「車所有者の生活保護 認める判決」NHKNEWSWEB,2013年4月19日

厚生省社会局保護課長『(社援保発0331第8号)生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて』平成23年3月31日 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110511Q0050.pdf 第3 資産の活用 問9 次のいずれかに該当する場合であって、自動車による以外に通勤する方法が全くないか、又は通勤することがきわめて困難であり、かつ、その保有が社会的に適当と認められるときは、次官通知第3の5にいう「社会通念上処分させることを適当としないもの」として通勤用自動車の保有を認めてよいか。 1 障害者が自動車により通勤する場合 2 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者等が自動車により通勤する場合 3 公共交通機関の利用が著しく困難な地域にある勤務先に自動車により通勤する場合 4 深夜勤務等の業務に従事している者が自動車により通勤する場合 答お見込みのとおりである。 なお、2、3及び4については、次のいずれにも該当する場合に限るものとする。 (1) 世帯状況からみて、自動車による通勤がやむを得ないものであり、かつ、当該勤 務が当該世帯の自立の助長に役立っていると認められること。 (2) 当該地域の自動車の普及率を勘案して、自動車を保有しない低所得世帯との均衡を失しないものであること。 (3) 自動車の処分価値が小さく、通勤に必要な範囲の自動車と認められるものであること。 (4) 当該勤務に伴う収入が自動車の維持費を大きく上回ること。 問9の2 通勤用自動車については、現に就労中の者にしか認められていないが、保護の開始申請時においては失業や傷病により就労を中断しているが、就労を再開する際には通勤に自動車を利用することが見込まれる場合であっても、保有している自動車は処分させなくてはならないのか。 答概ね6か月以内に就労により保護から脱却することが確実に見込まれる者であって、保有する自動車の処分価値が小さいと判断されるものについては、次官通知第3の2「現在活用されてはいないが、近い将来において活用されることがほぼ確実であって、かつ、処分するよりも保有している方が生活維持に実効があがると認められるもの」に該当するものとして、処分指導を行わないものとして差し支えない。ただし、維持費の捻出が困難な場合についてはこの限りではない。 なお、処分指導はあくまで保留されているものであり、当該求職活動期間中に車の使用を認める趣旨ではないので、予め文書により「自動車の使用は認められない」旨を通知するなど、対象者には十分な説明・指導を行うこと。ただし、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住している者については、求職活動に必要な場合に限り、当該自動車の使用を認めて差し支えない。 また、期限到来後自立に至らなかった場合については、通勤用の自動車の保有要件を満たす者が通勤用に使用している場合を除き、速やかに処分指導を行うこと。 問12 次のいずれかに該当する場合は自動車の保有を認めてよいか。 1 障害者(児)が通院、通所及び通学(以下「通院等」という。)のために自動車を必要とする場合 2 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者が通院等のために自動車を必要とする場合 答次のいずれかに該当し、かつ、その保有が社会的に適当と認められるときは、次官通知第3の5にいう「社会通念上処分させることを適当としないもの」としてその保有を認めて差しつかえない。 1 障害(児)者が通院等のために自動車を必要とする場合であって、次のいずれにも該当する場合 (1) 障害(児)者の通院等のために定期的に自動車が利用されることが明らかな場合であること。 (2) 当該者の障害の状況により利用し得る公共交通機関が全くないか又は公共交通機関を利用することが著しく困難であり、自動車による以外に通院等を行うことがきわめて困難であることが明らかに認められること。 (3) 自動車の処分価値が小さく、又は構造上身体障害者用に改造してあるものであって、通院等に必要最小限のもの(排気量がおおむね2,000㏄以下)であること。 (4) 自動車の維持に要する費用(ガソリン代を除く。)が他からの援助(維持費に充てることを特定したものに限る。)、他施策の活用等により、確実にまかなわれる見通しがあること。 (5) 障害者自身が運転する場合又は専ら障害(児)者の通院等のために生計同一者若しくは常時介護者が運転する場合であること。 なお、以上のいずれかの要件に該当しない場合であっても、その保有を認めることが真に必要であるとする特段の事情があるときは、その保有の容認につき厚生労働大臣に情報提供すること。 2 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者が通院等のために自動車を必要とする場合であって、次のいずれにも該当する場合 (1) 当該者の通院等のために定期的に自動車が利用されることが明らかな場合であること。 (2) 他法他施策による送迎サービス、扶養義務者等による送迎、医療機関等の行う送迎サービス等の活用が困難であり、また、タクシーでの移送に比べ自動車での通院が、地域の実態に照らし、社会通念上妥当であると判断される等、自動車により通院等を行うことが真にやむを得ない状況であることが明らかに認められること。 (3) 自動車の処分価値が小さく、通院等に必要最小限のもの(排気量がおおむね2,000㏄以下)であること。 (4) 自動車の維持に要する費用(ガソリン代を除く。)が他からの援助(維持費に充てることを特定したものに限る。)等により、確実にまかなわれる見通しがあること。 (5) 当該者自身が運転する場合又は専ら当該者の通院等のために生計同一者若しくは常時介護者が運転する場合であること。 問23 保有が容認されていた自動車が使用に耐えない状態となった場合、自動車の更新を認めてよいか。 答次のいずれにも該当する場合であって、自動車を購入することが真にやむを得ないと認められる場合は、自動車の更新を認めて差し支えない。 ただし、保護の実施機関による事前の承認を得ることを原則とする。その際、保護費のやり繰りによって生じた預貯金等により賄う場合においては、本通知第3の18に従い、不正の手段により蓄えられたものではないこと等を確認すること。 1 保有が容認されていた自動車が使用に耐えない状態となったこと。 2 保有が容認されていた事情に変更がなく、自動車の更新後も引き続き本通知第3の9又は同第3の12に掲げる保有の容認要件に該当すること。 3 自動車の処分価値が小さく、通勤、通院等に必要な範囲の自動車と認められるものであること。 4 自動車の更新にかかる費用が扶養義務者等他からの援助又は保護費のやり繰りによって生じた預貯金等により確実に賄われること。 【関連】 ・日本弁護士連合会『生活保護における生活用品としての自動車保有に関する意見書』2010年5月6日 http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/100506.pdf読売テレビ http://news24.jp/nnn/news8896961.html
「車所有者の生活保護 認める判決」NHKNEWSWEB,2013年4月19日 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130419/k10014051331000.html 大阪・枚方市の障害のある女性が、自動車を所有していることを理由に、生活保護を一時、支給されなかったのは不当だと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は、「車がないと病院に通うのが難しいのに、自治体の検討が不十分だった」として、枚方市に170万円余りの賠償を命じました。 大阪・枚方市の佐藤キヨ子さん(73)は足が不自由で、7年前に生活保護を受け始めましたが、自動車を所有していることを理由に、平成19年から2年間にわたって市から生活保護の支給を打ち切られました。 厚生労働省の通知では、生活保護を受ける障害者が車を所有できる要件として、病院に通うために必要であることなどが示されていて、佐藤さんが枚方市に賠償などを求めた裁判では、この要件を満たすかどうかが争点になりました。 19日の判決で、大阪地方裁判所の山田明裁判長は、「佐藤さんの場合、タクシーの利用は経済的に合理的と言えず、自分の車以外での通院が難しい。車の所有要件を満たすのに市は十分に検討しなかった」と述べ、枚方市に対し、打ち切った生活保護費に慰謝料を加えた170万円余りの賠償などを命じました。 また、裁判で枚方市が、「買い物など通院以外の車の利用は認められない」と主張したのに対し、裁判長は「日常生活に車を利用することは、自立を手助けする観点からむしろ認められるべきだ」と指摘し、自治体に弾力的な運用を促しました。 判決について佐藤キヨ子さんは、「主張が認められ本当にうれしい。同じような境遇の人への希望になればと思います」と話しています。 判決について枚方市は、「内容を精査し、関係機関と協議をしたうえで対応を検討したい」としています。