「ケアマネ報酬を増額 質向上条件に 過剰なサービスを排除」『中日新聞』2005年6月7日

1件当たりの単価が高くなるから、現在の受け持ち件数を減らすといった経済行動をとる併設型居宅介護支援事業所がはたして存在するのだろうか。単なる労働強化にならなければいいのだが・・・

サービス提供事業所と居宅介護支援事業所を併設可能とした時点で、ケアマネの独立性を求めることは「出来ない相談」であったはず。その中で苦しむ居宅介護支援事業所ケアマネジャーの思いを察すると、厚生労働省の罪は重い。

もう一点。医療機関併設型(あるいは複合体内部)の居宅介護支援事業所では、サービス提供事業所併設型もしくは独立型の事業所と比べて、当然のことながら医療依存度が高く入退院を繰り返す利用者が多いことがあげられる。結果として、「担当はしているんだけれど、しばらく入院していて、プランが立てられず報酬がもらえない。しかし、退院してきた時の受け入れを考えると、安易に新規契約をする訳にもいかないし・・・」と葛藤を抱え、受け持ち件数はそこそこあるにも関わらず、収入が受け持ち件数に伴わないといった事態が起きていると思われる。


(以下、本文より引用)

厚生労働省は6日、来年度の介護報酬改定で、要介護者のサービス計画作成に当たる介護支援専門員(ケアマネジャー)の報酬単価を、計画作成時の関係者との協議など仕事の質の向上を条件とした上で、引き上げる方針を固めた。ただ、基準に満たない場合は報酬を減額し、格差をつける。

ケアマネの多くは訪問介護などの事業者に所属しており、事業者の意向に沿ったサービス計画を作るように圧力を受けやすいなどの指摘がこれまであった。厚労省は、報酬引き上げでケアマネの独立性を高め、結果的に過剰なサービスを減らしていきたい考えだ。

具体的には、要介護者のサービス計画作成に当たり①介護の担当者や主治医などとの「サービス担当者会議」を開いたか②継続的に利用者の状態を把握しているか③医療との連携ができているか-などの基準を設け、基準を満たした場合には現在の報酬単価(850点:筆者注)を引き上げる。同時に、基準を下回る場合には減額する。現在も減額の仕組みはあるが、格差を明確にする方向だ。

一人一人に時間をかけた結果、担当する利用者の数が減っても、総報酬としては現在を上回るよう単価を設定することを検討する。