当該保険医療機関の 24 時間連絡を受けることができる部門を指定することで差し支えない。なお、担当者として個人を指定している場合であって、曜日、時間帯ごとに担当者が異なる場合には、それぞれ曜日、時間帯ごとの担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等を明示すること。
ウ 当該保険医療機関において、緊急時に介護保険施設等に入所する患者が入院できる病床を常に確保していること。ただし、当該保険医療機関が確保している病床を超える複数の患者の緊急の入院が必要な場合等、やむを得ない事情により当該保険医療機関に入院させることが困難な場合は、当該保険医療機関が当該患者に入院可能な保険医療機関を紹介すること。
(2) 次のいずれかの要件を満たすもの。
ア 次のいずれにも該当していること。
(イ) 介護保険施設等において、診療を行う患者の診療情報及び病状急変時の対応方針等をあらかじめ患者の同意を得た上で当該介護保険施設等から協力医療機関である保険医療機関に適切に提供されており、必要に応じて入院受入れを行う保険医療機関に所属する保険医がICTを活用して当該患者の診療情報及び病状急変時の対応方針を常に確認可能な体制を有していること。
(ロ) 当該介護保険施設等と協力医療機関である保険医療機関において、当該入所者の診療情報及び急変時の対応方針等の共有を図るため、年3回以上の頻度でカンファレンスを実施していること。なお、当該カンファレンスは、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施しても差し支えない。
イ 当該介護保険施設等と協力医療機関である保険医療機関において、当該入所者の診療情報及び急変時の対応方針等の共有を図るため、1 月に 1 回以上の頻度でカンファレンスを実施していること。なお、当該カンファレンスは、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施しても差し支えない。
(3) 介護保険施設等に協力医療機関として定められており、当該介護保険施設等において療養を行っている患者の病状の急変等に対応すること及び当該介護保険施設等の名称について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
(4) (3)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。
2 届出に関する事項(1) 協力対象施設入所者入院加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式 40 の 18 を用いること。
(2) 令和7年5月 31 日までの間に限り、1の(4)に該当するものとみなすこと。 

出典:施設基準

協力対象施設入所者入院加算に関する疑義解釈は以下の通り。

問 76 協力対象施設入所者入院加算及び往診料の「注 10」に規定する介護保険施設等連携往診加算の施設基準において、当該入所者の診療情報及び急変時の対応方針等の共有を図るためにカンファレンスを実施することとされているが、当該カンファレンスにはどのような職種が参加すればよいか。
(答)医師又は看護職員等の医療関係職種が参加すること。 

 

問 79 協力対象施設入所者入院加算及び往診料の「注9」に規定する介護保険施設等連携往診加算の施設基準において、「ICTを活用して当該診療情報及び急変時の対応方針等を常に確認可能な体制を有していること。」とされているが、具体的にどのような場合が該当するか。
(答)例えば、都道府県が構築する地域医療介護総合確保基金の「ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤の整備」事業を活用した、地域医療情報連携ネットワーク(以下「地連NW」という。)に参加し、当該介護保険施設等に所属する医師等が記録した当該介護保険施設等の入所者の診療情報及び急変時の対応方針等の情報について当該地連NWにアクセスして確認可能な場合が該当する。
この場合、当該介護保険施設等に所属する医師等が、介護保険施設等の入所者の診療情報及び急変時の対応方針等についてそれぞれの患者について1ヶ月に1回以上記録すること。なお、入所者の状況等に変化がない場合は記録を省略しても差し支えないが、その旨を文書等により介護保険施設から協力医療機関に、少なくとも月1回の頻度で提供すること。

 

問 80 協力対象施設入所者入院加算及び往診料の「注9」に規定する介護保険 施設等連携往診加算の施設基準における「年3回以上の頻度でカンファレ ンスを実施していること。」について、ICTで診療情報等の共有がなされ ている場合、当該カンファレンスの内容は、具体的にはどのようなもので あればよいか。
(答)具体的な定めはないが、例えば、以下のような内容を含んでいること。
・ 病状の変化のあった入所者の最新の病状等の診療状況、治療方針、患者の基本的な日常生活能力、認知機能、家庭の状況及び急変時の対応方針(以下「診療情報等」いう。)
・ 新規入所者の診療情報等
・ 前回のカンファレンス時以降、入院退所となった入所者で当該協力医療機関に入院しなかった患者の入院先、入院理由等
介護保険施設等が協力医療機関に求める事項

出典:疑義解釈資料の送付について(その1)

 

協力対象施設入所者入院加算においても、介護保険施設側の協力医療機関連携加算と同様に、地域医療情報連携ネットワークで入居者情報を共有できなければ1か月に1回の頻度でカンファレンス(介護保険側では会議と表現)を開催する必要がある。

 

医療機関側としては、協力対象施設入所者入院加算を算定するのであれば、介護保険施設側が医療機関に対して24時間連絡が取れる体制、また(地域医療情報連携ネットワークの活用環境がなければ)月1回以上、診療の求めを行うこととなる可能性が高い入居者の情報を施設と当院で定期カンファレンスで共有する体制を構築する検討する必要がある。往診をしなければ200点のわずかな診療報酬を入院初日に算定するのみのため、体制構築の大変さと秤にかけるといまいち魅力のない加算に映る。地域包括ケア病棟の施設基準で求められている(望ましい規定)のは介護保険施設の協力医療機関になることであって、契約数や協力内容までは記載がない。往診をしない医療機関の場合、一番負担が少ないのは、介護保険施設側でも施設基準となっている、第3号(入院)の契約を交わし、年1回の打ち合わせを行うことと考える。

浦川雅広「地域情報共有システム『こまめる』の開発と導入の成果」『医療ソーシャルワーカーのための業務マネジメントガイドブック』中央法規出版,2023,pp.240-245

当方も3本執筆したMSWマネジメント本が出版社より届いたので早速読み始める。会長会での報告内容から以前より注目していた福岡県にある飯塚病院浦川さん(福岡県M協会会長)の論文を拝読。

浦川雅広「地域情報共有システム『こまめる』の開発と導入の成果」『医療ソーシャルワーカーのための業務マネジメントガイドブック』中央法規出版,2023,pp.240-245

スタッフによって退社時間が異なるのはなぜだろう 退社時間(遅くても退社時間から30分以内)に帰宅できる部署にできないだろうか

を取り組み動機とされ、業務改善に取り組まれた内容でした。

1つは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を用いた、転院・転所情報の電カル内からの自働生成システムの導入。なお、RPAとは、

これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用して代行・代替する取り組み

とのこと(日本RPA協会)。

本論文には字数の関係上書けなかったと推察しますが、グループ会社の麻生情報システムで開発した模様。RPA導入例は他にも、熊本済生会病院名古屋大学医学部附属病院がネット上で確認できました。

電子カルテから一つ一つ、転院打診のためのシートに転記していては膨大な作業時間になるのでこれはありがたいです。

もう1つは、論文タイトルとは異なりますが、QC活動。MSW業務時間調査は1分間タイムスタディーで35項目に分類した退院支援業務を計測し、それらを時間内・時間外に分け、時間外で最も時間を割いているのが記録であることを確認。その上で、多職種へリアリングし、原因分析を進め対策立案(ここまでで約1ヶ月)。

最後に、退院前カンファレンスの準備から実施までの調整にかかる負担軽減で、こちらも準備時間の計測。情報シート作成にRPAを活用。カンファレンス先として想定される、医療機関訪問看護、居宅17か所へヒアリングを実施して、受け手側が欲しい情報の基準を策定。他にも訪問診療医とはオンラインカンファレンスを導入。

また、分析手法としてQC7つ道具を使用するように心がけているとのこと。

smbiz.asahi.com

参考になるアイデアが6ページの中に満載でした。なお、上記の様に書くと浦川氏が非常な人の様に映ってしまうかもしれませんが、論文の最後にこれらの活動の背景にある想いがとても正直に書かれており、共感するところが多く、赤線を引きまくりでした。

不安はソーシャルワーカー協会でモヤモヤしていることを共感してもらうことで、気持ちの整理をさせてもらっています

という言葉も本当にその通りだと思います。

管理者MSWにとって必読の論文。関心のある方は是非本書を購入し、論文を読まれてみては如何でしょうか?

令和4年度 診療報酬改定×社会福祉士 詳細

 



2022年3月4日に、令和4年度診療報酬改定の通知等が告示された。

www.mhlw.go.jp

また、近年は厚生労働省保険局医療課長による解説動画も準備されるので直接担当責任者の話が聞けるのは良い。

www.youtube.com


通常用いる文書は、以下の3点セット。

診療報酬の算定方法の一部を改正する件

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000907834.pdf

※医科診療報酬点数表及び注

診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000923495.pdf

 ※算定要件

 

基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000923512.pdf

※施設基準

疑義解釈(その1)2022年3月31日

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000923563.pdf

上記文章を踏まえて、以下社会福祉士に関連する項目を中心に解説する。(随時更新)

回復期リハビリテーション病棟入院料

回復期リハビリテーション病棟入院料1・2の施設基準(p181)において、

在宅復帰支援を担当する専任の社会福祉士等1名以上の常勤配置を行うこと

という文言は、今回の施設基準においても踏襲している。

 

また、同入院料1・2のみ届出可能な体制強化加算1の施設基準(p185)において、

当該病棟に専従の常勤医師1名以上及び専従の常勤社会福祉士1名以上が配置されていること。

さらに、

社会福祉士については、退院調整に関する3年以上の経験を有する者であること。

と続く。

 

関連する疑義解釈(pp.23-24)においては、退院支援加算(現入退院支援加算)との兼任について以下の通り整理されている。

(問80)回復期リハビリテーション病棟入院料1の施設基準に従い病棟に専任配置される社会福祉士、体制強化加算の施設基準に従い病棟に専従配置される社会福祉士、地域包括ケア病棟入院料の施設基準に従い医療機関に専任の在宅復帰支援担当者として配置される社会福祉士は、退院支援加算1の施設基準に従い退院支援及び地域連携業務に専従するものとして病棟に専任配置される社会福祉士と兼任できるか。また、認知症ケア加算1の認知症ケアチームの専任の社会福祉士と兼任できるか。


(答)体制強化加算の施設基準に従い病棟に専従配置される社会福祉士は、当該病棟において退院支援業務を行うために配置されることから、退院支援加算1の施設基準に従い退院支援及び地域連携業務に専従するものとして当該病棟に専任配置される社会福祉士(当該の社会福祉士が他の病棟を兼任しない場合に限る。)と兼任できるが、認知症ケア加算1の認知症ケアチームの専任の社会福祉士とは兼任できない。
回復期リハビリテーション病棟入院料1の施設基準に従い病棟に専任配置される社会福祉士及び地域包括ケア病棟入院料の施設基準に従い医療機関に専任の在宅復帰支援担当者として配置される社会福祉士は、退院支援加算1の施設基準に従い退院支援及び地域連携業務に専従するものとして病棟に専任配置される社会福祉士又は認知症ケア加算1の認知症ケアチームの専任の社会福祉士と兼任できる。

出典:厚生労働省疑義解釈資料の送付について(その1)平成28年3月31日

本疑義解釈が現在も有効ということであれば、回復期リハビリテーション病棟入院料1・2の算定における専任の社会福祉士は、入退院支援加算1で病棟に専任配置される社会福祉士又は認知症ケア加算1の認知症ケアチームの専任の社会福祉士と兼任可。しかし、体制強化加算を届け出ている場合の、専従の社会福祉士は、入退院支援加算1で病棟に専任配置される社会福祉士について回復期病棟のみ兼任可。認知症ケアチームの専任の社会福祉士は兼任不可ということになる。

 

重症患者初期支援充実加算

A234-4 重症患者初期支援充実加算 1日につき300点 3日間算定可能
(1) 重症患者初期支援充実加算は、集中治療領域において、患者の治療に直接関わらない専任の担当者(以下「入院時重症患者対応メディエーター」という。)が、特に重篤な状態の患者の治療を行う医師・看護師等の他職種とともに、当該患者及びその家族等に対して、治療方針・内容等の理解及び意向の表明を支援する体制を評価したものであり、当該保険医療機関に入院している患者について、入院した日から起算して3日を限度として算定できる。なお、ここでいう入院した日とは、当該患者が当該加算を算定できる治療室に入院又は転棟した日のことをいう。
(2) 入院時重症患者対応メディエーターは、以下の業務を行うものとする。
ア 当該患者及びその家族等の同意を得た上で、当該患者及びその家族等が治療方針及びその内容等を理解し、当該治療方針等に係る意向を表明することを、当該患者の治療を行う医師・看護師等の他職種とともに、支援を行う。
イ 当該患者及びその家族等に対して支援を行うに当たっては、支援の必要性が生じてから可能な限り早期に支援が開始できるよう取り組む。
ウ 当該患者及びその家族等の心理状態に配慮した環境で支援を行う。
エ 当該患者及びその家族等に対して実施した支援の内容及び実施時間について診療録等に記載する。

患者サポート体制充実加算において既に社会福祉士が施設基準の届出を行っている医療機関(がん拠点病院加算算定の場合は除く)も少なくないと思われる。算定要件は、「当該保険医療機関に相談支援窓口を設置し、患者等からの疾病に関する医学的な質問並びに生活上及び入院上の不安等に関する相談について懇切丁寧に対応すること。」となっているため、特に、生活上及び入院上の不安等に関する相談について社会福祉士が普段から行っている支援であることから、当時この評価が新設された際は喜ばしいことだった。個別の支援に対する評価ではなく体制を確保していることに対する評価であることもポイントである。また、全入院患者に対して入院初日に70点が算定できることから規模の大きな医療機関ほど得られる額も大きく、仮に1年間の新規入院患者数が12000件であった場合、12,000×700円=840万円となる。

重症患者初期支援充実加算もまた、個別の支援に対する評価ではなく体制を確保していることに対する評価である。仮に1年間にICUなど該当病棟へ入院する延患者日数が2700日分あった場合、2,700日×3,000円=810万円となる。

 

患者サポート体制充実加算と重症患者初期支援充実加算の兼任が可能かは今後の疑義解釈が待たれるが、実業務としては前者は入院だけでなく外来の相談にも応じていることから、兼任では業務が回らないため、別々に配置されることが望ましいと考える。使用者側が支払う社会保険料や退職金の積み立て金などを考慮するとやや不足気味だが、それぞれ1人分の人件費相当となる。

 

患者サポート体制充実加算については、実際には医学的な質問には医師・看護師が応じたり、苦情対応には医療事務の力を借りるため、決して一人で対応してる訳ではない。また、「標榜時間内において常時1名以上配置」となっていることから、複数名体制で届出をしないと、当該職員お休みをとった場合に施設基準を満たせなくなってしまう。


疑義解釈(その1 pp.23-24)

【重症患者初期支援充実加算】

問 75 区分番号「A234-4」重症患者初期支援充実加算の施設基準において、入院時重症患者対応メディエーターは、「以下の(イ)に掲げる者については、医療関係団体等が実施する特に重篤な患者及びその家族等に対する支援に係る研修を令和5年3月 31 日までに修了していることが望ましいこと」、「(イ)以外の者であって、医療関係団体等が実施する特に重篤な患者及びその家族等に対する支援に係る研修を修了し、かつ、当該支援に係る経験を有する者」であることとされているが、

① 「医療関係団体等が実施する特に重篤な患者及びその家族等に対する支援に係る研修」には、具体的にはどのようなものがあるか。

② 令和5年3月 31 日までに当該研修を修了できなかった場合、重症患者初期支援充実加算の施設基準の届出を取り下げる必要があるか。

③ 「当該支援に係る経験を有する」とは、具体的にはどのようなことを指すのか。(答)それぞれ以下のとおり。

① 現時点では、一般社団法人日本臨床救急医学会が実施する「入院時重症患者対応メディエーター講習会」が該当する。

② 直ちに届出を取り下げる必要はないが、可能な限り速やかに研修を修了すること。③ 集中治療領域における特に重篤な患者及びその家族等に対する支援について、3年以上の経験を有することを指す。

 

問 76 区分番号「A234-4」重症患者初期支援充実加算について、当該加算を算定できる治療室を複数有している場合、全ての治療室にそれぞれ別の入院時重症患者対応メディエーターを配置する必要があるか。
(答)当該保険医療機関内に入院時重症患者対応メディエーターが配置されていればよく、必ずしも全ての治療室にそれぞれ別の担当者が配置されている必要はない。


問 77 区分番号「A234-4」重症患者初期支援充実加算について、「入院した日とは、当該患者が当該加算を算定できる治療室に入院又は転棟した日のことをいう」とあるが、当該加算を算定できる病室に入院後、当該加算を算定できない病棟又は病室に転棟し、再度当該加算を算定できる病室に入室した場合、起算日についてどのように考えればよいか。
(答)重症患者初期支援充実加算を算定できる病室に最初に入室した日を起算日とする。


成育連携支援加算(新設)

※A303 総合周産期特定集中治療室管理料の届出を行っている医療機関のみ

○算定要件

注3 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等
に届け出た保険医療機関において、胎児が重篤な状態であると診断された、又は疑われる妊婦に対して、当該保険医療機関の医師、助産師、看護師、社会福祉士公認心理師等が共同して必要な支援を行った場合に、成育連携支援加算として、入院中1回に限り、1,200点を所定点数に加算する

 

(4) 「注3」の成育連携支援加算については、胎児が重篤な状態であると診断され、又は疑われる妊婦が入院している場合に、当該保険医療機関の医師、助産師、看護師、社会福祉士及び公認心理師等が共同して、胎児の疾患に係る十分な情報提供その他必要な支援を行った場合に、入院中1回に限り算定する。なお、ここでいう胎児が重篤な状態とは、以下のものである。
ア 先天奇形
イ 染色体異常
ウ 出生体重 1,500g 未満
(5) 「注3」の成育連携支援加算について、対象となる妊婦とその家族等に対し、分娩方針、母胎の病状、胎児の予後、出生後必要となる治療及び出生後利用可能な福祉サービス等について、十分な説明を行うこと。また、当該説明内容は、成育連携チーム及び必要に応じ関係職種が共同してカンファレンスを行った上で決定するものとし、妊婦又はその家族等に対し、文書により行うとともに、その写しを診療録に添付すること。なお、妊婦とその家族等の求めがあった場合には、懇切丁寧に対応すること。

○施設基準

 総合周産期特定集中治療室管理料の「注3」に規定する成育連携支援加算の施設基準
(1) 当該保険医療機関内に、以下から構成される成育連携チームが設置されていること。
ア 産科又は産婦人科の医師
イ 小児科の医師
助産
エ 5年以上新生児の集中治療に係る業務の経験を有する専任の常勤看護師
専任の常勤社会福祉士
カ 専任の常勤公認心理師


なお、当該専任の看護師、社会福祉士又は公認心理師(以下この項において「看護師等」という。)については、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週 22 時間以上の勤務を行っている専任の非常勤看護師等を2名以上組み合わせることにより、常勤看護師等と同じ時間帯にこれらの非常勤看護師等が配置されている場合には、当該基準を満たしているとみなすことができる。 

コメント:A303 総合周産期特定集中治療室管理料を届出する前提となる新生児特定集中治療室(NICU)のある医療機関は全国で353病院、新生児治療回復室(GCU)は293病院ある(出典:平成29年 厚生労働省 「医療施設(静態・動態)調査」)。そのため、影響は大きくはないが、当該機能をもつ病院に勤務する社会福祉士にとっては関係がある項目である。日常的に行っているチーム医療による支援に報酬が付くことは喜ばしいことであるし、そのチームの中に社会福祉士が必置となったことは日頃の実践の賜物であろう。施設基準に専任要件が付されているが、これは入退院支援加算1の退院支援担当者と兼務できるか否かが気になるところである。兼務不可の場合は、届出をする社会福祉士を確保する必要となるため、疑義解釈を待つ。

○疑義解釈(その1 p35)

【成育連携支援加算】

問 120 区分番号「A303」総合周産期特定集中治療室管理料の注3に規定する成育連携支援加算について、「妊婦とその家族等に対し、母胎の病状等の十分な説明を行うこと」とあるが、説明を行う際は、医師、助産師、看護師、社会福祉士及び公認心理師の全ての職種が同席する必要があるか。
(答)必ずしも全ての職種が同席する必要はないが、対象となる妊婦及びその家
族等の状態に応じ、必要と考えられる者を同席させること。

 

養育支援体制加算(新設)

※A307 小児入院医療管理料の届出を行っている医療機関のみ

 

○算定要件

注7 患者に対する支援体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合してい
るものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関の病棟に入院している患者について、養育支援体制加算として、入院初日に限り300点を所定点数に加算する。

「注7」に規定する養育支援体制加算は、虐待等不適切な養育が行われていることが疑われる小児患者に対する必要な支援体制を評価するものであり、当該病棟に入院している患者について、入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

○施設基準

(1) 当該保険医療機関内に、以下から構成される虐待等不適切な養育が疑われる小児患者への支援(以下「養育支援」という。)に係るチーム(以下「養育支援チーム」という。)が設置されていること。
ア 小児医療に関する十分な経験を有する専任の常勤医師
イ 小児患者の看護に従事する専任の常勤看護師
小児患者の支援に係る経験を有する専任の常勤社会福祉士
なお、当該専任の医師、看護師又は社会福祉士(以下この項において「医師等」という。)については、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週 22 時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師等を2名以上組み合わせることにより、常勤医師等と同じ時間帯にこれらの非常勤医師等が配置されている場合には、当該基準を満たしているとみなすことができる。
(2) 養育支援チームの行う業務に関する事項
ア 養育支援に関するプロトコルを整備していること。なお、当該支援の実施状況等を踏まえ、定期的に当該プロトコルの見直しを行うこと。
イ 虐待等不適切な養育が疑われる小児患者が発見された場合に、院内からの相談に対応すること。
ウ 虐待等不適切な養育が疑われる小児患者が発見された場合に、主治医及び多職種と十分に連携をとって養育支援を行うこと。
エ 虐待等不適切な養育が疑われた症例を把握・分析し、養育支援の体制確保のために必要な対策を推進すること。
オ 養育支援体制を確保するための職員研修を企画・実施すること。当該研修は、養育支援の基本方針について職員に周知徹底を図ることを目的とするものであり、年2回程度実施されていること。
(3) (2)のイ及びウの業務を実施する医師は、虐待等不適切な養育が疑われる小児患者の診療を担当する医師との重複がないよう、配置を工夫すること。 

コメント:こちらは小児科病棟における虐待等不適切な養育に対するチーム医療の評価のため、全国的に影響のある項目であろう。これまで取り組んできたチーム医療へ報酬が付くこと、またそのチームに社会福祉士が必置となったことは喜ばしいことである。成育連携支援加算と同様に、専任要件が付されており、入退院支援加算1の退院支援担当者との兼務の可否について、疑義解釈が待たれるところである。また、成育連携支援加算が具体的な支援に対する評価ですが、養育支援体制加算は体制を評価するため、全小児科入院患者(初日)に適応となる。3000円×年間小児科病棟入院患者数という計算式になるので、仮に1000人とすれば300万円の増収となる。金額は大きくないが確実に算定していくべき項目であろう。

退院支援の片手間で出来るほど簡単な支援ではないため、入退院支援部門ではなく外来部門の社会福祉士が施設基準として届け出ることが望ましい。


また、近年特定妊婦に対する支援は、入院前の外来での妊婦健診の段階から妊婦及びその家族、保健センターや児相とかなりの頻度で関係を築き支援にあたることが本当に増えた分野である。そのため、今回の小児科の体制加算だけでなく今後は産科病棟でも同様の考えに基づいた体制加算が設けられることを望む。


算定要件とは別に、支援の均てん化のために病院団体や職能団体において、成育連携支援加算及び養育支援体制加算を算定する医療機関社会福祉士向けの研修を実施する必要があるであろう。この分野に関わる社会福祉士は非常に熱心な方が多くまたバックアップする研究者もいるため、今後の研修の一大分野になるものと考える。

 

退院時共同指導料1、退院時共同指導料2 

○算定要件
(8) 退院時共同指導料1の「注1」及び退院時共同指導料2の「注1」の共同指導は、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施しても差し支えない。

(10) (9)における共同指導(※)は、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施しても差し支えない。

※多機関共同指導加算2000点のこと。

参考:

www.pt-ot-st.net

 

介護支援等連携指導料

○算定要件

(8) 当該共同指導は、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施しても差し支えない。この場合において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末において共同指導を実施する場合には、厚生労働省医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。 

 

入退院支援加算

○疑義解釈(その1 p27)

【入退院支援加算】
問 90 区分番号「A246」入退院支援加算について、患者及びその家族等と
の病状や退院後の生活等に関する話合いをビデオ通話が可能な機器を用
いて行うことは可能か。
(答)可能。

コメント:退院時共同指導料2や介護支援等連携指導料と同様に、患者・家族との話し合いもビデオ通話で可能に。Zoomの入っているタブレットを携帯して院内を歩くMSWの姿が思い浮かぶ。周りの患者の話や個人情報が映り込まない様、原則病棟の面談室を利用するのが良い。それにより難い場合は、院内でZoom使用に関するルール化が必要であろう。

療養生活継続支援加算

○疑義解釈(その1 p57)

問 210 区分番号「I002」通院・在宅精神療法の注9に規定する療養生活継続支援加算について、患者1名に対し、複数の看護師又は精神保健福祉士が担当として支援等を行うことは可能か。
(答)不可。なお、複数の看護師又は精神保健福祉士がチームで対応することは可能であるが、その場合であっても、主たる担当者を定める必要があり、主たる担当者が交代する場合は、当該患者に対してその旨を説明すること。
また、20 分以上の面接等については、当該主たる担当者が実施することとし、他の看護師又は精神保健福祉士が同席することは差し支えないが、複数の者がそれぞれ実施して時間を合算することはできない。なお、支援計画書の作成や関係機関との連絡調整について、主たる担当者以外の者が補助することは可能である。 

 

2つのMSW学会・大会

 

2022年2月26日 (土)に開催予定の、愛知県医療ソーシャルワーカー協会 第16回 愛知県医療ソーシャルワーク学会(オンライン)。2月19日が申込締切です。

第16回 愛知県医療ソーシャルワーク学会

https://2021-16thgakkai-amsw.peatix.com/

多彩な講師陣による講演と分科会・シンポジウムを企画していますので、是非この機会にご参加ください。参加者は、大会当日以降も2週間オンデマンドで全ての報告を視聴できますので、当日ご都合がつかない方でも、また他県の方でも気兼ねなく申込頂ければと思います。

 

もう1点。6月25日・26日と、第70回 公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会全国大会が和歌山で開催されます。ハイブリッド開催が予定されていますので、コロナ禍であっても、気兼ねなくご参加頂けます。またこちらも大会当日以降、オンデマンドで視聴できます。2月7日より大会申込が始まっておりますのでこちらも、是非お申込みください。

jaswhs2022.umin.jp

学会発表支援ゼミナールを運営して

学会発表を支援する研修を運営する中で思ったことをつらつらと記載します。

愛知県医療ソーシャルワーカー協会では、2020年に開催予定だった第40回日本医療社会事業学会(愛知大会)に多数の会員に発表してもらいたいという思いから、学会発表支援ゼミナールを開催しました。当協会では過去にも、何度か実践研究について単発の研修を開催しています。その場では、何だか分かった気になって研修を終えるのですが、実際に実践研究に手を付けるかといえば必ずしもそうはならず日々が過ぎていき、やがて忘れる、ということの繰り返しでした。この場合、講師が原因ということではなく研修の構造に原因があると考えていました。

無論、実践研究をやる意義についての喚起ということ点では、単発の研修で良いように思います。一方、初学者が学会発表をするにはやはり一緒に取り組んでくれるメンターが必要です。それは職場の先輩や上司が担ってくれるところもあると思います。しかし、上司がいても日常業務で多忙のためそこまで手が回らない。上司がいないので指導が受けられないといった悩みがあります。

そのため、そのウィークポイントを職能団体である当協会がきちんと支援することが必要です。この場合、単発の研修ではなく数回に渡り進捗に応じて継続的に支援をする研修構造である必要があると考えました。

幸い、実践研究に協力頂ける大学の研究者がいらっしゃったおかげで、全6回に渡る継続研修を開催することができました。本研修は、2019年度に初回が開催され、2020年度はコロナで中止、2021年度が現在開催されています。

2021年度学会発表支援ゼミナール

https://2021-gakkaihappyou-amsw.peatix.com/


研修の構造としては、参加者は10名以内。「研究のいろは」から「研究計画書の作り方」・「研究進捗報告」・「抄録報告」・「パワーポイントの発表」の5段階に分けて、それぞれに提出物の期限を設けています。これにより、一人で研究に取り組む際の、「まぁ、忙しいから今回はやめておこう」となりません。提出物については、研究計画書・抄録・パワーポイントについては講師から添削をしてもらい、その指導内容を踏まえて書き直したものを再提出してもらっています。また、ゼミナール形式にすることで一対一ではないことから、他のゼミ生(受講者)同士、お互いに励まされますし、進捗に一喜一憂します。適度な刺激は重要ですね。各回のプログラムとしては、本人からのプレゼンテーション、講師からの好評と受講者からの質疑応答・グループディスカッションを1つの回の中で行います。1回あたり3時間としています。

受講者として想定しているのは、初めて学会発表をする・したい人としていますが、それでもなお受講者の能力や事前準備状況・動機・テーマは様々なため、個別のフォローが必要となります。

実際に開催してみて気付いた、運営のポイントとしては、専門的な量的・質的研究法について教える時間はありません。そのため、それらについては大学や学会で開催している研修等について適宜情報提供しています。また、個別に濃厚に指導が必要な場合は、大学院の研究生や入院をお勧めしています。できれば、この研修をきっかけに、研究すること(学ぶことではない)の面白さに気づき、大学院に入院して、研究に取り組んでくれると嬉しく思います。実際にその様な方も登場しており、やっててよかったなと思います。

運営上、全6回でやれること・やれないことを明示しておくことが重要だと思います。各回の合間で講師に個別に相談したいことがある場合は事務局を通してもらうことで、講師に過度に負担がかからない様にします。だらだらとした関係にならないようにすることが大切だと思います。講師料の契約内容とも関係してくるため、研修当日以外の対応については予め講師と取り決めておく必要があります。

 

あくまでも初めて学会発表をする・したい人向けとコンセプトがぶれない様にしなければいけません。入り口が入りやすくないと、怖くて申込頂けなくなってしまいます。

オンライン開催とリアル開催の共通点と違いについて

オンラインの良い点は、会場の移動時間やCOVID-19の感染について気にしなくて良い点だと思います。仕事や家庭で忙しい受講者にとって、オンライン開催は研修参加のハードルを物凄く低くしてくれました。研修終了後も、直ぐに別の事に取り掛かれます。距離を問わないため、他県からの受講者がいても、何も支障はありません。

共通点としては、講義系の内容や各自の発表を聞くというところはオンラインでもリアルでも変わりがない様に思います。また、「研究のいろは」から「研究計画書の作り方」・「研究進捗報告」・「抄録報告」・「パワーポイントの発表」の5段階に沿って、課題の提出期日を設けることで、取り組む動機ができることにも変わりがないと思います。

違いとしては、リアルであれば講師と運営スタッフが離れた場所で打ち合わせをする。講師と受講者あるいは受講者同士が顔を合わせて身振り手振りも交えてグループディスカッションができます。オンラインの場合、それらのやり取りの中で、相手の表情や雰囲気などの空気感がなかなか掴みにくいため、ニュアンスを計りかねるところが苦労するところです。ブレイクアウトルームの場合、各グループの雰囲気を全体で把握することが物理的にできません。各グループに除きに行くこともできますが、話の間に入ることができずかえって会話を妨げてしまうなと思います。また、画面越しだと、ちょっと講師に聞いてみよう。隣に座った人にちょっと話しかけてみようという「ちょっと」がなかなか声掛けしづらいのかなと思います。

以上、学会発表支援ゼミナールの運営を通して気づいたこと・考えたことについてつらつらと記載しました。

第6回 医療職のための統計セミナー 「事例から論文の読み方を学ぼう」(2022.1.29)

本日は、厚生統計協会主催の第6回 医療職のための統計セミナー 「事例から論文の読み方を学ぼう」をオンラインで受講した。

www.hws-kyokai.or.jp

■学んだこと・考えたこと

〇なぜ論文を読む必要があるのか?
・実践的な医療知識は、診療・看護マニュアルを読めば習得できる
・診療ガイドラインやUpToDateなど論文の二次資料を読めば、意識が高い医療従事者にはなれる。
→「知識の習得」のためには、特定の医学・看護論文を読む必要はあまりない

〇論文を読む目的

1.臨床でもEvidence Based Medicine/Nursingを実践するため
・非千野臨床現場はクリニカル・クエスチョン(臨床疑問)が溢れている
・二次資料をあたっても解決できないクリニカル・クエスチョンに答えるために原著論文を読む。
・患者への適応(エビデンスの実臨床への応用)を考える際に、論文の批判的吟味は必須。

2.自ら論文を書くため

・クリニカル・クエスチョンに明確に答える原著論文が少ないことがわかれば、自らエビデンスを気づくべく臨床研究にトライする。

・自ら研究を行うにあたって、より徹底的な先行研究のレビューを行う必要がある。

先行研究で用いられた疫学手法や統計手法を参考にする。

ソーシャルワークにおいても、臨床家の全員が必ずしも原著論文ばかりを読むことができる訳でも・したい訳でもない。きちんと更新されるソーシャルワークに関するガイドラインやUpToDateが充実すればそれでよい。しかし、残念ながらこの業界にはそれがないのがウィークポイントだと常々思っている。共通の分析枠組み・支援ツール・共通言語が育つ土壌が築きにくい。なお、日本社会福祉士会や日本精神保健福祉士協会など各職能団体でも様々なツールを開発してくれているが、会員以外が目にする機会がなくもったいないことになっている様に思う。

ソーシャルワークに関する最新の知見を紹介するソーシャルワークに関する月刊誌や、今日の治療指針UpToDateの様な常に更新され続ける有償オンラインサービスを出版社の協力を得て販売し、臨床家がそれを購読するという循環が必要である。

〇質の高い研究を見つけるための近道は?

・臨床では、「確実でかつ意義のある研究」を1編見つけるために200編強の論文を読んで吟味する時間はない!!

・対象とするテーマの核となる研究論文から読み始めましょう!

・読んだ論文のreferenceから孫引きする

・UpToDateなどの二次資料源のreferenceから検索する

・「有効」で「質の高い」ガイドラインの引用文献から検索する

一流紙に絞って論文を検索するなら、Chrome拡張機能であるPubmed Impact Facterがある。

www.noguchilabo.com

〇論文構造(IMRAD strucutre)

Introduction(序文)

Methods(方法)

Results(結果)

and

Discussion(考察)

〇PICOに落とし込んで整理する

Patient/Population

Exposure/Intervention

Comparison/Control

Outcome

PICOは主に介入研究の論文で効果的な認識ツールだが、ソーシャルワーク研究の場合は、実態調査が主のため、フィットさせにくい。但し、近年のプログラム評価の考え方を取り入れたソーシャルワーク介入プログラム開発であれば、十分に介入研究は成立するものと考える。他にも、芝野松次郎氏のD&Dでも成立するであろう。

繰り返しになるが、研究が研究のままで終わらない様にするためには、職能団体・養成校・研究者・学会が生み出した成果物を横ぐしを刺して分かりやすく紹介する雑誌・UpToDateが必要だと考える。なおこの場合、児童・障害・高齢・医療・地域などに分けず分野横断的なものであることが望ましい。何故なら、厚生労働省社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会『ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について』平成30年3月27日でも指摘された通り分野横断的な支援がソーシャルワーカーに求められているという実務的な理由と、分野ごとの媒体にするとマーケットが小さくなり過ぎて出版社が採算が合わないという経営的な理由と2つからである。

第16回 愛知県医療ソーシャルワーク学会(オンライン)



もう1つ、こちらも愛知県医療ソーシャルワーカー協会主催。


かなり、多彩な内容となっています。既に、全国からお申込み頂いております。開催まで1ヶ月を切りました。実行委員会では現在、事前収録作業を目下進めているところです。当日の配信もありますが、こちらもオンデマンド配信が特典でついてきます。田中千枝子先生は今年度で日本福祉大学を退職されるため、記念すべき基調講演になると思います。是非、お申込みください。

【大会概要】
テ ー マ:医療ソーシャルワーカーの未来図
会   期:2022年2月26日(土)10:00から18:00
会   場:オンライン開催(事前収録による定刻配信)
大 会 長:小林 哲朗
(一般社団法人愛知県医療ソーシャルワーカー協会会長・国家公務員共済組合連合会 名城病院
主   催:一般社団法人愛知県医療ソーシャルワーカー協会

【プログラム】
<基調講演>
「MSWの人材養成の転換点を考える」
講師:田中 千枝子(日本福祉大学社会福祉学部教授)
<講演>
「医療ソーシャルワーカーのストレスマネジメントと成長過程(仮題)」
講師:保正 友子(日本福祉大学社会福祉学部教授)
<講演>
「保証人問題における医療ソーシャルワーカーの役割」
講師:林 祐介(同朋大学社会福祉学部准教授)
<講演>
「マネジメントとスーパービジョン(仮題)」
講師:浅野 正嗣(ソーシャルワーカー・サポートセンター名古屋代表)
スペシャルインタビュー>
「車イスの私がアメリカで医療ソーシャルワーカーになった理由」
講師:上原 寛奈(Licensed Clinical Social Worker)
(「車イスの私がアメリカで医療ソーシャルワーカーになった理由(幻冬舎)」著者)
<ランチョンセミナー>
「医療ソーシャルワーカーへおくる混迷の時代を生き抜く、心の在り方・働き方の智慧
講師:佛心宗 大叢山 福厳寺 住職 大愚元勝(You Tube「大愚和尚の一問一答」)

<愛知県医療ソーシャルワーカー協会・愛知県社会福祉士会・愛知県精神保健福祉士協会合同企画>
「子どもの貧困とソーシャルワーク
シンポジスト
・「子どもの参加と表現の自由を保障するソーシャルワーク実践」
荒井 和樹(中京学院大学短期大学部専任講師)
・「子どもの貧困とスクールソーシャルワーカーの役割」
野尻 紀恵(日本福祉大学社会福祉学部教授)
・「子どもの貧困とは親の貧困であり社会の貧困である」
石上 里美(名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター大曽根相談支援員)
・「事例にみる、周産期ソーシャルワークにおける子どもの貧困 ~ソーシャルワーカーがめざす子どもの成長支援について~」
柚原 明日香(安城更生病院医療ソーシャルワーカー
座長:小林 哲朗(国家公務員共済組合連合会名城病院

<演題>(順不同)
「新人期の医療ソーシャルワーカーが大学病院で就労継続するために必要な環境とは」

藤田医科大学病院 稲葉 一樹
「コロナ禍におけるオンライン面会導入の試みに関する若干の考察」
名城病院 小林 哲朗
「性暴力被害者へのソーシャルワーク-事例を通じてMSWの役割と課題を考える」
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 坂本 理恵
「とびこみ出産をした技能実習生へのソーシャルワーク-ミクロからメゾレベルへの実践展開による意思
決定支援」
豊橋市民病院 土屋 真由美
「コロナ禍における退院支援の現状と今後の課題」
新城市民病院 前田 紋奈
「愛知県内の要保護児童対策地域協議会におけるMSW参加の実態調査」
公立陶生病院 明神 麻歩

*プログラムの詳細は順次、大会ホームページでお知らせします。

●参加費
愛知県医療ソーシャルワーカー協会会員 3,000円
非会員 4,000円
学生(大学生・大学院生・専門学校生・高校生)1,000円

●申し込みの流れ
【申し込み】
協会ホームページ(Peatix)よりお申込みください。
https://2021-16thgakkai-amsw.peatix.com/

申込締切日:2022年2月25日(金) 17:00

●受講の流れ
開催3日前(9:00頃)に、Zoomミーティング・配布資料・オンラインアンケートのURLを、本Peatixの「イベント視聴ページ」に掲載します。配布資料につきましては、事前に閲覧・ダウンロードすることが可能です。なお、チケット購入済の方しか本ページは見ることができません。

●動画配信期間
視聴保障の観点から学会当日に配信する動画を学会翌日(2022年2月27日)9:00になりましたら「イベント視聴ページ」に、YouTubeの動画URLが追記されますので2週間(2022年3月12日 23:59まで)に限り視聴可能です。配信期間中、いつでも・どこでも・何度でも視聴できます。YouTubeは限定公開のため、チケット購入済の方しか視聴することができません。そのため、研修当日受講者側で通信トラブルがあって受講できなかった場合も、受講費の返金は致しません。配布資料は、動画配信期間のみ閲覧・ダウンロード可能です。それ以降は使用できなくなります。

グローバル研修:2021年度 愛知県医療ソーシャルワーカー協会 研修部企画研修(オンライン) 2022年度 診療報酬改定説明会

当方が研修部長をしています愛知県医療ソーシャルワーカー協会では、株式会社スズケンの岡山さんとのご縁で診療報酬改定・介護報酬改定の度に解説研修をお願いしています。もちろん、色々な場所で診療報酬改定の解説を行うセミナーは開催されていますが、医療ソーシャルワーカーを対象に、関連する項目に絞って解説してくれるところが当協会の研修のウリとなっています。


是非、オンデマンド研修ですので時間も場所も縛られません。視聴期間中であれば、いつでも・どこでも・何度でも視聴が可能です。毎年300名近くの方にご受講頂く人気研修です。オンラインのため、他県からも距離に関係なくご受講頂けます。是非、お申込みください。

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グローバル研修:2021年度 研修部企画研修

2022年度診療報酬改定説明会
https://2021-kennsyuubukikaku-amsw.peatix.com/

■内容
本研修の特徴は、2022年度診療報酬改定について医療ソーシャルワーカーを主な受講者として想定し、 関連する内容に絞って解説しているところです。
介護支援専門員の皆様にとっては、連携先の医療機関や介護老人保健施設がどの改定項目に注目しているのかを把握する機会としていただければと思います。

【受講者追加特典】
皆様からのご要望にお応えし、疑義解釈を踏まえた講師による解説動画を、2022年4月中旬頃よりYouTubeにて追加でオンデマンド配信します。改定後のフォローアップにご活用ください。

■配信期間
2022年3月23日(水)9:00~4月6日(水)23:59

■研修方法
YouTubeによるオンデマンド配信
※配信期間内であれば、いつでも・どこでも・何度でも視聴可能です

■動画時間
90分(予定)

■講師
岡山幸司 様 株式会社スズケン 卸事業企画部副部長

■定員
なし

■受講費
愛知県医療ソーシャルワーカー協会会員   2,500円
非会員                  3,500円

■申込期間
2022年1月28日(金)~3月21日(月)

■認定医療ソーシャルワーカー(予定)
2ポイント

中根成寿「kintoneを利用した社会福祉実習(ソーシャルワーク実習)記録の電子化の方法と意義ver.1.0」『京都府立大学学術報告(公共政策)』第 13 号,2022,pp.175-187

昨日、こんなエントリーがTwitterに上がりました。「実習×kintone」!!

中根成寿「kintoneを利用した社会福祉実習(ソーシャルワーク実習)記録の電子化の方法と意義ver.1.0」『京都府立大学学術報告(公共政策)』第 13 号,2022,pp.175-187

https://researchmap.jp/naruhisa/published_papers/36273953


京都府立大公共政策学部福祉社会学科の相談援助実習において、一部の学生に対して実習先の協力も得た上で実習記録をkintoneで電子化して実習に望んだ実践報告。面白くて、つい職場からの帰り道で全部読んでしまいました。

以下、厳密に引用せずメモ。

■参考になったこと
・ライセンス管理(養成校教員・実習指導者・実習生の3者における一般ユーザーとゲストアカウントの使い分けと値段、フィールドの権限付与の仕組み)
・実際の画面上の運用(視認性、同時閲覧性・リアルタイムに確認ができるメリット)
・変更履歴・変更箇所の履歴
・手書き注釈はアプリで対応可能(デバイスとペンの機能で大分差が出るかも)
・中根氏のreserchmapにテンプレートを公開している
・ベンダーに依頼せず、自分たちで必要に応じてシステムを変更できる

■課題
・実習生が、スマホで実習記録を確認したり入力する姿が職場内で共有されていないとマイナスに評価されてしまうリスクがある。
・実習生が、実習中にスマホを持ち歩きにくい。
・指導者と実習生が電子媒体を持ち合わせていないと、実習記録をその場で共有しながら話が難しい。

きちんと、課題も明記されているところが素晴らしく、これを踏まえて今後どうするかを読者も含めて考えることができる。

kintoneでも、他のツールでも良いがこの様に電子化に関する議論が活発に論文上で成されることを切に願う。

拙論も電子化については、以下3論文執筆しています。

・樋渡貴晴「当法人における医療ソーシャルワーカー間のOneNoteを用いた知識共有の試み」日本医療社会福祉協会『医療と福祉』№106,Vol.53-№2,2019,pp.8-16
・樋渡貴晴ほか(筆頭著者)「社会資源データベースを用いた社会資源情報標準化の試み」愛知県医療ソーシャルワーカー協会『医療ソーシャルワーク2009』96,第57巻,第1号,2009,pp.23-29
・樋渡貴晴ほか(筆頭著者)「支援相談員業務データベース開発の現状と今後の課題」愛知県医療ソーシャルワーカー協会『医療ソーシャルワーク2008』2008,pp.31-40

また、現在法政大学にいらっしゃる元老健支援相談員の間嶋健さんの次の論文も公開当時大変刺激を受けました。

間嶋健「MSWの各種記録が統合された電子記録システムの構築における研究」『ソーシャルワーク研究』40(1),2014,pp.73-79

令和4年度 診療報酬改定×社会福祉士(注目は精神保健福祉士による相談支援に報酬算定)

令和4年度診療報酬改定に向けて、本日いわゆる短冊が公開されました。

社会福祉士関連項目について、抜き出しとコメント記載しました。事実誤認やミスリーディングもあるかもしれません。ご指摘ください。

中央社会保険医療協議会 総会(第513回) 議事次第」4 . 1 . 2 6

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000887197.pdf


■重症患者初期支援充実加算(p40) (新)
[施設基準]
(1)患者サポート体制充実加算に係る届出を行っている保険医療機関 であること。

(4)入院時重症患者対応メディエーターは、当該患者の治療に直接関わらない者であって、以下のいずれかに該当するものであること。なお、以下のアに掲げる者については、医療関係団体等が実施する特に重篤な患者及びその家族等に対する支援に係る研修を修了していることが望ましいこと。
ア 医師、看護師、薬剤師、社会福祉士公認心理師又はその他医 療有資格者

コメント:予定通りの社会福祉士掲載。研修終了は望ましい規定に留まった。今後、救急認定ソーシャルワーカー認定機構を中心に、この領域での議論を深める必要がある。

■特定機能病院リハビリテーション病棟入院料(p84) (新)
[施設基準]
(9)当該病棟に専従の常勤の理学療法士が3名以上、専従の常勤の作 業療法士が2名以上、専従の常勤の言語聴覚士が1名以上、専従の 常勤の管理栄養士が1名以上、在宅復帰支援を担当する専従の常勤社会福祉士等が1名以上配置されていること。

コメント:前回の改定で廃止になった特定機能病院での回復期リハ基本料算定の復活。施設基準としては回復基本料1相当。

■入退院支援加算(p102) (改)
[施設基準]
5 入退院支援加算の「注5」に規定 する施設基準 (2) 当該入退院支援部門に、入退院 支援に関する十分な経験を有する専任の看護師及び専任の社会福祉士が配置されていること。 なお、当該専任の看護師及び専 任の社会福祉士については、週3日以上常態として勤務してお り、かつ、所定労働時間が週22 時間以上の勤務を行っている専 任の非常勤看護師又は専任の非常勤社会福祉士(入退院支援に 関する十分な経験を有するもの に限る。)をそれぞれ2名以上 組み合わせることにより、常勤看護師又は常勤社会福祉士と同 じ時間帯にこれらの非常勤看護 師又は非常勤社会福祉士が配置 されている場合には、当該要件を満たしているとみなすことが できる。

コメント:前回の改定で入退院支援加算1・2に追加された非常勤要件が、医療資源の少ない地域(注5)にも適用拡大。中医協議論を踏まえると、予想以上に緩和範囲は小幅に留まる。

■入退院支援加算(p244) (改)
[算定要件]
入退院支援加算1及び2について、算定対象である「退院困難な要因を有する患者」として、ヤングケアラー及びその家族を追加する

サ 家族に対する介助や介護等を 日常的に行っている児童等であ ること
シ 児童等の家族から、介助や介護 等を日常的に受けていること

コメント:前評判通り入退院支援加算にヤングケアラーが算定対象追加。サはヤングケアラー本人が患者として入院した場合、シがヤングケアラーからケアを受けている患者という意味か。関係機関に繫げることについて評価の記載がない。ここは要求のしどころ。

■生殖補助医療管理料1(p324) (新)
[施設基準]
(6)生殖補助医療管理料1を算定する施設については、以下の体制を 有していること。
ア 看護師、公認心理師等の患者からの相談に対応する専任の担当 者を配置していること。
社会福祉士等の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携 調整を担当する者を配置していること。
ウ 他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整及びこ れらのサービスに関する情報提供に努めること。

コメント:今回政治的に注目された項目。まさかの社会福祉士が施設基準入り。専任規定はないので、兼務を想定している。念のため、疑義解釈で入退院支援業務及び地域連携業務を担う専任の社会福祉士が兼務可能か確認が必要。

■療養・就労両立支援指導料 (改)
対象疾患に、心疾患、糖尿病及び若年 性認知症を追加(p250)
[算定要件]
[施設基準]
精神保健福祉士又は公認心理師追加(p353)

コメント:事前の情報通り。

■総合周産期特定集中治療室管理料(p427) (改)
[算定要件]
注3 別に厚生労働大臣が定める施 設基準に適合しているものとし て地方厚生局長等に届け出た保 険医療機関において、胎児が重篤な状態であると診断された、又は 疑われる妊婦に対して、当該保険 医療機関の医師、助産師、看護師、 社会福祉士公認心理師等が共同して必要な支援を行った場合に、 成育連携支援加算として、入院中 1回に限り、●●点を所定点数に 加算する。

コメント:カンファレンスメンバーとして社会福祉士が明記。アリバイ参加にならない様に注意。

(番外編)
■通院精神療法(pp.360-361)(改)
注9 別に厚生労働大臣が定める施 設基準に適合しているものとし て地方厚生局長等に届け出た保 険医療機関において、1を算定する患者であって、重点的な支援を 要するものに対して、精神科を担 当する医師の指示の下、看護師又 は精神保健福祉士が、当該患者が地域生活を継続するための面接 及び関係機関との連絡調整を行 った場合に、療養生活継続支援加 算として、初回算定日の属する月から起算して1年を限度として、 月1回に限り●●点を所定点数 に加算する。ただし、注8に規定 する加算を算定した場合は、算定 しない。

[施設基準]
3 通院・在宅精神療法の療養生活継 続支援加算の施設基準
(1) 当該保険医療機関内に、当該支援に専任の看護師又は専任の精神保
健福祉士が1名以上勤務している こと。
(2) 当該看護師又は精神保健福祉士が同時に担当する療養生活継続支
援の対象患者の数は1人につき80 人以下であること。また、それぞれ の看護師又は精神保健福祉士が担 当する患者の一覧を作成している こと。

コメント:外来かつ1年間限定ではあるが相談支援に診療報酬がつく。看護師が施設基準に届け出る場合は、認定相当でなければいけない。専従ではなく専任のため、看護業務との兼務は可であることを想定。
MH協会の要望書では、「通院・在宅精神療法(I002)において、精神科を標榜する保健医療機関の外来診療部門に精神保健福祉士を1名以上配置した場合の体制に係る加算を新設してください。」と施設基準に関して要望。

https://www.jamhsw.or.jp/ugoki/yobo/2021.html#14

結果的に、「通院・在宅精神療法(I002)」の施設基準には認められていないが、同項目の療養生活継 続支援加算の施設基準に明記された。追加的に、算定要件に相談支援に対する「療養生活継続支援加算」が実現。相談支援そのものに診療報酬がつくことは画期的。1年間限定(これが重点的という意味か)、月1の算定、1人につき80人という縛りあり。
要望書では、MH協会はしっかりと調査データを添付していたことが勝因か。一般科においても、同じロジックで要望していく材料となりそう。看護師は認定相当でなければ算定できないとされたが、精神保健福祉士は資格があることのみが要件。つまり、相談支援の専門家であると認められたことを意味する。この点は今後の報酬改定議論において重要な布石となる。

研修運営に関する覚書(1.研修運営体制)

先日、全国の都道府県MSW協会の研修担当者がZoomで集まり、各協会の研修運営について情報交換を行いました。その中で、私自身が約5年間研修部門の責任者を担当して、取り組んだこと、考えたことについて書きとどめておこうと思いました。

1.研修運営体制

組織の規模にもよりますが、基本的に以下の3パターンかと思います。
(1)理事が直接研修運営に携わる
(2)理事以外の協力委員が研修運営に携わる
(3)(1)と(2)のミックス

(1)の強みは、理事会が実践上あるいは社会情勢上取り上げたいテーマと講師を直接調整できるので意思決定が速いです。しかし、実際に運営に携わっている理事の方はご承知の通り、最初の頃は勢いがあるので良いですが数年経ってくるとネタが尽きたり、運営がしんどくなってくる場合があります。

一方、(2)の強みは、研修をやりたいと思う複数の委員がいること開催できる研修が全体として増えます。私の所属する協会もそうですが、テーマごとに研修委員会が分かれていると更に組織立って研修提供体制が作れるので、研修事業という協会にとって重要な活動を層厚く展開することが可能になります。とはいえ、関わる人が増えればともすると活動がバラバラになってしまいます。皆が好き勝手やっている状態ですね。これは組織としては避けなければいけません。ミッションや目標の設定・ルールやスケジュール調整・帳票・運用マニュアル・研修機材の整備など、おのずとマネジメントが必要になります。

組織として長期的にみると、(2)による研修運営を基本にしつつ、その時々のホットなテーマに合わせた(1)による研修運営を付加することが研修運営を長続きさせるポイントなのではないかと思います。

ルールやスケジュール調整・帳票・運用マニュアル・研修機材の整備で言えば、私の所属する団体では、以下の通り取り組んでいます。

(1)研修部の設置と専属の理事を5人配置(1人は部長級の常任理事)
(2)クローズドの運用マニュアルを記載したホームページやオンラインドキュメントの作成
(3)最新版帳票類の整備と(2)に常時ダウンロードできるよう保存
(4)オンライン研修運用マニュアルの整備とクラウド保存
(5)オンライン決済システム(Peatix)の活用
(6)研修機材(ヘッドセット、パソコン、Zoom契約、)の整備

(1)は、研修の実施主体になることを禁欲的にやらず、7つある研修委員会をそれぞれ担当し、研修運営の支援と評価、理事会とのパイプ役を担っています。研修部でも色々とやりたい研修は沢山あるのですが、ここはぐっと耐えてマネジメントに徹するようにしています。とはいえ、研修をやったこともない理事が現場感覚もなく各研修委員会をマネジメントするとそれは末恐ろしいことになります。そのため、年に1回は研修部企画の研修を開催し、また各研修委員会開催当日の運営の支援に当たることで現場感覚を養うようにしています。
(2)は、Googleサイトを利用してポータルサイトのように活用しています。迷ったら研修部サイトを確認する。検索窓があるので、検索していち早く該当ページを見つけてもらうことが鍵です。
(3)は、どのファイルが最新化問題が常に付きまとうため、それを防止するために取り組んだことでした。職場にポータルサイトがあると同じような機能があるのでイメージが付きやすいかもしれません。

(4)オンライン研修運用マニュアルの整備とクラウド保存により、研修委員会と共有することで、常に最新版を確認することができるのも強みだと思います。特任オンラインに使用するソフトや撮影機材は日進月歩なのでマニュアル改訂の頻度が高いです。実物のファイルを修正の都度メールに添付して送っていたら、受け取った相手はうんざりしていることでしょう。

マニュアルは作って終わりではなく、解説をしながらも実地を通してイメージを持ってもらったり、手直しが必要であれば修正・追記しなければいけません。永遠に修正が必要です。

(5)については、オンライン研修が主体となる中で有料研修の受講費受け取りで重要な役割を果たすため別途詳細を記載します。

とりあえず、今日は研修運営体制でした。

新刊案内

眞鍋彰啓『失敗事例に学ぶ生活保護の現場対応Q&A』民事法研究会,2021.12.16

〇内容

生活保護の停止・廃止、78条徴収や63条返還、不当要求や不正受給、SNS投稿による業務妨害などをめぐって遭遇しがちな失敗事例を物語形式でわかりやすく解説!

生活保護の現場で日々奮闘するケースワーカーはもちろん、保護利用者を支援する福祉関係者や生活再建築に尽力する法律実務家の必携書!

・任期付公務員として職員の悩みを目の当たりにしてきた著者ならではの温かいまなざしと明快な助言をとおして、失敗の原因と具体的な対処法がわかる!

〇目次
第1章  ケース記録
第2章  虚偽の報告
第3章  書面による指示
第4章  相続財産と78条徴収
第5章  不正受給と届出義務
第6章  障害者加算と63条返還
第7章  不正受給と住民訴訟
第8章  セクハラと懲戒処分
第9章  不当要求(接近型)への対応
第10章  不当要求(攻撃型)への対応
第11章  不正受給への関与
第12章  SNS投稿と業務妨害

〇コメント
著者は、福岡県直方市市民部健康福祉課の弁護士。

 


三井さよ『ケアと支援と「社会」の発見』生活書院,2021.12.3

〇内容

続いてさえいれば、今日もあの人やこの人との明日が育まれる可能性が残されている。

人と人とが直接的に対峙し、向き合う、ケアや支援の現場。今日もまた、法制度や個々人の行為の限界を、掻い潜り、乗り越え、換骨奪胎するため、現場の人たちはミクロな「社会」を発見し、制度を新たに創り、そして明日を目指す

〇目次
第1章 〈場〉の力――ケア行為という発想を超えて
第2章 「優位に立つ」関係を弱める――支援か虐待かという問いの先へ
第3章 出会うということ――足湯ボランティアと被災者のつぶやきからみる素人の力
第4章 専門職と「ともに生きる」立場と――上田敏と障害者運動の対比からみえる異なるケア提供者像
補遺 あのころの私に

〇コメント
ここ3年は、年1冊のペースで単著を出されている。

Blog引越し完了

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ココログからはてなブログへ引越ししました。

 

インターネットプロバイダーを変更したのをきっかけに、Blogが解約となってしまいました。その後、忙しさにかまけて半年間放置していました(汗)念のため過去の記事はエクスポートしてあったのですが、ようやくインポート先が見つかりました。

この間に、「Blogずっと見ていましたよ」「Blogどうしちゃったんですか?」と遠方の色々な方に言われて、「あぁ、見てくれている人がいたんだ。」としみじみ思った次第です。

基本的に、コメントを求めないし、返信も少なめというスタイルで約17年間やってきました。過去に書いた記事を調べようにもBlogを解約してしまっていたので、探すことができず私自身が不便に感じていました。自分にとってもBlogが大事な外部記憶装置になっていたと半年離れてみて実感しました。

Twitterを始めて10ヶ月が経ちますが、情報がプッシュ型で得られるのは良いですね。しかし、まとまった調べ物を書くには向いていないなとも思います。せっかく長く続けてきたBlog習慣なので、またボチボチと医療ソーシャルワーク関連の記事を書き綴りたいと思います。

「神戸市、全国で課題の「ヤングケアラー」支援プロジェクトを始動 ~相談する先がわからない、身近に同じ境遇の友人がいない、などの課題を持つ子どもたちを支援~」『PRTIMES』2021年5月11日

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「神戸市、全国で課題の「ヤングケアラー」支援プロジェクトを始動 ~相談する先がわからない、身近に同じ境遇の友人がいない、などの課題を持つ子どもたちを支援~」『PRTIMES』2021年5月11日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000078202.html

神戸市が、PRTIMESを活用して「ヤングケアラー」支援プロジェクトのPRを行っています。

〇ポイント
・2019年10月に起きた事件をきっかけに、同市福祉局主幹にて2020年11月よりヤングケアラーの支援に向けたプロジェクトチームを発足。
・関係機関、支援団体、元当事者、学識経験者へのヒアリングを実施。
ヒアリング結果を踏まえて、2021年度より(1)相談・支援窓口の設置、(2)身近な方々への理解の促進、(3)交流と情報交換の場の3つの取り組みを実施予定。
・2021年4月より、同市こども家庭局に別途「こども未来担当局長」を新設。内閣府出向者が就任。

〇感想
国によるヤングケアラーの実態調査の結果が報道され、ヤングケアラーに対する支援の必要性が注目されています。行政による支援がなされることは良いですね。

学識経験者として、大阪歯科大学 医療保健学部(社会福祉士コース) 准教授の濱島 淑恵氏(社会福祉学)が本テーマで研究活動をされていることを知りました。相談員の条件と雇用形態が「社会福祉士等の非常勤職員」となっていることが気になります。別の記事によると「6月から社会福祉士3人が専属で相談を受ける」とのこと。

この実践を知る機会が出てくることを待ちます。先日の現代書館のイベント(第2回)で得た気づきですが、学会の分科会では通常、児童・障害者・高齢者などカテゴリーごと分かれています。自分の興味関心のある分科会にいればそのテーマについて学ぶことができる一方で、別のテーマの研究・実践を知る機会が減ってしまいます。とはいえ、専門性を高めるにはある程度カテゴリーで集約して議論すること必要です。両者のバランスが難しいですね。そのため分野別でやりつつも、時に分野を横断する共通テーマで横ぐしで指すような企画もやる、というのが良いのだと思いました。研修担当者としてメモ。

いつも思いますが、この横ぐしでソーシャルワーク業界全体を知ることができる月刊誌や週刊医学界新聞のような媒体が欲しいです。もちろん、既存の福祉系雑誌は目を通していますが、その上での思いです。