「藤田学園、120億円運用損 デリバティブ取引失敗」『中日新聞』2011年5月13日

うーん、新病棟建設を楽しみにしていたのでとても残念です。 以下、中日新聞HPより転載。
藤田学園、120億円運用損 デリバティブ取引失敗」『中日新聞』2011年5月13日 藤田保健衛生大や同大病院を運営する学校法人・藤田学園(愛知県豊明市)が、2008年以降の世界同時不況によるデリバティブ金融派生商品)取引の失敗で約120億円の運用損を出していたことが分かった。学園には1千億円近い資産があり経営破綻の恐れはないが、この影響で大学病院の建て替えを延期した。  学園によると、山路正雄元理事長の体制下で、同学園の資産運用委員会が1999年からデリバティブ取引を開始。当初は利益が出ていたが、08年のリーマン・ショックなどで損失が拡大した。  資産運用委は山路氏ら理事3人で構成。学内で多額の損失のうわさが広まり、他の理事が経営機関の理事会で詳細な報告を求めたが、山路氏らは応じなかったという。昨年秋には大学の教授会も情報開示を求め、問題追及の動きが拡大。山路氏は健康問題を理由に昨年末に辞任し、残りの理事2人も今年3月末に責任を取る形で辞任した。今年1月以降、弁護士や公認会計士ら外部識者を交えて、取引内容や損失額を調査。3月末までに取引を解約し、4月上旬に運用損が約120億円と分かった。  学園は、老朽化した大学病院1、2号棟を今年中にも建て替える計画だったが、5年ほど延期を決め、代替措置として現病棟の耐震工事を進める。  理事会はデリバティブ取引を禁じる規定を新設。今後、監査役や資産運用委に外部識者を加え、経営の透明化を進める。  小野雄一郎理事長は「理事会のチェックが行き届かずに損失を出す取引を許してしまったことを、反省しなければならない。これまでの理事会のあり方を変え、民主的な運営に努めていく」と話した。  山路氏は本紙の取材に「全責任は理事長だった私にある。損失は想定外だった。理事会には報告してきたつもりだ」と話した。  <デリバティブ取引> 株式や債券、為替などの金融商品を取引するのではなく、その売買権や交換権などを取引すること。将来の変動相場を想定して行う先物取引や、異なる通貨や金利を交換するスワップ取引などがある。少ない原資で取引できる半面、見通しを誤ると巨額の損失が出る。  日本では2008年ごろから私大の運用失敗例が発覚。東海地方では愛知大が118億円、愛知医科大が71億円、南山学園が46億円の損失を出した。全国では駒沢大が154億円を損失した。