特別レポート「退院支援専門ソーシャルワーク研修」2008年6月7・8日

2008年6月7・8日と2日間に渡って、日本医療社会事業協会主催の「退院支援専門ソーシャルワーク研修」が開催されました。当日参加された東京の知人の方から、特別レポートをご提供頂きましたので、ご本人の許可を得て、以下転載します。 ちなみに、本文中に出てくる「退院調整看護師養成プログラム」の企画・立案の指揮を執られたのは、日本福祉大学篠田道子先生です。関連本も出版されています。大変実践的なプログラムであり、学ぶことが多いと思います。 【引用文献】 ・篠田道子編『ナースのための退院調整』日本看護協会出版会,2006.12


[1日目] 13:00~13:15 オリエンテーション 13:15~14:15 講演 後期高齢者医療制度~住み慣れた地域で安心して暮らすために~ 野中医院 医師・野中博氏 14:15~15:20 講義 退院支援業務の概観 日本福祉大学 田中千枝子氏 15:30~16:00 アイスブレーキングによるグループ分け・係決め・(発表者・書記) 16:00~17:00 話し合い 退院支援で困っていること KJ作業ののち A4清書図示 17:15~17:45 発表 17:45~18:00 まとめ 18:00~18:30 話し合い 退院支援業務の課題の抽出 18:30~19:00 課題の書き出し作業 貼り出し見学 [2日目] 9:00~ 9:10 講義 連携の方法論の検討 その枠組みの提示 日本福祉大学 田中千枝子氏 9:10~ 9:35 組織・地域アセスメント作業 フォーマットへの記入 退院支援業務 攻略マニュアルの作成 フォーマットへの記入 退院し支援に関してSW部門の1年後のあるべき姿(目的) 到達目標 重点項目3つ (主語)が○○できるようになる 方法 手順 実行にあたっての留意点 到達された証拠 10:30~10:45 グループ内フィードバック 10:45~10:50 まとめ 11:00~12:00 講義 SWとNSの協働による退院支援 NTT東日本関東病院 看護師・宗川千恵子 12:00~13:00 昼食 13:00~14:00 講義 退院支援におけるSWアセスメントの重要性 ~アセスメントツールとしてのエコマップの活用~ 東京医科歯科大学医学部附属病院 佐原まち子氏 14:00~14:10 グループわけ 14:10~14:15 事例検討の説明 オリエンテーション 14:15~14:35 事例プレゼンテーション 14:25~14:40 質疑応答 14:40~15:00 エコマップ作成のマッピング作業 15:10~15:40 発表(グループ内フィードバック) 15:40~16:00 講師コメント まとめ 16:00~16:30 全体質疑 フィードバック 2日間のプログラム内容は上記の通り。 ところどころに講義ははいるものの、全体的にグループワーク中心。 一緒に出席した知人との第一の感想は「もっと技術的なことを教えてくれると思っていた。」で、私や知人の研修に対する期待と日本協会の研修出席者に対する期待が合致しなかったようです。以前にも日本協会の業務開発研修に出席したのですが、やはり同様のグループワーク中心で、研修終了後に何とも言えない不全感が残ったので、「またか……」といった感じでした。 グループワークそれ自体は決して嫌いではなく、出席者の連帯感、果てはソーシャルワーカー同士の連帯感を高めるためには有効な手段だと思ってはいますが、私個人としては、退院支援に係る多職種の力動を考えながらの退院支援の進め方や、なぜ院内の退院支援システムがうまく作動しないのか、そういったことを組織論など専門的な観点から分析して検討していくような手法を学びたかったのですが、それはソーシャルワーカーが所属する各機関それぞれの違いがあるから難しいことなのでしょうか? しかし、初日の「退院支援で困っていること」などであげられたものは、他職種・他部署との連携不足、MSW業務への認知度の低さ、家族の理解不足などで、「MSWとしての悩み」とタイトルを変えてもあがってきそうな内容ばかりで、どの研修会でもよく聞かれる話題であり、MSWとしての長年の課題なのではないでしょうか? グループワークを行うことによって、『MSWが今とても大変な岐路に立たされている。けど、みんないるから頑張っていこうよ。』といった連帯感が生まれ、孤立感が多少薄れる効果があるかもしれないのですが、どうしても昔の日本軍のように「燃料なくても気合で飛ばせ」と言われている印象を受けてしまう。私は燃料も欲しいし、戦術も学びたいのだけど……。 以前に看護協会などで行われていた退院支援に関する研修プログラムを見たことがあっただけに、日本協会にも過剰な期待を求めてしまったのかもしれないと思っています。