「Vol.5 社会保障制度改革国民会議報告書を読む(3) 医療・介護分野(上) - 小松 秀樹」『BLOGOS』2014年01月10日

小松秀樹「Vol.5 社会保障制度改革国民会議報告書を読む(3) 医療・介護分野(上) 」『厚生福祉』第6041号,2013年12月20日が『LOGOS』に転載されている。 http://blogos.com/article/77614/ 小松秀樹氏と言えば、『医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か』朝日新聞社,2006を著し、医療崩壊の現状に一石を投じた立役者である。当時は虎の門病院泌尿器科部長だったが、2010年5月月より亀田総合病院副院長になっておられた。 http://www.kameda.com/medi_services/staff.php?d=7&s=670

本記事において注目したい文章があったので取り上げる。

「医療・介護・在宅のスムーズな移動 地域包括ケアに特化した特別な医療施設や介護施設があるわけではない。地域包括ケアの重要ポイントは、医療施設、介護施設、在宅の間のインターフェイスに ある。介護施設にケアマネジャーが所属していると、施設の利害が優先されるとして問題視されるようになった。インターフェイスでは、情報をスムーズにやり とりすることに加えて、患者の立場に立って活動することが強く求められる。施設から独立した専任の相談員が、全体を見渡し、施設間のやり取りに関与する制 度を設けてはどうだろうか。筆者は、相談員としては、ソーシャル・ワーカーが望ましいと考えている。 病気になった利用者が介護施設から退去を要求され、途方にくれることがあると聞く。後述のように、地域のネットワークの構築し、各施設ではなくネットワーク側に雇用された相談員を置くことができれば、利用者に最も適した施設を必要に応じて紹介することができる。」

ここで言うネットワーク側とは何か、著者は必ずしも明示してはいない。しかし、重要な指摘であると思う。ここ数年の間に、職場では身元保証団体に転職した元ソーシャルワーカーや、独立型社会福祉士事務所のソーシャルワーカー、県嘱託のホームレス巡回相談員(県社会福祉士会から派遣)とお会いすることが多くなった。そして、その仕事ぶりを見ていると実にソーシャルワーカーらしい業務を展開されているな、と思うことがある。雇用環境の不安定さを除けば様々な法制度から一定の距離を置いてクライエントのために業務ができるのは魅力的だ。 既に東京・神奈川などの大都市部では独立型社会福祉士が活躍されていると思うが、身寄りのない社会的に援護を要する人々が増加する中でますますその存在の重要性は増すであろう。あとはその業務に経済的裏付けがなされれば良いのだが。