「医療の営利化『許してはならない』- 日医の有識者会議が報告書」『CBニュース』2012年02月08日

全198ページ。 日本医師会医療政策会議『平成22・23 年度 医療政策会議報告書 医療を営利産業化していいのか平成24年1月 ○執筆者 委員長 田中 滋 慶応義塾大学大学院経営管理研究科教授 第1章 ポスト311 の社会保障と政治 委 員 山口 二郎 北海道大学大学院法学研究科教授 第2章 TPP と今後の日本医療 委 員 二木 立 日本福祉大学社会福祉学部保健福祉学科教授・副学長 第3章 医療の営利産業化より医療関連産業の強化を 委 員 桐野 髙明 国立国際医療研究センター総長・理事長 第4章 医療保障政策と医療団体の政治経済学的位置 委 員 権丈 善一 慶応義塾大学商学部教授 ○講演録 1. 「産業化」の意味を考える ―会長諮問を討議するにあたっての共通基盤を築くために― 慶応義塾大学大学院経営管理研究科教授 医療政策会議議長 田中 滋 平成22 年9 月24 日 第2 回医療政策会議 2. 医療を営利産業化させていいのか 国立国際医療センター総長・理事長 医療政策会議委員 桐野 髙明 平成22 年11 月26 日 第3 回医療政策会議 3. 医療を営利産業化させていいのか ―4 つの話題提供― 日本福祉大学社会福祉学部保健福祉学科教授・副学長 医療政策会議委員 二木 立 平成23 年2 月18 日 第4 回医療政策会議 4. ポスト大震災の社会保障 北海道大学法学部教授 医療政策会議委員 山口 二郎 平成23 年5 月27 日 第5 回医療政策会議 5. 無政府状態下の日本の財政・社会保障 -2015 年を目標とした一体改革成案「一里塚」の意味- 慶應義塾大学商学部教授 医療政策会議委員 権丈 善一 平成23 年7 月15 日 第6 回医療政策会議 6. 医療保険財政と医療の産業化 学習院大学経済学部教授 遠藤 久夫 平成23 年9 月16 日 第7 回医療政策会議 7. 公的医療保障制度と民間医療保険に関する国際比較 ―公私財源の役割分担とその機能― 成城大学経済学部教授 河口 洋行 平成23 年11 月18 日 第8 回医療政策会議 以下、キャリアブレインHPより転載。
「医療の営利化『許してはならない』- 日医の有識者会議が報告書」『CBニュース』2012年02月08日 日本医師会は8日、日医の「医療政策会議」が取りまとめた報告書「医療を営利産業化していいのか」を公表した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、医療ツーリズムなどに対する有識者の見解をまとめたもので、田中滋議長(慶大大学院教授)は「『医療本体の営利産業化は許してはならない』ことは当然の前提」と強調している。  同会議では、2010年7月に日医の原中勝征会長から諮問を受け、12年1月に答申した。  報告書は、▽「ポスト311の社会保障と政治」(山口二郎・北海道大大学院教授)▽「TPPと今後の日本医療」(二木立・日本福祉大教授)▽「医療の営利産業化より医療関連産業の強化を」(桐野高明・国立国際医療研究センター総長)▽「医療保障政策と医療団体の政治経済学的位置」(権丈善一・慶大教授)―の4章構成。  TPP参加について、山口氏は「無原則な自由化が医療のみならず、日本の社会的共通資本を荒廃させる恐れがあることに鑑み、十分な議論を尽くす必要がある」とけん制。二木氏は、日本がTPPに参加すれば、米国の要求は「日本の医療機器・医薬品価格規制の撤廃・緩和」「医療特区(総合特区)での株式会社の病院経営の解禁と混合診療の原則解禁」「全国レベルでの株式会社の病院経営解禁と、混合診療の原則解禁」の3段階に及ぶと分析。各段階の実現可能性について、第1段階は高く、第2段階も長期的には否定できないものの、第3段階はごく低いと判断している。ただし、第3段階が実現すれば、国民皆保険制度の基本理念は変質し、給付も大幅に劣化するとの見解を示している。  こうした各章の内容を受け、田中議長は「医療は、資本利得のために用いられるべき産業分野ではない」とまとめた。さらに、4人の執筆者に共通する考え方として、▽健全な(非営利・公益)産業として、医療は世の中に大きな貢献を果たす▽医療関連産業の活性化も、日本経済のために重要な課題▽TPPが政治アジェンダ(検討課題)に挙げられている情勢下では、国際的視点がますます不可欠―などを挙げている。