研修報告

昨日、地元で開催されたMSW勉強会に参加しました。参加者は30名以上。会場は、ぎっしりです。 前半は、「相続・遺言の基礎知識―相談対応で困らないために―」というテーマで、司法書士 水渓ハル映氏から報告。また、「遺言書を上手に活用できるようになろう」というテーマで、行政書士 東福宏恵氏が報告されました。 なお、お二人は愛知県内の士業に従事する女性(行政書士司法書士社会保険労務士)で結成された団体「女性ネットワークRing」に所属。「モリコロ基金」 の支援を受けて、無料出張法律教室を開催されているそうです。 【印象に残ったことがら】 ・相続放棄:民放915条 「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、相続について、単純承認…又は放棄をしなければならない。」と書かれている。これは借金も対象となる。 ・養子縁組は、実方と縁が切れていないので相続権が残る。一方、特別養子縁組は、実方と縁が切れるので相続権は発生しない。 ・公証証書遺言を作成する場合、公証人役場の予約から書き上げてもらうために1ヶ月はかかる。また証人二人以上の立ち合いが必要だが、未成年者と相続人以外であれば誰でもよい。二人以上の立ち合いが確保できない場合、公証人役場に相談すると、弁護士や司法書士など有料で立会人になってくれる人を紹介してくれる。 ・公証人役場には公正証書遺言検索システムがあり、過去に遺言書を作成したか調べ謄本を交付してもらうことができる。 後半は、「アディクション問題へのアプローチ」というテーマで、西山クリニック 精神保健福祉士 雲川伸正氏から報告。雲川氏は、日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会の認定スーパーバイザーでもある。 【印象に残ったことがら】 ・イネイブラー:病気の支え手。アルコール依存症者が飲み続ける事を可能にする周囲の人々→配偶者・親・兄弟・友人・上司等。援助職もなりうる(プロフェッショナルイネイブラー)。 ・イネイブリング:飲み続ける事を可能にする行為。「尻拭い」や「肩代わり」のような事を指す。援助職側に何とかしたいという思いがあったり、また仕事への成果が欲しいという理由で関わる。 ・患者本人が初診に現れるのはまれ。殆どが家族。アルコール依存症嗜癖的な家族システムが関与している。患者だけではく、その問題で深く傷つき悩んでいる・また解決行動が結果的に飲酒を持続させてしまっている家族も介入の対象。そのため、まずは家族が相談に来られることに意味がある。 【感想】 ・消化器内科を担当していると、アルコール依存症の患者・家族とお会いすることがある。以前は受診方法として家族受診もあるという程度での理解だった。しかし、西山クリニックでは家族システムまた家族の解決パターンに変化を促すという考え方を下敷きに、積極的に家族に受診してもらっていると分り、とても理解が深まった。 ・家族システムの説明には、家族療法の用語(境界、サブシステム、子の親役割など)がたくさん用いられていたため、報告後に雲川さんにお尋ねしたところ、家族療法の考え方を用いていると返答。自分が知らないだけで、家族療法の視点は活用されているんだなーと実感した。もう少し、雲川さんの実践や援助論についてお話をうかがいたいと思った。