第5回介護施設等の在り方に関する委員会資料(平成19年6月20日開催)

第5回介護施設等の在り方に関する委員会(平成19年6月20日)が、本日開催された。 今回は、「療養病床から転換した老人保健施設における医療サービスの提供について、療養病床転換促進のための追加支援措置について等」について議論。議事録は次回の資料が公表されるまでしばしお預けなので、どういった議論がなされたのかは現時点では不明である。 全体方針として、社会的入院を減らすことには賛成だ。しかし、どうしても納得がいかないのは老健の扱いである。 なぜ、転換先が老健なのか。なぜ医療機能強化型老健としてまで老健にこだわるのか。名前が同じなのに、片や在宅復帰を目指し、片や看取りを目指す。利用者や家族からみてこれほど混乱しやすい施設になぜわざわざするのか。 なぜ、小規模老健人員基準において、支援相談員や介護支援専門員といった相談業務従事者のみが非常勤扱いでもよいとなってしまうのか。看取るだけの施設では、常に相談にのる体制はとらなくても良いというのか。何のために終末期ガイドラインが出来たのかが分からない。 第4回の議事録で、対馬委員が以下のように述べている。 対馬委員) 今の質問とも関連するが、今回、老健施設ということで整理されているが、確かに療養病床から老健施設というのは主力ではあるが、やはり全体的な特養とかを含めて議論しなければいけない。 例えば、看取りなどを見ると、たしか、前の資料などでは特養の方が看取りの割合が高いという数字もあったと思うが、そうすると、老健の場合は看取りが低いので医療の体制を強化するといった結論に本当になるのかということがあり、また、看取りをやっていくというのはわからなくはないが、先ほど来、出ているように老健の基本的な性格はちょっと変わってくる。中間施設、リハを中心にというところが。 そうすると、どうしてもやはり、介護の療養病床がなくなるので老健をちょっと拡充しましょうかと、こういうだけの話でいいのか。全体的に従来の施設を特定施設を含めて見直していく。そういったことも必要であり、今話が出ていた在宅との関係も必要だ。いずれにせよ、なぜ、ここの介護を老健施設だけに限定したのか。そこだけ少し質問しておきたい。 そう。その通り。老健の理念・役割に共感する療養病床経営者が老健に転換する分には一向に構わないが、そうではない経営者に転換してきてもらっては困る。老健の存在意義自体が問われかねない。 なお公平を期すために言及しておくが、厚労省も「在宅復帰支援機能加算」を平成18年度より創設し、在宅復帰に頑張って取り組んでいる老健には定員100名規模の標準的な老健で年間400万円弱の利益が出るようにしてくれている。これは単純にいって介護職員1人分の年間人件費に相当する。 そのため、ややうがった見方をすれば、医療機能強化型老健の創設は病床再編の通過点なのかもしれない。今回の発案は厚労省サイドではなくて、療養病床経営者サイドからのものであり、これに厚労省側が退出までの「時間的猶予」を与えるためにとった救済策と考えることも出来る。入院患者の行き先が突然なくなってしまうことによる社会的混乱を避ける必要もあったと思われる。 つまり、ゆくゆくは老健としてその理念・役割に反する成績しか上げられないところの介護報酬を更に減らして経営を立ち行かなくさせ、介護保険市場からの退出を促し、老健自体を更に純化させようという狙いもあるのではないだろうか。あるいは、現状を踏まえて在宅復帰方と看取り型の2種類の老健に分けた報酬体系とするのか。 老健は、厚労省が出している老健老健であるための「切り札」を決して無駄にせず、自助努力をもってして老健であろうとすることがまさに求められているのである。