「高額療養費制度の見直しへ検討開始」『社会保険旬報』№2430,2010.7.21,p27

高額療養費制度にまつわる諸ルールの変更が議論されている様です。 第38回社会保障審議会医療保険部会当日の資料は、こちら。 「資料2 高額療養費制度について(PDF:697KB)」は、大変よくまとまっており、職場でも患者説明に十分利用できると思います。このあたりの資料作成能力は流石ですね。 関連 ・「高額療養費:厚労省が見直し検討 上限引き下げ焦点」『毎日新聞』2010年7月14日 ・「窓口負担も増大  がん患者に影響深刻 高額療養費制度見直しへ」『47NEWS』 ・厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」2010.7.14 概要は以下の通り。赤文字は管理者加筆。


「高額療養費制度の見直しへ検討開始」『社会保険旬報』№2430,2010.7.21,p27 14日の社保審・医療保険部会では、高額療養費制度についても検討を開始した。70歳未満の「一般区分」の低所得層の自己負担上限額の引下げなどの要望があることから見直しを図っていく。保険者代表らは、見直しを行った場合の財政影響の提示を求めた。出産育児一時金と同様、11月末を目途にまとめる。 事務局は高額療養費について、先の国会で質問・議論があったものとして、▽70歳未満の「一般区分」のうち、所得の低い層の自己負担上限額の引き下げ▽世帯月山の合算対象基準額(現行70歳未満は2万1千円以上のレセプトが合算の対象)の引き下げ、レセプト単位(医科・歯科・入院・外来別)で合算対象基準額を設定する取扱いの見直し▽暦月をまたがる場合の月単位での高額療養費の支給▽外来における高額療養費の現物給付化▽高額長期疾病(自己負担1万円)の対象となっていないものの高額長期疾病への追加―を提示した。 併せて、6月の所信の代表質問で管首相が「高額療養費制度は、患者負担の現状や医療保険財政への影響等を勘案しつつ、そのあり方を検討する」とした答弁を紹介。 柴田委員は「見直しをするなら、財政影響を示さないと議論できない」と述べ、高知市長の岡崎誠也委員や小林委員も保賢者の財政負担の影響を示すデータを求めた。 岡崎委員は「低所得者が増えており、『一般区分』での引き下げという論点は当然出てくる。検討が必要」と述べた。 現在、高額療養費の自己負担限度額は被保険者の所得に応じ、上位所得者・一般・低所得者で区分に分かれているが、「70歳未満の『一般区分』はカバーする範囲が広く、その区分を細分化し、所得の低い人の自己負担限度額を下げることができないかという提言がある。」(事務局)とした。 小林委員は外来における高額療養費の現物給付化に賛意を示し、「窓口での支払いに苦労している人への利便性が高まるとともに、保賢者も支給事務の簡素化に繋がる。医療機関にもメリットがある」と述べた。 高齢社会をよくする女性の会の樋口恵子委員は「高額長期疾病の特例の対象が3疾病しかないというのを聞いてびっくりした。しかし、対象疾病を追加した場合の財政試算がないと判断できない」との認識を示した。 高額長期疾病の特例は、高額な医療費をほとんど一生にわたって必要とする疾病にかかった患者に対し、自己負担限度額を1万円とすることで医療費の自己負担(軽減)を図るもの。 現行の対象疾病は、①人工腎臓を実施する慢性腎不全②血漿分画製剤を投与している選定性血液凝固第Ⅷ因子障害及び先天性血液凝固第Ⅸ因子障害③抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群-の3つ。