障害年金の初診日

こちらも東京の知人より紹介。共同通信社による「障害年金の初診日」にまつわる一連の記事。最後の4/2の記事が重要で、今後通知が出るのをしっかりと確認する必要があります。


「【障害年金支給に地域差】不親切な対応、長年放置 一刻も早く不公平正せ」『47NEWS』2015/01/15
http://www.47news.jp/47topics/e/261029.php

生まれつき障害がある人や、病気やけがで働けなくなった人が安心して暮らせるようにする優れた制度なのに、一般の人にあまり知られておらず、不透明、不親切な窓口対応が長年放置されてきた。それが障害年金だ。地域によって支給、不支給の判定に大きなばらつきのある不公平な現状を、国は一刻も早く是正する責任がある。
 障害年金を受け取れるのは身体障害者だけでなく、知的障害、うつ病統合失調症などの精神障害自閉症などの発達障害の人も条件を満たせば受給できる。障害者手帳とよく混同されるが、全く別の制度で、手帳を持っていなくても受給は可能だ。一方で、手帳を持っていても申請しなければもらえない。
 厚生労働白書によれば、子どもを除いた障害者は国内に約740万人いると推計される。それに対し障害年金の受給者は約190万人。受給要件を満たさない人が一定数いるとしても少なすぎる。制度が十分知られておらず、申請しない人たちがいるからだ。
 その原因は日本年金機構自治体のPR不足、不親切なサービスによるところが大きい。障害者手帳の相談に来た人に「年金は受け取っていますか」と声を掛けるだけで状況は大きく変わるはずだ。だが、現実には「窓口で『どうせもらえませんよ』と言わんばかりの態度を取られた」といった話を聞く。
 極め付きが、更新に伴って年金を停止、減額された人に届く通知だ。「年金の支払いを停止しました」などと、過去形の文面で突然届く。等級が1級の人なら月約8万円、2級でも約6万4千円の収入がいきなり途絶えることになる。理由の説明は「障害の状態が変わったため」などと一言だけで、なぜそう判定されたのか一切分からない。
 申請するときの壁も高い。最初に医療機関にかかった初診日を証明することを求められるため、カルテが廃棄されたといった理由で断念せざるを得ない例もある。厚労省内でも「厳しすぎる」という声があるほどだ。
 医師法でカルテの保存義務を5年と定めているのに、何十年も前のカルテを求める運用は矛盾していると言わざるを得ない。
 3千万人以上が受給する老齢年金に比べ、障害年金は“端っこ”の制度と見なされてきた。それゆえ、前身の旧社会保険庁時代を含め、年金機構は申請を認められなかった人や、支給を止められた人がどれだけいるのかという基本的なデータさえ公表してこなかった。
 地域間で審査に大きなばらつきがあることに加え、支給停止、減額が増えていることも共同通信の情報公開請求や取材で明らかになっている。これ以上、問題を放置することは許されない。(共同通信生活報道部 市川亨)

障害年金支給に官民格差 公務員、自己申告で認定」『47NEWS』2015/03/16

http://www.47news.jp/CN/201503/CN2015031601001832.html

病気やけがで一定の障害のある人が受け取れる国の障害年金で、支給の条件に官民で格差があることが16日、分かった。自営業者らの国民年金と会社員向けの厚生年金では、障害のもとになった傷病で初めて医療機関にかかった「初診日」がいつかを証明できなければ不支給となる。だが、共済年金に加入する国家公務員と一部の地方公務員は、本人の申告だけで支給が認められていた。
 こうした不公平な官民格差は関係省令の違いが原因で、半世紀以上続いてきたとみられる。民間も公務員と同じ取り扱いであれば、より多くの人が障害年金を受け取れていた可能性がある。

「初診日、幅広い資料で認定 障害年金の格差で厚労相共同通信社2015年4月2日

障害年金の受給条件をめぐり公務員優遇の官民格差が指摘されている問題で、塩崎恭久厚生労働相1日の参院予算委員会で「(初めて医療機関にかかった)初診日を確認できないという理由で年金をもらえないということが極力ないよう、対応したい」と述べた。カルテのほかにも幅広い資料で認定するよう、現場に徹底する通知を今後出す考えだ。
 自民党福岡資麿氏への答弁。
 障害年金を受け取るには、その原因となった傷病の初診日がいつかを証明する必要がある。国家公務員が加入する共済組合は自己申告のみでも初診日を認定。地方公務員でも共済組合によっては同様の取り扱いにしているが、国民年金と厚生年金の支給実務を担う日本年金機構は、証拠書類の提出を求めている。
 年金機構本部はこれまでも、カルテのほか診察券や健康保険の記録、健康診断の結果などを参照するとの考え方を示しているが、実際の審査を行う地方の出先機関に徹底されていない。