「妊娠から出産、育児まで 児童虐待防止で母子支援 塚口病院」『神戸新聞』2014年1月27日

CPTの記事は最近ときどき取り上げられることがあります。


「妊娠から出産、育児まで 児童虐待防止で母子支援 塚口病院」『神戸新聞』2014年1月27日
http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201401/0006665725.shtml

兵庫県立塚口病院尼崎市)は、児童虐待の防止を目的に、妊娠から出産、育児まで母子を支援するチームをつくり、効果を挙げている。医師らが健康を見守るだけでなく、医療ソーシャルワーカー(MSW)が利用可能な福祉サービスなども紹介。児童相談所や警察などと連携し、市町を超えた児童虐待防止のネットワークづくりも進めたいという。
 「チャイルド・プロテクション・チーム(CPT)」。昨年4月、小児科や産婦人科の医師、MSWらをメンバーに設置された。同病院では、看護師が育児不安や悩みの相談に応じる専門外来も設けている。
 「虐待が起こってしまえば、子どもにとっても親にとっても取り返しがつかない」。予防に重点を置くチームの思いだ。
 「(料金の未払いで)ガスを止められた」と訴えるなど経済的な困窮、夫が暴力を振るうなど夫婦関係の悪化、うつ病など精神的な問題…。健診の際、そうした虐待の危険性が高まる要因がある妊婦に対し、本人の気持ちを損なわないようにしながら、相談の対応を強化。MSWが福祉サービスの利用などにつなげ、環境改善による虐待防止を目指す。
 出産後は、小児科医が子どもの健康を健診などで定期的に見守りながら、母親の状況も確認。必要な支援を継続する。
 人工呼吸器や酸素療法を必要とするなど在宅療養中の子どもたちについては、親による介護の負担が重くなりがちなため、往診や訪問看護の際に相談に対応。今後、支援体制をより手厚くしたいという。
 また、通常は市町単位で児童虐待防止組織が設置されているが、見守る必要がある家族が移転した場合、すぐに対応できるよう広域のネットワークづくりを呼び掛ける。
 同病院MSWの井上美智子さんは「実際、子育てに疲れていた母親を育児サービスにつなぎ、『楽になった』と言ってもらえた」と振り返り、毎原敏郎・小児科部長は「虐待防止ではMSWの相談対応が重要。関係機関と連携し、長期的に親子を支援していきたい」と話す。(金井恒幸)