令和4年度 診療報酬改定×社会福祉士(注目は精神保健福祉士による相談支援に報酬算定)

令和4年度診療報酬改定に向けて、本日いわゆる短冊が公開されました。

社会福祉士関連項目について、抜き出しとコメント記載しました。事実誤認やミスリーディングもあるかもしれません。ご指摘ください。

中央社会保険医療協議会 総会(第513回) 議事次第」4 . 1 . 2 6

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000887197.pdf


■重症患者初期支援充実加算(p40) (新)
[施設基準]
(1)患者サポート体制充実加算に係る届出を行っている保険医療機関 であること。

(4)入院時重症患者対応メディエーターは、当該患者の治療に直接関わらない者であって、以下のいずれかに該当するものであること。なお、以下のアに掲げる者については、医療関係団体等が実施する特に重篤な患者及びその家族等に対する支援に係る研修を修了していることが望ましいこと。
ア 医師、看護師、薬剤師、社会福祉士公認心理師又はその他医 療有資格者

コメント:予定通りの社会福祉士掲載。研修終了は望ましい規定に留まった。今後、救急認定ソーシャルワーカー認定機構を中心に、この領域での議論を深める必要がある。

■特定機能病院リハビリテーション病棟入院料(p84) (新)
[施設基準]
(9)当該病棟に専従の常勤の理学療法士が3名以上、専従の常勤の作 業療法士が2名以上、専従の常勤の言語聴覚士が1名以上、専従の 常勤の管理栄養士が1名以上、在宅復帰支援を担当する専従の常勤社会福祉士等が1名以上配置されていること。

コメント:前回の改定で廃止になった特定機能病院での回復期リハ基本料算定の復活。施設基準としては回復基本料1相当。

■入退院支援加算(p102) (改)
[施設基準]
5 入退院支援加算の「注5」に規定 する施設基準 (2) 当該入退院支援部門に、入退院 支援に関する十分な経験を有する専任の看護師及び専任の社会福祉士が配置されていること。 なお、当該専任の看護師及び専 任の社会福祉士については、週3日以上常態として勤務してお り、かつ、所定労働時間が週22 時間以上の勤務を行っている専 任の非常勤看護師又は専任の非常勤社会福祉士(入退院支援に 関する十分な経験を有するもの に限る。)をそれぞれ2名以上 組み合わせることにより、常勤看護師又は常勤社会福祉士と同 じ時間帯にこれらの非常勤看護 師又は非常勤社会福祉士が配置 されている場合には、当該要件を満たしているとみなすことが できる。

コメント:前回の改定で入退院支援加算1・2に追加された非常勤要件が、医療資源の少ない地域(注5)にも適用拡大。中医協議論を踏まえると、予想以上に緩和範囲は小幅に留まる。

■入退院支援加算(p244) (改)
[算定要件]
入退院支援加算1及び2について、算定対象である「退院困難な要因を有する患者」として、ヤングケアラー及びその家族を追加する

サ 家族に対する介助や介護等を 日常的に行っている児童等であ ること
シ 児童等の家族から、介助や介護 等を日常的に受けていること

コメント:前評判通り入退院支援加算にヤングケアラーが算定対象追加。サはヤングケアラー本人が患者として入院した場合、シがヤングケアラーからケアを受けている患者という意味か。関係機関に繫げることについて評価の記載がない。ここは要求のしどころ。

■生殖補助医療管理料1(p324) (新)
[施設基準]
(6)生殖補助医療管理料1を算定する施設については、以下の体制を 有していること。
ア 看護師、公認心理師等の患者からの相談に対応する専任の担当 者を配置していること。
社会福祉士等の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携 調整を担当する者を配置していること。
ウ 他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整及びこ れらのサービスに関する情報提供に努めること。

コメント:今回政治的に注目された項目。まさかの社会福祉士が施設基準入り。専任規定はないので、兼務を想定している。念のため、疑義解釈で入退院支援業務及び地域連携業務を担う専任の社会福祉士が兼務可能か確認が必要。

■療養・就労両立支援指導料 (改)
対象疾患に、心疾患、糖尿病及び若年 性認知症を追加(p250)
[算定要件]
[施設基準]
精神保健福祉士又は公認心理師追加(p353)

コメント:事前の情報通り。

■総合周産期特定集中治療室管理料(p427) (改)
[算定要件]
注3 別に厚生労働大臣が定める施 設基準に適合しているものとし て地方厚生局長等に届け出た保 険医療機関において、胎児が重篤な状態であると診断された、又は 疑われる妊婦に対して、当該保険 医療機関の医師、助産師、看護師、 社会福祉士公認心理師等が共同して必要な支援を行った場合に、 成育連携支援加算として、入院中 1回に限り、●●点を所定点数に 加算する。

コメント:カンファレンスメンバーとして社会福祉士が明記。アリバイ参加にならない様に注意。

(番外編)
■通院精神療法(pp.360-361)(改)
注9 別に厚生労働大臣が定める施 設基準に適合しているものとし て地方厚生局長等に届け出た保 険医療機関において、1を算定する患者であって、重点的な支援を 要するものに対して、精神科を担 当する医師の指示の下、看護師又 は精神保健福祉士が、当該患者が地域生活を継続するための面接 及び関係機関との連絡調整を行 った場合に、療養生活継続支援加 算として、初回算定日の属する月から起算して1年を限度として、 月1回に限り●●点を所定点数 に加算する。ただし、注8に規定 する加算を算定した場合は、算定 しない。

[施設基準]
3 通院・在宅精神療法の療養生活継 続支援加算の施設基準
(1) 当該保険医療機関内に、当該支援に専任の看護師又は専任の精神保
健福祉士が1名以上勤務している こと。
(2) 当該看護師又は精神保健福祉士が同時に担当する療養生活継続支
援の対象患者の数は1人につき80 人以下であること。また、それぞれ の看護師又は精神保健福祉士が担 当する患者の一覧を作成している こと。

コメント:外来かつ1年間限定ではあるが相談支援に診療報酬がつく。看護師が施設基準に届け出る場合は、認定相当でなければいけない。専従ではなく専任のため、看護業務との兼務は可であることを想定。
MH協会の要望書では、「通院・在宅精神療法(I002)において、精神科を標榜する保健医療機関の外来診療部門に精神保健福祉士を1名以上配置した場合の体制に係る加算を新設してください。」と施設基準に関して要望。

https://www.jamhsw.or.jp/ugoki/yobo/2021.html#14

結果的に、「通院・在宅精神療法(I002)」の施設基準には認められていないが、同項目の療養生活継 続支援加算の施設基準に明記された。追加的に、算定要件に相談支援に対する「療養生活継続支援加算」が実現。相談支援そのものに診療報酬がつくことは画期的。1年間限定(これが重点的という意味か)、月1の算定、1人につき80人という縛りあり。
要望書では、MH協会はしっかりと調査データを添付していたことが勝因か。一般科においても、同じロジックで要望していく材料となりそう。看護師は認定相当でなければ算定できないとされたが、精神保健福祉士は資格があることのみが要件。つまり、相談支援の専門家であると認められたことを意味する。この点は今後の報酬改定議論において重要な布石となる。