第3回近隣地域老健支援相談員合同懇親会開催

昨日、先回と同じく高粋舎(はいからや)三河安城店にて、第3回近隣地域老健支援相談員合同懇親会(仮称)が開催された。今回は、4施設8名の支援相談員が参加。 今回は、幹事施設の相談員から2つ事例を提出してもらい、皆で検討することになった。やはり支援相談員のみの集まりだけあって、議論が大変しっくり来ることに安堵。こういう集まりも大切である。 検討の結果として、以下8点が印象に残った。備忘録としてメモ。 ①生活保護を受給しているクライアントの処遇を検討する際は、支援相談員だけで抱え込むのではなく、担当の生活保護CWにも関わってもらうことが肝要である。 ②(特に認知症高次脳機能障害が無いクライアントが、自宅に帰りたいと表明した場合)家族介護力が低く、在宅復帰の可能性がないであろうと支援相談員が判断したとしても、在宅復帰が、実現するしないに関わらず、クライアントが次のステップに移るためにも、あえてクライアントの意向通り一旦歩ませてみることも大切。具体的に言えば、とりあえず一緒に自宅訪問してみるのもあり。そこで、本人の出来ること出来ないことを実体験してもらう。本人が納得しないと、周りがどれだけ動いても本人は付いて来ない。「直面化」技術の必要性。 ③本人・家族が疾病・障害について受容できるか否かは、彼ら彼女らの個人的努力だけではなく、施設側がクライアントに対して持っているADLの評価を、正確に伝え、コミュニケーション出来るシステムを有しているか否かも関係している。そのシステムがあった上で、支援相談員としての介入が行われる必要がある。医師によるムンテラが期待できない場合は、リハスタッフに役割を担ってもらう必要があるが、担ってもらえるか否かは施設ごとに異なる。老健の特殊性。 ④クライアントの希望がニーズまで昇華できておらず、ディマンドに留まってしまい施設側とゴール設定に乖離が生じる可能性がある場合は、まずインテーク段階で医療機関側の下している、ゴールについて確認することと、そのゴール設定に対して本人・家族がどのように理解しているのかについて事前に確認しておく必要がある。ディザイア・ディマンド・ニーズの三重構造や、フェルトニーズ・ノーマティブニーズ・リアルニーズについての理解が必要。 参考:小西加保留「保健医療領域における対人援助技術」『桃山学院大学総合研究所紀要』第30巻第2号,2004.pp.31-44 ⑤専門職は誰しも、クライアントの意向を実現してあげたいという思いと、自分にはそれを実現してあげられるだけの能力があることを示したいという思いが交差している。例えばケアマネジャーが、本人・家族の意向をいつもきちんと代弁してくれる訳ではないという発想が必要。本人・家族の意向が何なのか支援相談員の中でブレが生じた場合は、基本に立ち返り、ケアマネを経由するだけではなく、本人・家族と直接話し合うことも必要。 ⑥社会資源は、自分の思い込みや伝聞だけではなく、泥臭く探すプロセスも重要。 ⑦支援相談員は、本人・家族の論理と、施設の論理、両者の狭間で働く職種である。しんどいけれども逃げるのではなく、その立場を活かすことで、両者を変容させることができる可能性を持っていることは、むしろ職種の独自性・面白みではないか。 ⑧自宅退所者に占める、退所前訪問実施率という指標の必要性。データを踏まえた議論は、より具体的となりうる。 次回は、07年1月に幹事施設の方のご自宅にて開催予定。お鍋が楽しみだなー。 関連:第1回第2回


・06.11.12 16:12 修正