「特養の介護職員による吸引や経管栄養、一定条件で可能に」『CBニュース』2010.3.25

昨年9月からモデル事業が始まっていたが早くも方向性を打ち出した様である。 今回の報告書により、特養介護職員に限定ではあるが、以下の2行為が可能になる可能性が出てきた。 ・口腔内のたんの吸引(咽頭の手前まで) ・胃ろうによる経管栄養(チューブ接続などは看護職員が行う) 前提として、以下の4点をクリアする必要がある。 ①医師の指示の下で看護師と連携 ②施設内委員会の設置や記録・マニュアルの整備など安全確保のための体制整備 ③入居者本人の同意を書面で得る ④研修を受けた介護職員 最終的には、医政局から医師法保健師助産師看護師法保助看法)についての解釈通知が発出された上での正式決定となる。これで少しは、「うちは看護師が少ないので胃瘻作ったら、再入所は難しいです。」と胃瘻増設を理由に再入所受け入れを拒む特養が減ればと願うばかりです。 以下、CBニュースHPより転載。
特養の介護職員による吸引や経管栄養、一定条件で可能に」『CBニュース』2010.3.25  厚生労働省は3月25日、「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」(座長=樋口範雄・東大大学院法学政治学研究科教授)の第3回会合を開催し、特養の介護職員が一定の研修を受け、医師の指示の下で看護師と連携しながら口腔内の吸引や経管栄養を行うことについて、違法にはならない行為(違法性が阻却される行為)とする報告書を大筋で了承した。近く医政局から医師法保健師助産師看護師法保助看法)についての解釈通知が発出される予定だ。 【関連記事】 「法の壁」に悩む現場―特養の介護職員、医療行為の行方は 介護職員による吸引と経管栄養を試行へ―特養の医行為モデル事業 特養「医行為」でモデル事業を了承―厚労省検討会 特養での看護と介護の連携で検討会―厚労省 看護師以外の医療スタッフの役割も拡大へ  報告書では、特養で行われる口腔内のたんの吸引(咽頭の手前まで)と胃ろうによる経管栄養(チューブ接続などは看護職員が行う)について、介護職員が研修を受けた上で、医療・看護職員との連携の下であれば行えるとされた。施設内委員会の設置や記録・マニュアルの整備など安全確保のための体制整備のほか、入居者本人の同意を書面で得ることなどが必要とされている。  会合で三上裕司委員(日本医師会常任理事)は、特養以外の施設にも吸引が必要な人がいるとして、「特養にだけ限定するのは合理性がないのでは」と疑問を呈した。  これに対し事務局は、今回は吸引などに一定のニーズがあり、医師や看護師との連携体制が取れる施設として特養に限って議論したと説明し、「今後の課題として、他の施設はどうなのかということは常にある」と述べた。  さらに、三上氏は「これは違法性の阻却を目的としているので、(特養以外の)他の所では全部違法とされてしまうのではないか。特養の正規職員は阻却されるけど、それ以外は少し危ないよということになり、問題があるのでは」とした。  これに対し樋口座長は、検討会では特養での吸引行為などに絞って検討し、違法性が阻却されるための条件を整理したということを、もっと明確に打ち出すべきではないかと提案した。  その後も、今後の課題として「医行為」の概念の整理が必要で、法改正も必要になってくるのではないかといった意見が出た。  このほか、木村晴恵委員(日本介護福祉士会副会長)の代理として出席した内田千恵子氏(同)は、吸引や経管栄養をすることで労働強化につながると懸念し、体制の整備や研修を強化するよう求めた。また、実施者を介護福祉士に限定するのはマンパワーが足りない中で厳しいが、対象を広げて「『介護士』と一くくりにし、誰でもいいですよとなれば、利用者に迷惑が掛かるのでは」と述べた。