「二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター(通巻71号)」

「二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター(通巻71号)」より、転載(赤字は、管理者が加工)。 『週刊東洋経済』6月12日号に、伊藤元重氏(東京大学大学院経済学研究科教授)と伊藤たてお氏(日本難病・疾病団体協議会代表)と私の座談会「徹底討論 医療を通じた経済成長 混合診療拡大の是非」が掲載されます。 →6/7に発売ですね。楽しみです。 3.私の好きな名言・警句の紹介(その64)-最近知った名言・警句 <研究と研究者のあり方> ○上田敏(当時・東大病院リハビリテーション部専属医(助手))「少数の恵まれた場でのみ高い水準のリハビリテーションがおこなわれているという状況、これはたとえばオベリスクのように、基底の狭い高い塔のようなものであり、単に少数の患者にしか役立たないというだけでなく、学問・技術のあり方としても脆弱な、強い嵐が来れば倒れてしまうようなものでしかない。リハビリテーションが実際のニードに答えることができ、同時に学問技術としても着実に豊かな発展をとげていくためには、ピラミッドのように、あるいは富士山のように、裾野のひろい、安定した姿のものにならなければならない」(二木立『脳卒中・片マヒのリハビリテーション-一般病院での運動療法基準化の試み-増補版』 「推薦の言葉」(代々木病院医報編集委員会,1976))。 <組織のマネジメントとリーダーシップのあり方> ○アラン・M・ウェバー(『ハーバード・ビジネス・レビュー』元編集長)「心から改革を望み、殉教者になるつもりもないのなら、ちょっとしたテクニックと戦術を知っておくことが必要だ。/1.長期戦に向かう覚悟を決める 勝利を急いで、簡単にキャリアを犠牲にしてはいけない。あなたに戦う気があるなら、『ずっと戦い続ける覚悟』が必要なのだ。長期的なメリットを判断する視点をもって、いろいろな戦いの場に駆けつける必要がある。2.反対派の主張に彼ら以上に精通する 一般的には、お金の話ができたほうがいい。あなたがその方面に自信がないなら勉強しておこう。改革派も反対派も、お金の問題は軽んじることができないからだ。3.よりよい代替案を用意する(中略)/4.仲間を探す」(市川裕康訳『魂を売らずに成功する-伝説のビジネス誌編集長が選んだ飛躍のルール52』英治出版,2010,44-45頁。引用文中のゴチックは訳書)。二木コメント-私の経験でも、「長期戦」の覚悟もないまま、短兵急に改革を主張・強行して挫折し、「殉教者」になった方が少なくありません。4つの「テクニック」(というより心構え)のうち、特に2は類書には余り書かれておらず、大いに共感しました。 ○アラン・M・ウェバー(同上)「最後に勝つのは『開かれた人間』(中略)ではどうしたらずっとオープンで生き生きした、まわりからも近づきやすい人間でいられるのだろうか?/一つめは、自分がどんなに地位が高くなっても、臆さずに真実を言える人間をそばに置くこと。(中略)/二つめは、庶民の暮らしを肌で感じることだ。(中略)/三つめは、ビジネスにおける感情面を軽くみないことだ」(上掲『魂を売らずに成功する』242-243頁。引用文中のゴチックは訳書)。