団士郎『ヒトクセある心理臨床家の作り方 わが研修遍路日誌』金剛出版,2002

団士郎『ヒトクセある心理臨床家の作り方 わが研修遍路日誌』金剛出版,2002 8月2日から4日までの2泊3日で、京都国際社会福祉センター主催の「家族療法ワークショップSTEPⅠ」に参加します。団先生・早樫先生から、初めて家族療法を学ぶ機会です。 http://www.kiswec.com/fam_workshop.html 昨年より、家族療法を学ぶためにどの様にすればよいのかと模索していたのですが、短期療法も含め、あまり構えず色々と参加してみようという境地にようやく至った次第です。 そんな中で、「研修遍路日誌」という副題に惹かれて本書に出会いました。著者の軽快な語り口に引き寄せられ、あっという間に読み終えた感想は、以下の通り。 【印象に残った言葉】 ・「家族療法」と銘打った話で、ショックを受けたのは、1983年の心理臨床学会中京大学での、亀口憲治さんの発表だった。(p127)※当時著者36歳。 ・相手の意向を尊重した丁寧な対応のつもりで、「ビデオを撮ってもよろしいですか?」と聞くのは、選択の余地やそれに意味があるのかと、かえって相手を不安にさせていたようだ。(p135) ・(京都国際社会福祉センターで)シメオンさんに習った家族療法は、S・ミニューチンさんの構造的家族療法とJ・ヘイリーさんの戦略的家族療法の考え方をベースに、自身の臨床経験をミックスしてアレンジしたものだった。(p142) ・ストレスのかかる質問の後で、それを解消してしまうような言葉を重ねてはいけない。それを家族がどう扱うのかを見るのが家族の機能の診断になる(p151) 【思ったこと】 ・1987年より、著者が京都国際社会福祉センター「家族療法プログラム」トレーナーとなった経緯について触れられており大変興味深かったです。


【紹介されていて興味を持った書籍】 ・川崎二三彦『子どものためのソーシャルワーク(全4巻)』明石書店,1999-2001(p44) ○内容 本書で紹介するのは単なる相談事例ではなく、その相談を受けた児童相談所職員である著者が、どのように苦しみ、ためらい、ちゅうちょし、失敗し、あるいは熱中し、巻き込まれ、汗を流し、翻弄されたかを、また何を感じ、何が大切で、何を教訓としたかということを、ある時は面接の瞬間の息づかいをとおして、ある時は眠れぬ夜の独白として、さらには関係者との協議の場での緊張したやりとりの形でリアルに述べたものである。虐待は、そのいる人すべてを傷つける行為。児童相談所に寄せられた相談事例の中から4つのケースを取り上げ、現場の児童福祉司がわかりやすく検証する。『児相の心理臨床』に掲載したレポートを収録。 ○著者略歴 1951年岡山県生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。大学卒業後、児童相談所に勤務。心理判定員(児童心理司)を経て児童福祉司となる。厚生労働省「今後の児童家庭の相談体制のあり方に関する研究会」委員なども務める。現在、全国児童相談研究会(児相研)事務局長、日本子ども虐待防止学会会員、京都府宇治児童相談所相談判定課長(本データはこの書籍が刊行された当時(2006年)に掲載されていたものです)
・小柳晴生『ひきこもる 小さな哲学者たちへ (生活人新書)』NHK出版協会,2002(p57) ○内容 大人と子どもの間に広がる溝は、従来の「欠乏を生きる知恵」と最近の「豊かさを生きる知恵」の軋轢であるとし、今の子どもたちを「豊かさを生きる」という観点から読み解く。『毎日新聞』四国版連載をまとめる。 ○目次 1章 豊かさを生きる力とは 2章 「良い子」から「自らを恃む子」に 3章 教育が足りないのか、過剰なのか 4章 カウンセラーから見た「学校の七不思議」 5章 「ひきこもり」は哲学である 6章 「子どもという自然」とつきあう 7章 不要な「生き方」をいかに捨てるか ○著者略歴 香川大学教育学部教授・保健管理センター所長。臨床心理士。1950年、石川県生まれ。学生相談カウンセラーとして22年、学生や子どもの心の声に耳を傾けてきた。言葉に込められた意味を読み解き、社会に伝えてゆくこともカウンセラーの仕事の一つと位置づけ活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
都留春夫・平木典子・小谷英文『最近のカール・ロジャース:その変容のプロセスを確かめる』日本・精神技術研究所,1976 125頁 ○内容 都留先生・平木先生・小谷先生の3者がカリフォルニアで行われたPCA(Person-Centered Approach)ワークショップに参加した。帰国後参加した体験を語り合うシンポジウムを日精研主催で開き、その語り合われた内容をレポートにまとめたもの。 http://assertion.jp/person/style/hiraki/index.html椙山女学園大学南山大学に蔵書有。
・S・ミニューチン(山根常男監訳)『家族と家族療法』誠信書房,1999
・J・ヘイリー(佐藤悦子訳)『家族療法―問題解決の戦略と実際』川島書店,1985 ○内容 登校拒否や子どもの情緒障害、夫婦間の葛藤など、現代の家族はさまざまな問題をかかえて悩んでいるが、本書は、問題解決的アプローチという新しい家族療法の視点から、その治療法の考え方と実際をケースを用いて具体的に述べた基本書。イラスト収載。