「認知症の妻殺害 認知症の夫、実刑」『asahi.com』2010年05月18日

これはやるせないですね・・・。本人夫婦の親類は?通院先にMSWは?ケアマネは?地域包括は?行政は?色々なクエスチョンが浮かびます。 以下、asahi.comより転載。
認知症の妻殺害 認知症の夫、実刑」『asahi.com』2010年05月18日 介護していた認知症の妻を殺害したとして殺人罪に問われた横浜市金沢区、無職小川鉄雄被告(78)の裁判員裁判が17日、横浜地裁であり、久我泰博裁判長は懲役2年(求刑懲役5年)を言い渡した。公判では、自身も認知症を発症しながら、介護する妻の病状の進行に絶望し、犯行に至った小川被告の姿が浮かび上がった。   久我裁判長は「経緯には同情すべき事情がかなりある。執行猶予を付すことも視野に入れるべき事案」としつつ、人命を奪った事件の重大性や、「老々介護など同様の立場にある人への社会的影響も無視できない」と実刑に至った理由を説明した。   判決によると、小川被告は昨年10月3日、自宅で介護していた妻の俊子さん(当時75)の頭をつるはしで殴り、ネクタイで首を絞めて窒息死させた。  ■「認認介護」追い込まれた夫   これまでの公判によると、俊子さんが「レビー小体型」とみられる認知症を発症したのは昨年7月中旬。翌8月には症状が悪化し、家事ができなくなったり、会話が攻撃的になったりしたとされる。   俊子さんの発症後、小川被告は片道2時間の通院に付き添った。主治医から「幻覚であっても俊子さんが言うことを否定しないように」との指示を受けた。「そうだね。お母さんが正しいね」と、俊子さんが何を言ってもなだめ続けた。   事件2日前の昨年10月1日、俊子さんが初めて夜間に徘徊(はいかい)した。小川被告は「これから(徘徊が)毎晩なのか。手と足を結ばないといけないと思った」と振り返った。   事件当日の同10月3日、俊子さんが「教会に行く」と玄関で足をばたつかせた。「もう限界だ」。小川被告は俊子さんをソファに座らせ「一緒に死んでくれ」と言った。拒否もせず、困ったような顔をする俊子さん。「もう死ぬということもわからないんだ」と犯行を決めたという。   自身も認知症と診断され、犯行前後のことは「記憶がすぽっと抜けている」と繰り返した小川被告。ただ、被告人質問で心境を問われると涙ながらにこう述べた。「あやめてしまったことは正しくない。けれど、あのまま生きていても可哀想すぎます」   補充裁判員を務めた土屋春香さん(29)は、閉廷後の記者会見で「母が自宅で祖父の介護をしていた。徘徊もあったので被告の苦しみはよく分かる」と話した。 (波戸健一)