箱入りソーシャルワーカーと介護支援専門員

介護保険制度が出来て10年目。介護支援専門員(以下、ケアマネ)の経験値が着実に高まってきている。政治的行動も上手く、議論だけで行動できないソーシャルワーカー職能団体と歴然とした差が表れている。特に業務アピールや他職種との団体交渉、行政へのロビーイングソーシャルワーカー職能団体と比べて上手い(もちろん、それらの行動の在り方に不満を表すケアマネの存在もある)。 病院・老健に所属する(箱入り)ソーシャルワーカーと比べて、ケアマネの強みは以下2点。 第1に、全国各地にいてくれるため、本人・家族にとっても良く知られるようになった。そういう人たちがいるということを認知されているかいないかは、利用してもらう上で大変大きい要素だ。(ソーシャルワーカーは全国各地にいないため、本人・家族にとって良く知られていない。故に利用漏れが発生する。) 第2に、日常的に自宅へ訪問して本人・家族とやり取りをするため、生活実態を把握しやすい。(在介・地域包括以外のソーシャルワーカーは箱入りのため、日常的に本人・家族の自宅まで訪問することはなく、生活実態については目視確認できる訳ではない。) これらの強みは、今後ますます高まるものと予想している。根本的には制度の裏付け(介護サービスを利用するにはケアマネに依頼するシステム)の有無に起因する。箱入りソーシャルワーカーは、あらゆる方略を駆使して地域へと出て行き、本人・家族の自宅や関係機関に直接足を運ばないと、知識偏重となり、存在意義は薄れていく。「仕事が忙しくてそんなことできる訳ない。」という程度の返事では理由にはならない。 自分自身が経営者だったら、ソーシャルワーカーにケアマネも兼務させて仕事をさせるであろう。「医療職→MSW→ケアマネ」というルートは介在する人が多すぎてまどろっこしい。そう言われるのが嫌であれば、地域に出て、地域を知って、ネットワーキングを体現すること。こういうルートでやる方がお互いにメリットがあると思われるような仕事をしなければいけない。 知識だけだったら、他職種でも多少勉強すれば知ることが出来る。知識だけでなく、それらを本人・家族の具体的利益となる様にマネジメントし、ネットワーキングする。そしてその技術を他職種にアピールし、診療・介護報酬に反映されるようロビーイングする。それが箱入りソーシャルワーカーが生き抜くための必要条件であろう。