第64回公益社団法人日本医療社会福祉協会全国大会・第36回日本医療社会事業学会に行ってきました

第64回公益社団法人日本医療社会福祉協会全国大会・第36回日本医療社会事業学会に参加するため、新潟へ行ってきました。飛行機代が本当に安くなったので、これからは遠くても全くお構いなしです(笑)。

以下、備忘録。なお、「印象に残った言葉」は私の記憶と理解に基づいているため正確な引用ではありません。
ソーシャルワークデータシステムの今後の活用と展望(新システム「MANBO」の利用から)
○印象に残った言葉
・高齢者人口の増加によりMSWの仕事は増加する。しかし、生産年齢人口が減少するためMSW従事者を増やすというのは難しくなる。
・患者家族も忙しくなり日中面接に複数回来れないかもしれない。患者の生活場所が病院・施設・自宅などへ移る度に職員から同じことを聞かれるのは非効率的。MSWの記録も引き継げるようにならないと、移った先には結論しか引き継がれず、なぜそういった結論に至ったのか大事な部分が抜け落ちてしまう。紙媒体では引き継げない。電子媒体なら簡単に引継ぎが可能。但し、引継ぎの際は暗号化などセキュリティーの対策が必要。
・エクセル版のソーシャルワークデータシステムは、OSのバージョンアップにより今後動作しなくなる可能性がある。また、システムの設計上、1入院ごとの紐づけができない為、分析に限界がある。
・テキスト入力は文字のゆらぎがあり集計作業に難渋する。テキスト入力を許すのであれば、その項目は集計できないと思った方が良い。そのため、極力、選択入力ができるように配慮が必要。
・MANBOでは、契約により電子カルテからのデータ読み込みが可能。入力は慣れてしまえばそれほど時間はかからない。一方で、かなり詳細な分析(例:○○科の平成26年度の入院日から依頼があるまでの平均期間はどれくらいか?)ができるようになる。

MANBOダウンロードページ(無償)
http://www.jaswhs.or.jp/datasystem/information_detail.php?@DB_ID@=7

MANBO Link(操作説明)
http://manbo.link/

○感想
・今後の生産年齢人口の減少によりMSWの増員が見込めなくなるという将来予測は、論点として覚えておく必要がある。福祉分野の学生からMSWの人材を確保する、また複数の分野を横断的に実践可能なSWのリクルートするといった積極的戦略を職能団体が行わなければ、この業界は従事者数の増加どころか先細りかもしれない。
・OSのバージョンアップにより、ソーシャルワークデータシステムが使えなくなるかもしれないという視点は無かったので、新たな課題だと思った。職場でもFiileMakerProを使用しているためMANBOの実力は良く理解できたが、やはりFiileMakerProserverを含めたソフト購入費用(リースという選択肢もあり)と任意の電子カルテとの接続設定および保守契約費用が課題か。それにしても入力の負担の楽さや、詳細なデータ分析が可能になることは魅力だ。

■特別講演:医療介護連携をめぐる最近の動き~地域包括ケアの具体化にむけて~
厚生労働省保険局 医療介護連携 審議官 吉田学氏

○印象に残った言葉
・非正規雇用労働者の動向では、55歳以上の高齢者の増加が最も大きい。
・介護を受けたい場所については、年齢・性別で分析するとかなり結果が異なる。自宅で介護を受けたいとみんなが思っているとは単純には言えない。
・地域包括ケアシステムは、高齢者のみならず障害者・子ども・引きこもり・障害のある困窮者・若年認知症・難病患者がん患者など、より広い地域包括支援体制が必要。
・顔の見える関係では駄目だと、ある方からご指摘を受けた。顔の見える関係→腕のみえる関係(顔が見える相手の中から優秀な人をみつける)→腹の見える関係(優秀な人の中から信頼できる人をみつける)
・地域包括ケアシステム。システムといったら若干間違い。ネットワークとかマネジメント。これといった正解がある訳ではない。
・療養病床が無くなると言われるが、突然療養場所が無くなる訳ではない。根拠となる枠組み・法的な位置づけが変わるということ。現在年末までに結論を出す。
・多職種連携だけでなく、同職種連携も大切に。

○感想
・「地域包括ケアシステム。システムといったら若干間違い。ネットワークとかマネジメント。」これは、二木先生が指摘していた内容であり、直接言質が取れたのは収穫だった。
・特別講演の参加者は講師が行った挙手によるアンケートによる、公立病院勤務者が半数程だった。病院数でみると全国の一般病院のうち公立病院(国・公的医療機関社会保険関係団体)が占める割合は21%、医療法人は65%のため(平成26年病院報告)参加者の割合を意外に思った。公立病院のMSWが増えた結果なのか知りたくて、病院報告の平成14年版と平成26年版の開設者(中分類)別一般病院のMSW従事者数(社会福祉士+医療社会事業従事者)を調べてみた。平成14年の公立病院のMSW従事者数は1952.8人、医療法人のMSW従事者数は4721.8人。平成26年度では前者が4876.4人(2.5倍)、後者が10336.1人(2.2倍)。一般病院全体に占める開設者別MSW従事者数の割合でみると、前者は平成14年23.5%から平成26年27.1%に。後者は56.8%から57.4%になっていた。参加者に公立病院勤務者が半数であった仮説として、公的医療機関のMSWが大幅に増えたを設定したが、上記データから棄却。次の仮説として、①公的医療機関として厚生労働省担当官の講演は聴衆が必須という動機付けが働きやすい、②出張費が認められやすく学会参加しやすいを挙げてみたが、これらは検証する手段を持っていない。

■分科会発表
○感想
・既にいくつかの医療機関でソフトによる知識共有の試みは始まっていた。
・情報を更新する人としない人に差が生じており、対策に悩んでいる。動機付けには、業務管理の一環として指示して行うアプローチと、お互いに記載することで高め合うという組織文化の醸成というアプローチの2つがあり両者のバランスが大切。
・部門内にソーシャルワーカーが数十名単位で勤務する病院があり、組織マネジメントのために、組織経営分野の先行研究・実践の活用が有効。無論、直輸入すればよいのではなく、我々の分野に引きつけて消化したうえで活用する必要がある。V. R. フュックス氏の言葉を借りれば「あなたのルーツを忘れるな」(p100)であろう。

■番外
○感想
・昭和54年度生まれのメンバーが要所に顔を出し始めている。お互い、そういう年齢に差し掛かったということか。
・WITHの研修で出会ったメンバーは、今でも大切な同志だと思う。そして、あれからも継続して学んでいる姿を見ると正直焦る。
・「Blogいつも見ています。」とお声をかけて下さる方が複数いらっしゃり嬉しかったです。より質を高め、アンテナを張って情報発信を続けていきたいと思います。
・本年11月に在宅医療に従事している医療ソーシャルワーカーの集まりが開催される予定とのこと。統計上、従事者数は異常なほど増減しているのが気になるが、一つの分野として専門性が高まればと願う。

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景気づけに中部国際空港の味仙にて台湾ラーメン大須店と全く味が違い、美味しくない。残念。

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ドーミーイン新潟で朝食。わっぱ飯とへごそばが美味しかった。

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ホテルは珍しく吹き抜け構造。いつも大浴場のあるホテルを選ぶが、自室に浴槽だけでなくシャワーもないのに驚いた。

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大会昼食。ちまき弁当。

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来年は、北海道(札幌)。再来年は、私の父の生まれ故郷。

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今回の大会参加者は806名。次回大会長である北海道協会関会長のスピーチ。この後の、北海道大会紹介ムービーは凄く良くできていて面白かったです。

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JR新潟駅にあった、麵屋しゃがら。醤油ラーメン。680円也。大盛が+10円とは驚き。

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新潟についてから知りましたが、タレカツがご当地グルメとのこと。新潟空港で食す。甘めのタレなんですね。美味し。