新刊案内

大分の先生のblogにて知る。

岡部卓ほか編『生活保護ソーシャルワークはいま:より良い実践を目指してミネルヴァ書房,2017.7.30

〇内容
全国各地の優れた実践事例を基に、生活保護におけるソーシャルワークの意義と現状を考察。

本書は、全国各地の先駆的な支援事例を紹介するとともに生活保護の現場にソーシャルワークの手法を導入することにより得られる効果を解説したものである。長年、生活保護ケースワーカーとして支援に関わってきた執筆者たちが、その仕事の魅力と難しさを余す所無く伝えており、とかく批判されがちな生活保護行政の実際を把握するのにも好適な一冊。

〇目次
第1部 生活保護の相談援助・自立支援活動とそれを支える体制(脱・貧困に向けたソーシャルワーク生活保護における自立助長と自立支援;生活保護ワーカーの実践環境―より良い生活保護ソーシャルワークの実践に向けて)
第2部 生活保護ソーシャルワーク実践の現場から(DV被害者への支援;心の病に苦しむ人への支援;働く意欲を奪われた人への支援;高齢者への支援;障がい者への支援)
第3部 福祉事務所の組織的取り組み(子どもへの支援;被災者支援と生活保護業務の実際―岩手県からの報告;生活意欲向上を目指した支援―釧路型自立支援のモデルの実際)

金子充『入門 貧困論――ささえあう/たすけあう社会をつくるために』明石書店,2017.8.30

〇内容
貧困と社会保障、とくに公的扶助(生活保護もその制度の1つ)と呼ばれる領域の知の体系および論点について包括的・体系的に整理。これまで日本で、世界で貧困や格差がどのように論じられてきたか、どのような対策がおこなわれてきたかを説明しながら、当事者や被抑圧者の視点に立って日本の社会保障政策の問題点にきりこむ。貧困について網羅的に勉強したい人のための入門書。

〇目次
はじめに

第I部 貧困とは何か
第1章 身近にある貧困をとらえる――貧困・低所得・生活困窮の理解
第2章 何が貧困で、何がふつうの暮らしなのか――貧困の概念と定義
第3章 社会は貧困をどう見ているか――保守化する貧困観
第4章 なぜ貧困が生じるのか、そして何をもたらすのか――スティグマ・不自由・不平等

第II部 貧困対策としての社会保障
第5章 政府が貧者をたすける理由――公的扶助の思想・理念
第6章 公的扶助という名の貧者の管理――貧困対策と福祉国家の統治
第7章 公的扶助は「恥」なのか――社会保障のなかの公的扶助
第8章 生活をまるごと保護するとはどんなことか――生活保護の目的と原理
第9章 保護は「依存」を生み出すのか――生活保護の内容・方法・水準
第10章 生活を保護する側の論理と苦悩――ケアとコントロールのジレンマ
第11章 セーフティネットがたくさんあれば安心か――公的扶助の周辺
第12章 ジモトに広がる「ソーシャル」なたすけあい――非政府はどこまでやれるか
第13章 貧困者を生まない社会保障は実現できるか――対貧困政策の国際的動向と展望

おわりに