「臨床研究入門 着想から論文執筆まで」『総合リハビリテーション』

「臨床研究入門 着想から論文執筆まで」『総合リハビリテーション』2007.35巻1~6号が大変面白い。著者は、京都大学保健管理センターに勤務する川村孝所長、安藤昌彦准教授、後藤雅史助教の三人。川村孝氏は、6/7の記事で紹介した、『エビデンスをつくる』医学書院,2003.10の著者でもある。 「既存のデータであれ、新たに集めたデータであれ、解析して知見を得たときにはそれを報告しなければならない。それは、医療や保健事業の直接のエビデンスは保健・医療の現場からしか得られず、そのエビデンスの素となる臨床上の経験は一臨床家や一施設の範囲では限りがあるため、皆で持ち寄って共有するべきものだからである。また、データを収集した以上はそれを世に出して活用してもらわなければ、データを提供していただいた患者らに報いることにならないからである」『第6回連載』p573 「医療や保健事業」「保健・医療」という言葉を「福祉」に置き換えてもあてはまる。「エビデンスの素となる臨床上の経験は一臨床家や一施設の範囲では限りがあるため、皆で持ち寄って共有する」ことがまさに福祉臨床家の弱いところであろう。


・川村孝「連載第1回 臨床研究総論-臨床研究の必要性、考え方、そして倫理問題-」pp.49-54 ・後藤雅史「連載第2回 文献レビュー-医学研究の現状を知ることの重要性、文献検索方法、批判的吟味-」pp.159-165 ・後藤雅史「連載第3回 研究テーマの立案-リサーチ・クエスチョンの具体化、データの収集と整理および入力-」pp.248-253 ・安藤昌彦「連載第4回 研究デザインの選択-記述研究、コホート研究、症例対照研究、介入研究-」pp.351-356 ・安藤昌彦「連載第5回 データの分析-正しい分析方法を選択するために-」pp.467-472 ・川村孝「連載第6回 論文の書き方」pp.573-581 【関連】 「特集 脳卒中ガイドラインリハビリテーション」『総合リハビリテーション』33巻12号,2005,pp.1102-1124 「増大特集 リハビリテーション医学2007-最近10年の動向とエビデンス」『総合リハビリテーション』第35巻10号,2007(予定)