ソーシャルワーカーのためのデータシステム講習会【大阪会場】参加レポート

本日、ソーシャルワーカーのためのデータシステム講習会【大阪会場】に参加してきました。会場は、大阪府済生会千里病院。 駅すばあと検索でヒットしたお薦めの路線で行ったら、JR吹田駅から阪急吹田駅まで10分近く歩かされて…。やはり機械的に何でも出来ると思ってはいけないという教訓でした。 さて、本日の講習の構成は以下の通り。会場は100人以上の人が造しめき合っていました。 1.ソーシャルワーカーがデータ作成をする意義 小野沢滋氏 亀田総合病院 2.SWHS2010 ソーシャルワークデータシステムについて 宮内佳代子氏 帝京大学医学部付属溝口病院 3.実演 飯島望氏 筑波学園病院 20100321152816.jpg 講習の様子 20100322105109.jpg

講習でもらったマニュアル(46ページ)と、CD-ROM


以下、構成順に印象に残った言葉をメモ。 1.ソーシャルワーカーがデータ作成をする意義 小野沢滋氏 亀田総合病院ミシガン大学病院で多くのMSWが勤務しているのを目にした。日本に戻ってきて亀田総合病院に勤務しているMSW数を確認したら4名しかいなかった。ソーシャルワーカーが何人いれば十分な援助が出来るのか?十分なというのは患者全員に今やっているソーシャルワーカーの援助が同じように出来るという意味。10年前に在宅医療部門の責任者となりMSW部門も管轄することに。MSWがいることで患者が退院するまでにきちんと声を聞き取り安心して退院して頂きたい。院長にMSWの増員を要求するためにデータが必要だった。 ・現在はMSW20名が勤務。来年度は21名になる。 ・ロジスティック回帰分析を行う場合は、マトリックスのマスの中に10件以上データがなければいけない。多くの説明変数を投入するにはそれだけ母数が多くなければいけない。 ・データベースの損つ力 ①自分たちの仕事の指標となる。 ②適切な報酬を得る基礎データとなる。 ③面接に根拠をもって臨めるようになる。 ④尊適な選択肢を示すことができる。 ・今回のデータシステムは日本のMSWが共通の形式でデータを集計・分析出来るということ。こんなことは他職種ではやっていない。実現できれば日本初となる。 ・データ入力項目は簡素になっていて、MSWにとっては物足りなくついつい書き・したくなるかもしれない。しかしデータ分析にとってはその行為がのちのち障壁となる。是非データは正確に入力して提出して行きたい。 2.SWHS2010 ソーシャルワークデータシステムについて 宮内佳代子氏 帝京大学医学部付属溝口病院 ・日本全体でMSWの実践をデータベース族する5つの背景 ①エビデンス・ベイスド・プラクティスの考え方 ②厚生労働省側から様々なデータ提出を求められる ③病院機能評族における第三者評族の必要性 ④クリニカルインジケーターの必要性(業務の質の担保) ⑤他職種と同様に業務の数量化が必要 ・クリニカルインジケーター 全米ソーシャルワーカー協会が発表した『ソーシャルワーカー実践基準および業務指針』に掲載されていた「急性疾患治療病院におけるソーシャルワークと心理社会的サービスのために勧められる中心的な業務指針」8つの指針。今回はこのうち、日本の実情を踏まえて①と③をデータシステムに採用した。 ①退院者総数に対して、ソーシャルワーカーがかかわった退院者の割合 ②利用についての調査で、急性期よりも低いレベルのケアでよいと指摘された患者の割合 ③患者と家族が好むことが、ソーシャルワークの退院計画に記録されている ④入院期卒の初めの4分の1の間に(ほとんどのケースで初めの48時間)、最初のソーシャルワーク・サービスを受けた患者の割合 ⑤ソーシャルワーカーが知らないまま退院してしまったソーシャルワーク患者の数を、ソーシャルワークがかかわった退院の数で割ったもの ⑥社会的に複雑な事情あるいは退院後ケアの問題で退院後15日以内に再入院した割合 ⑦ソーシャルワークの退院計画を受け、退院後フォローアップを7日以内に受けた退院患者の割合 ⑧存々の問題で特定された計画が達成できない結果に終わった割合 【参考】 全米ソーシャルワーカー協会(仲村優一監訳)『ソーシャルワーカー実践基準および業務指針』相川書房,1997,pp159-160 ・現時点のバージョンでのCD-ROM化。今後資金が獲得できればバージョンアップもありうる。 ・今回業務カウント方法を統一し、1日のうち患者1人あたり1カウントとした。また「援助時間」(システム設計上、15分単位)という項目を追加した。 ・データシステムを開発するにあたってヒアリングしたのは以下の4病院。それぞれの病院で、意図があって作っている独自の項目がありそれらを包括するシステムを作るのは不可能。どこの病院にも共通する設計にした。 ①東海大学医学部付属病院北里大学病院トヨタ記念病院がんセンター中央病院(がん診療拠点病院の相談データ) ・SWHS2010 ソーシャルワークデータシステムの検討委員は、現場のMSW8名と医師、研究者が集まり取り組んだ。こういうものは現場のMSWだけでは出来ない。システムデザインも含め研究者などの力も借りる必要がある。 ・今回のシステムで便利なものにソーシャルワークサマリーがある。次の病院・施設のソーシャルワーカーに引き継ぐ時に利用してもらったり、カンファレンス時に利用してもらいたい。 ・診療報酬の要望の際、厚生労働省から色々なデータ提出を求められたが、個々の病院で業務カウントの方法や項目が異なっており集計に困った。日本のMSW業務の発展のためにも、是非データを日本協会に提出して行きたい。 ・診療報酬改定議論前の段階でシステム設計をしていたため、2010年度から始まる社会福祉士が関連した新たな診療報酬項目が同システムに反映されていない。この点については次回のバージョンアップで反映を考えたいが、それまでの卒については、日本協会で検討して後日会員に連絡する。 ・データ提出は、今年度2回。来年度以孫は1回。提出時期・方法については、改めて会員に連絡する。提出方法は、USBやメール添付送付が考えられる。あくまでも存人情報が特定されない形での提出が出来るようシステム設計されている。 3.実演 飯島望氏 筑波学園病院 ・今年の1月から実際に利用してみた。日報の作業時間が短縮できたことはとても良かった。 ・マニュアルに掲載されていない新たな疑問点は、日本協会のHPにQ&Aという形でフィードバックしたい。 ・共有DB設定を行えば、同時に複数のMSWが入力可能。但し同じクライエントに関して同時には入力できない。 ○全体の感想 ・同システムの利用想定機関は病院だけではないという前提は大変良いと思った。今後、どの様に各機関で活用されまた日本協会にデータを提出するかは未知数だが、委員の方々が貴重な時間をかけて企業と共に作り上げたことは本当にお疲れさまでしたと言いたい。ケチはいくらでも付けられるかもしれないが、・委員も今後の意見を踏まえてバージョンアップを行っていくということなのでここは会員も建設的な意見を出していった方がよろしいと思われる。 ・ソーシャルワークサマリーの発行機能が印刷レイアウトに組み込まれた。今回のシステム導入を契機に他職種同様、他機関の同職種に対してサマリーを渡すことが一般化することを望みたい。なお、その中に盛り込む内容については退院問題を考える会の議論(議事録参照)が参考になる。 ・今、各機関で独自に行っている(苦労している)日報・年報作りに一役・うことは卒属いない。かなり業務時卒が短縮できると思われる。但し、そのためには新しことを覚えようとする姿勢がその部署にあるか否かが決定的である。各機関独自に集計したい内容についてはこれまで通りやって行けばよい。 ○システム使用上の注意点 ・各病院内ではシステムの共有ができますが、他病院へコピーして渡すことは禁止します。 →同一法人内同士であってもダメ。本講習を受けないと同システムのCD-ROMはもらえません。今回各地で開催される講座に参加出来なかった人は、今年の5月28・29日に開催される全国大会にて講座を追加開催するのでそこで受講するともらえるようです。 ・著作権富士通エフ・アイ・ピーにあり、このシステムを改造して使用することも禁止します。
○番外 20100321122600.jpg 南千里のショッピングセンター内にあった焼き肉屋さんのランチ。980円で、ご飯、味噌汁、サラダ、ドリンク付き。恐るべし南千里20100322102445.jpg 新大阪駅で買ったお土産。可愛らしいデザインに目が魅かれました。 20100321195458.jpg 大阪から直接、二木ゼミ同期の結婚式二次会へ。終了卒際に何とか卒に合ってお祝いの言葉を伝えることが出来ました。久々にゼミの仲間を地下鉄ホームでパチリ。 みんなもう学生時代の初々しさはありません(僕もか…)。今年の二木ゼミ同窓会は名古屋で開催とのこと。二木先生にも是非出席してもらいたいですね。ベティーよろしくね。