書籍紹介
執筆者の一人でもある、日本福祉大学長沼健一郎先生よりご紹介。「分担執筆ですが、単なる寄せ集めではなくて、研究会で何度も討議した上で、各人が執筆した内容ではあります。」とのこと。早速注文。読むのが楽しみだなー。
菊池馨実編『『自立支援と社会保障 主体性を尊重する福祉、医療、所得保障を求めて』』日本加除出版,2008.5 3,780円(税込) 408頁 ○内容(出版社HPより) 「【自立】とは何か?なぜ尊重されるべきものなのか?」 「ひとり親家族、低所得者、障害者の【自立】【支援】とは?」 「どのような【支援】のための政策手法があり得るのか?」 「【自立支援】の観点から今後の社会保障制度改革に向けての提言はないのか?」 自立・自立支援を軸に、社会保障体制の現状と課題、あるべき方向性が明らかに! 社会保障法学を専攻する法律学研究者、社会保障政策の立案に携わる実務家で構成された「自立支援研究会」による、自立支援に関する唯一の研究書! 【目 次】 第1部 総 論 第1章 日本の社会保障の歴史と自立支援 (西村 淳) Ⅰ はじめに Ⅱ わが国社会保障の歴史 1.社会保障制度の歴史 2.日本型福祉国家の特色と変遷 Ⅲ 新たな社会保障の理念としての自立支援 1.自立支援の理念 2.自立支援の観点に立った社会保障の具体的な方向性 Ⅳ 自立支援論の問題点と課題 1.負担の観点からの「自立自助論」との区別 2.日本と欧米の事情の違い 3.学際的なアプローチ 4.自立は就労に限られるのか ケア論からの示唆
第2章 社会保障法における「自立」の意義 (品田 充儀) Ⅰ はじめに 1.「自立」強調の背景 2.社会保障法の目的とその根拠に関する議論の動向 Ⅱ 「自立」の定義と検証の意義 1.「自立」の定義 2.社会保障における「自立」の規範性 3.「自立」検証の意義 Ⅲ 「自立」概念の把握法 1.「自立」の要素とその調和 2.欲望の連鎖としての「自立」 3.定量的な概念としての「自立」 4.相対的な概念としての「自立」 Ⅳ 社会保障法における「自立」価値の二面性 1.社会的価値としての「自立」 2.個人的価値としての「自立」 Ⅴ 真の「自立」への道筋 1.権利行使の主体性の確保 2.自我の認識と目に見える連帯 3.挑戦意欲を失わせない適正な給付 Ⅵ おわりに
第3章 「自律」をめぐる法理論の諸相 (尾形 健) Ⅰ はじめに Ⅱ 「自律」をめぐる議論状況 1.法における人間像の転換 2.「自律」の法理論の展開 Ⅲ 「自律」観をめぐる若干の検討 1.「自律」の意義 2.「自律」の意義と射程 Ⅳ むすびにかえて
第4章 自立支援のための「社会連帯」 (新田 秀樹) Ⅰ はじめに 問題の設定 Ⅱ 社会連帯の多義性 1.社会連帯の当事者 2.社会連帯の外観的形態 3.社会連帯の基盤と保障されるべき生活水準 4.社会連帯の規範性の性格と強度 Ⅲ 社会保障の規範的根拠としての社会連帯 1.「社会保障の規範的根拠であること」の意味 2.社会保障の規範的根拠としての社会連帯の内容 Ⅳ 「自立支援のための社会連帯」の意義 Ⅴ 「自立支援のための社会連帯」についての若干の留意点 1.「自立支援のための社会連帯」の限界性 2.日本における「社会連帯」 Ⅵ おわりに
第5章 自立「支援」のための政策手法の検討 社会保障給付における誘導的手法 (長沼 建一郎) Ⅰ はじめに Ⅱ 自立支援を中心に据える考え方 従来の考え方との違い Ⅲ いくつかの誘導的手法のタイプ Ⅳ 誘導的手法における政策選択 1.インセンティブ型/サンクション型の選択 2.法的整合性の観点 3.折衷型の調整の位置づけ Ⅴ 条件付き給付の検討 1.条件付き給付という政策手法 ワークフェア施策としての文脈 2.その性格と位置づけ 3.実施に当たっての問題点 4.政策手法としての評価の視点 Ⅵ 条件付き給付の契約類似性 1.双務契約との類似性 2.その評価の視点 3.ソーシャルワークとの関係 4.契約観との関係 Ⅶ まとめに代えて
第2部 各 論 第6章 子育ち,子育て支援施策と自立支援 (福田 素生) Ⅰ はじめに Ⅱ 児童福祉法に基づく法制度 1.対象と基本理念 2.支援策の具体的内容や実施状況など Ⅲ ひとり親家庭対策の法制度 Ⅳ 経済的支援に関する法制度 1.児童手当 2.児童扶養手当など 3.小 活 Ⅴ 労働関係の法制度 1.労働基準関係の法制度 2.育児休業制度 3.雇用環境の整備 Ⅵ まとめ Ⅶ 今後の方向性 1.基本法の制定 2.具体的な対応 関係法の体系的整備と内実のある具体的な支援策 3.財源について
第7章 ひとり親家庭と自立支援 (橋爪 幸代) Ⅰ はじめに ひとり親家庭の特徴 Ⅱ ひとり親家庭支援施策における自立の視点 1.児童扶養手当法における自立 2.母子及び寡婦福祉法における自立 Ⅲ ひとり親と就労支援 1.ひとり親の就労状況 2.児童扶養手当法における就労支援 3.母子及び寡婦福祉法における就労支援 Ⅳ 非監護親からの養育費徴収 1.非監護親による養育費支払い状況 2.養育費の徴収と関連制度 Ⅴ ひとり親家庭と育児・生活支援 1.母子及び寡婦福祉法における生活支援 2.母子生活支援施設 3.小 括 Ⅵ おわりに
第8章 低所得対策・最低生活保障と自立 (山田 晋) Ⅰ はじめに Ⅱ 自立にとって経済的保障とは何か 所得保障(経済的保障)にとって自立とは何か 1.自立における経済的保障 2.自立のために構想される所得保障給付 3.最低生活と自立 Ⅲ 低所得と労働(ワーキング・プアなど) 1.なぜワーキング・プアが生じるか 2.最低賃金制度の概要 Ⅳ 障害,老齢,遺族に対する給付 Ⅴ 失業と社会保障 1.失業とは何か 2.失業と社会保障 失業保険と失業手当 3.雇用保険制度の仕組み Ⅵ 生活不能給付・公的扶助と自立 1.最低生活線と自立 2.生活保護と自立 3.保護の補足性の原理と自立 4.自立と資産・能力活用 5.保護の種類及び範囲 6.自立支援プログラム Ⅶ 「生活福祉資金」制度 Ⅷ 低所得者・最低生活保障と自立の残された課題 1.生活保護,労働,自立 2.所得保障法制と自立指導の分離 3.生業扶助の改善 4.医療扶助の改革 5.保護施設の向上 6.自立支援プログラムの実態と課題,権利性 7.生活福祉資金貸付制度の活用 Ⅸ おわりに
第9章 障害者福祉関係法における「自立」 身体障害者福祉法を中心に(矢嶋 里絵) Ⅰ 関係法は「自立」をいかに規定しているか 1.障害者基本法 2.精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 3.知的障害者福祉法 4.発達障害者支援法 5.小 括 Ⅱ 身体障害者福祉法における「更生」及び「自立」概念の変遷 1.1949(昭和24)年制定法 2.1951(昭和26)年改正法 3.1967(昭和42)年改正法 4.1984(昭和59)年改正法 5.1990(平成2)年改正法 6.小 括 Ⅲ 今問われる障害のある人の「自立」 1.障害者自立支援法における「自立」 2.自立と差別禁止
第10章 障害者自立支援法における自立支援 (小西 啓文) Ⅰ はじめに Ⅱ 障害者自立支援法の制度 1.目的と実施責任 2.自立支援給付の内容 3.地域生活支援事業 Ⅲ 施設再編の論理と障害者就業・生活支援センター 1.障害福祉計画の目標設定 2.サービス体系の再編 3.施設再編の論理と現実 小規模作業所と「地域活動支援センター」 4.障害者就業・生活支援センター事業の進捗状況と評価 Ⅳ ドイツ法からの示唆 1.基本的枠組み 2.使用者及び重度障害を有する者の義務及び権利 3.解雇制限手続 Ⅴ むすびにかえて
第11章 高齢者の自立支援 就労支援の観点を中心として (本田 達郎) Ⅰ はじめに 高齢者の自立支援の意義 Ⅱ 高齢者の就労支援 1.高齢者の自立支援における就労支援の意義 2.高齢者雇用施策とその目的の変遷 3.高齢者就労支援施策の概要(現行) 4.評 価 Ⅲ 高齢者の就労につながる所得保障のあり方 1.高齢者の自立支援における所得保障の意義 2.高齢者の年金と就労の関係 3.年金以外の所得保障施策と就労の関係 Ⅳ 高齢者の社会保障負担と自立支援 1.社会保障負担と自立支援に関する論点 2.高齢者の社会保障負担の概要 3.保険料負担の状況 4.自己負担の状況 5.今後の負担のあり方 Ⅴ 今後の取組みの方向性 1.企業の取組みを含めた就労支援施策の強化 2.高齢者の雇用支援施策と高齢者保健福祉施策の連携 3.就労に中立的な社会保障給付の構築 4.高齢者の自立を損なわない保険料や自己負担のあり方 5.団塊の世代等の新たな高齢者世代の出現への対応 6.最後のセーフティーネットである生活保護の位置づけの強化 7.残された課題
第12章 医療・介護保険制度における 予防重視型システムへの転換と自立支援(原田 啓一郎) Ⅰ はじめに Ⅱ 医療・介護分野における予防活動の展開 1.地域保健の展開 2.老人保健法の保健事業 3.医療保険の保健事業 Ⅲ 医療・介護分野における予防重視型システムへの転換 1.2005年介護保険制度改革と予防活動 2.2006年医療制度改革と予防活動 Ⅳ 医療・介護保険制度における予防重視型システムと自立支援 1.予防重視型システムの主な特徴 2.予防活動の実施義務と参加 3.予防重視型システムへの転換と自立支援 Ⅴ むすびにかえて
第13章 医療・介護サービスにおける利用者の選択の支援(石田 道彦) Ⅰ はじめに Ⅱ 医療サービスにおける選択の支援 1.医療サービスにおける患者の選択 2.医療サービスにおける情報提供の仕組み 3.検 討 Ⅲ 介護サービスにおける選択の支援 1.介護サービスにおける利用者の選択 2.介護サービスにおける情報提供の仕組み 3.検 討 Ⅳ おわりに
第14章 自立支援と権利擁護 (大原 利夫) Ⅰ はじめに Ⅱ 成年後見制度 1.法定後見制度 2.任意後見制度 3.成年後見制度の現状 4.成年後見制度の問題点 Ⅲ 日常生活自立支援事業 1.日常生活自立支援事業 2.事業の概略 3.日常生活自立支援事業の現状 4.日常生活自立支援事業の課題 Ⅳ 苦情解決制度 1.自立支援と苦情解決 2.事業者による苦情解決 3.運営適正化委員会による苦情解決 4.国民健康保険団体連合会による苦情解決 5.苦情解決の現状 6.苦情解決の課題 Ⅴ 自立支援と権利擁護 1.アメリカの代理受取人制度 2.自立支援制度の拡充 Ⅵ おわりに
終 章 自立支援と社会保障 (菊池 馨実) Ⅰ はじめに Ⅱ 「自律」基底的社会保障法論の意義 Ⅲ 自立を重視することの意義 Ⅳ 自立支援の視点からみた社会保障制度の基本的考え方 Ⅴ おわりに