第19回日本緩和医療学会学術大会参加報告

2014年6月19日〜21日までの3日間、第19回日本緩和医療学会学術大会に参加するべく神戸ポートピアホテルへ参加してきました。
http://jspm2014.umin.jp/index.html

仕事の関係で、今年度は緩和ケア領域の研修に集中的に参加することになりました。今回はそのうちの第1回目。新境地でもあり大変新鮮であったのと共に、6月20日だけでも参加者8200名ととても大きな大会で、関心の高さがうかがえました。

【6月19日(木)】
■緩和ケア入門セミナー
○大阪厳「緩和ケアとは」
・Seow H,et al."Trajectory of performance status and symptom scores for patients with cancer during the last six months of life."J Clin Oncol. 2011 Mar 20;29(9):1151-8

対象:カナダオンタリオ州がん登録に登録されたがん患者10752例。
方法:前向き観察研究。Edmonton Symptom Assessment Systeにより死亡前6ヶ月の苦痛を評価。苦痛の変化は様々である。
結論:死亡2週間前頃から、症状の強さが上昇する群(倦怠感、食欲不振、well-bieing、眠気、呼吸困難)と症状の強さが下降する群(痛み、不安、抑うつ、悪心)があり、苦痛といっても変化は様々である。

・緩和ケア分野でHOTな話題は、外来における緩和ケア。

・Temel JS et al."Early palliative care for patients with metastatic non-small-cell lung cancer"N Engl J Med. 2010 Aug 19;363(8):733-42

対象:非小細胞肺がん患者151例。
方法:RCTにて、標準的治療と早期から緩和ケアを同時に行う群と標準的治療のみを行う群に分けた。
結論:標準的治療と早期からの緩和ケアを同時に行う群は標準治療のみを行う群に比べて生存期間が有意(p=0.02)に長かった。
→なぜ、生存期間が延長したのか。標準的治療と早期からの緩和ケアを同時に行う群は、標準治療のみを行う群に比べて経静脈抗がん治療の実施割合が少なかった。

【6月20日(金)】

【6月21日(土)】
横浜市にある在宅療養支援診療所めずみ在宅クリニック小澤竹俊院長の報告。タイの通信会社のCM(3分14秒)ですが、「何のために医療の分野で働くことを目指したのか思い出して欲しい」と紹介されました。

鹿児島市にある有床診療所(ホスピス)、堂園メディカルハウス堂園晴彦院長の報告。親ががんになってしまった時、子どもにそれを説明することを支援。4歳以上の子を対象にして、出来るだけ早く説明をすることで、死を肯定的なものとして子どもが捉え、その後の人生もまた肯定的に生きられるようにしていると。また、子どもが自分のせいで親ががんになってしまったのではないかという贖罪感を持たないようにする必要もあると。子どもに対する説明を配偶者とともにソーシャルワーカーが行っているのが印象的だった。

説明の際に使用するのが、以下のアニメだそうです。原作は今はAKBのプロデューサーとして有名な秋元康氏。他にも絵本のロバート・マンチ『ラヴ・ユー・フォーエバー岩崎書店,1997やスーザン・バーレイ『わすれられないおくりもの (児童図書館・絵本の部屋)』評論社,1986を活用しているとのこと。大変参考になりました。

象の背中』(映像)


秋元康象の背中産経新聞出版,2007.9(原著)



象の背中』(絵本)

象の背中』(マンガ)

マンガ版の著者が、『いとしのタンバリン』のくじらいいく子氏と知り驚き。めぐりつながるものですね。

【番外編】
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会場風景

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ランチョンセミナー(6月20日

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三宮ガード下にある天一軒。明らかに地元の人で満席。夜6時からの営業。

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天一軒にてラーメン500円也。スープも麺も美味し。隣の人がおじや(650円)を注文。むちゃくちゃ美味しそう。今年は神戸にあと2回来るので、是非食べよう。