「障害者自立支援給付:65歳以上、新宿区「認めぬ」内規 ALS、篠沢夫妻指摘で撤回 」『毎日新聞』2010年2月3日

どりーむさんのブログにて知りました。重要な記事だと思います。サービスの調整の中には法律・通知を踏まえた「交渉」も含まれる訳で、自分の無知が患者が今後利用するサービス量の制限に直結しかねないだけに毎回が神経を使います。 本文内に出てくる通知はこちら。 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長・障害福祉課長『障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について(障企発第0328002号・障障発第0328002号)』平成19年3月28日(三重県HPよりリンク)
「障害者自立支援給付:65歳以上、新宿区「認めぬ」内規 ALS、篠沢夫妻指摘で撤回 」『毎日新聞』2010年2月3日

 障害者自立支援法で定められた居宅介護などの自立支援給付について、東京都新宿区が昨年10月以降、65歳以上の障害者から新規申請があっても認めないよう内規で定めていたことが分かった。厚生労働省は実態に応じて同給付と介護給付の両方適用するよう求めており、区は「不適切だった」と認め、2日、措置を撤回した。【小泉大士】

 テレビ番組「クイズダービー」で活躍した篠沢秀夫学習院大名誉教授(76)と妻礼子さん(69)が1月に自立支援給付の申請について相談した際に断られ、内規が発覚した。篠沢名誉教授は昨年2月に進行性の難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症」(ALS)と診断され、既に介護給付を受けていた。

 厚労省の07年の通知などによると、65歳以上の障害者は、介護保険制度のサービスを受けるのが基本だが、介護負担が大きい場合などは、生活の手助けや補装具費補助などの自立支援サービスも受けることができる。

 だが区は昨年10月、「対象者が増えると事務作業などの面で処理しきれなくなる」と自立支援給付の運用ルールを改定していた。

 厚労省障害福祉課は「障害者自立支援法は、自治体は申請があれば面接を行い調査したうえで支給の是非を決めるよう定めている。新宿区の対応は法律違反の可能性もある」と指摘している。

 中山弘子新宿区長は2日、「職員から報告を受けてがくぜんとした。明らかに不適切で間違った対応。即座に改めるよう指示した」と話した。

 ◇「家内疲れ果てている」

 篠沢名誉教授はALSを患い、昨年4月に気管を切開し、たんの吸引など24時間介護が必要になった。自宅介護で、礼子さんが夜中2~3時間おきに吸引しなければならない。

 礼子さんは1月、自立支援給付について区に相談したが、断られた。「とにかく新規は受け付けないととりつくしまがなかった。職員は『障害者が増え、税金で賄いきれない』と言った。まるで障害になるのが悪いようだった」と憤る。

 区から2日、謝罪申し出を受け、礼子さんは「ほっとしています」と笑顔に。篠沢名誉教授は「家内が僕の介護で疲れ果てているのが、一番心配していることです。介護士に助けていただければ幸いです。妻に遠慮し(トイレなど)ガマンしていたのです」と紙に感想を書いた。【馬場直子】