平成28年度診療報酬改定と社会福祉士(その3)

総合入院体制加算2の算定要件として、新たに「認知症精神疾患患者等の受入れ体制に関する要件」が追加。認知症ケア加算1の方が、算定できる報酬が高い分縛りが厳しい。回復期リハビリテーション病棟の退院強化加算、退院支援加算の退院支援職員はそれぞれ専従(業務の100%)が条件のため、精神科リエゾンチーム加算(こちらは精神保健福祉士)や認知症ケア加算1(こちらは、社会福祉士又は精神保健福祉士)を兼務できないことになる。

総合体制加算2を算定している311医療機関平成27年度現在)の医療ソーシャルワーカー部門は、各種加算算定の要件や施設基準に組み込まれることになり、そのための人員配置が求められる。退院支援に看護師を活用するという価値判断が強く、かつ7対1看護体制のままでも人員に余力がある場合は、退院支援職員に看護師が配置されるであろう。但し、平成28年4月から労働基準法改正による年5日間の有給消化義務付けされる予定のためそれだけの人的・人材的余裕の有無は個別の医療機関ごとに事情が異なる。


厚生労働省『個別改定項目について』平成28年度2月10日
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000112306.pdf

総合入院体制加算の実績要件等の見直し(p26)

第1 基本的な考え方
総合入院体制加算について、総合的かつ専門的な急性期医療を適切に評価する観点から、加算1について、化学療法の要件の見直しを行うとともに、新たに急性期患者に対する医療の提供密度に関する要件等を追加し、また、加算2について、一定程度の実績を満たすことを要件とし、新たに認知症精神疾患患者等の受入れ体制に関する要件等を追加した上で評価の見直しを行う。

第2 具体的な内容

総合入院体制加算2
①年間の手術件数が800件以上であること、年間の救急用の自動車等による搬送件数が
2,000件以上であること。また、実績要件について全て満たしていることが望ましく、少なくとも
4つ以上満たしていること。

②精神科については、24時間対応できる体制(自院又は他院の精神科医が、速やかに診療に対応できる体制も含む。)があり、以下のいずれも満たすこと。
イ 精神科リエゾンチーム加算、又は認知症ケア加算1(pp.206-208)の届出を行っていること。
ロ 精神疾患診療体制加算2又は救急搬送患者の入院3日以内の入院精神療法若しくは救命救急入院料の注2の加算の算定件数が年間20件以上であること。

③当該保険医療機関の算定対象病棟において、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票におけるA得点が2点以上又はC得点が1点以上の患者が3割以上であること。

④公益財団法人日本医療機能評価機構等が行う医療機能評価を受けている病院又はこれらに準ずる病院であること。