第7・8回医療社会福祉計画論演習(08.5.29)

本日は、二木先生の『医療改革 危機から希望へ』勁草書房,2007の「第1章 世界の中の日本医療とよりよい医療制度をめざした改革」pp.1-24と「補論1-5」pp.25-42を題材に演習。 ○平均在院日数の短縮化と医業収益 「医療需要に比べて、医療供給が不足している分野では、医療効率化による在院日数の短縮により荘医療費が増加します。その好例が、脳卒中の早期リハビリテーションです。早期リハビリテーションにより、廃用症候群の予防、機能障害やADLの改善等の医療効果が向上するだけでなく、平均在院日数も短縮されます。その結果、入院患者1人当たりの医療費は減少し、医療効率は向上しますが、平均在院日数の短縮に伴い、入院患者総数が増加することにより、総医療費は逆に増加するのです。」(p29) 前提:ブランド病院であったり、需要が供給を上回っている地域にある病院 平均在院日数を減らす→入院患者総数が増加する→総医療費が増加する≒医業収益が上がる その分コストもかかる。君の議論は混線しているよ。ナルホド。 ○効率と医療の効率化を考える場合の3つの留意点と大前提(p39) ・効率とは限られた「資源・費用」をもっとも有効に用いて最大の「効果」を引き出すこと(効果÷費用を最大化すること)であり、原理的には医療費抑制とは異なる。 ・医療の効率化を考える場合の3つの留意点と大前提 ①国民・患者が最適な医療を受ける権利(公平)を保障する ②資源・費用の範囲を広く社会的次元で把握し、公的医療費以外の私的な医療費負担、金銭表示されない資源・費用も含む ③効果を総合的、多面的、科学的に評価する 医療効率を考える大前提は、当該医療技術・医療サービスの効果がなんらかの方法で証明されていること。 ○「持ち分なし」の意味 出資者に配当することは、禁止されている。基本的に利益は医業に再配分することが原則。しかし法律上は解散時に出資者に対して出資金以上に配当をすることを禁止してはいない。新自由主義的論者はこの点を「非営利ではない」と突いてくる。しかし現実に解散の多くは倒産の時である。また解散しても他の医療法人が吸収合併するため出資者に解散時の資産を配当することはみられない。出資限度額法人は、出資金以上に返金を受け取ることが禁止されている。08年4月以降に開設した医療法人と今後誕生する社会医療法人は「持ち分なし」。「持ち分なし」とは、基本的に奉仕。返金はない。