新刊案内

ブレンダ・デュボワほか(北島英治監訳)『ソーシャルワーク――人々をエンパワメントする専門職』明石書店,2017年11月3日

ソーシャルワーカーが身につけるべき10のコア・コンピテンシー(核となる専門的力量)の習得を目的に編集された米国のソーシャルワークの教科書。問題が複雑化し、混迷する社会のなかで求められるソーシャルワーク・プラクティスとは何か。人々が直面する問題解決の直接的な支援のみならず、人と社会のウエルビーイングを高めるために社会の変革も視野に入れた理論と実践を学ぶ。

〇内容
《本書の構成》
▼第1部▼
ソーシャルワーカーとはなにを目指し、どんな役割を果たすのか、どんな現場で活動するのかなどを、その歴史的変遷をたどりながら解き明かす。
▼第2部▼
ソーシャルワークの視座を、価値と倫理、人権と社会正義、ダイバーシティという3つの要素から解説。
▼第3部▼
ジェネラリスト・ソーシャルワークの理解。エンゲージメント、アセスメント、インターベンション、エバリュエーションそれぞれの過程をたどり、ソーシャルワークの機能と役割を明らかにする。また、ソーシャルワークの重要な機能の1つである社会政策提言活動について、米国の社会福祉制度の課題をとりあげながら解説。
▼第4部▼
米国のソーシャルワークの現場が直面している今日的課題(貧困、失業、メンタルヘルス、虐待、DVなど)とソーシャルワークがどのように展開されているかを取り上げる。

*各章ごとに、「ダイバーシティと人権の考察」「エンパワメントと社会正義の考察」「ソーシャルワーク・プロファイル」(さまざまな領域で働くソーシャルワーカーの紹介)という3つのコラムを掲載。クライアントを取り巻く社会的環境の変革に不可欠な、批判的思考の養成にも力点を置く。

《本書が伝えたいこと》
ソーシャルワーカーはエンパワメントする専門職である
ソーシャルワークのプロセスは人をエンパワーするものであり、専門職としての活動がエンパワメントを生み出す。ソーシャルワーカーはクライエントのストレングスを見出し、コンピテンシーを肯定し、パートナーとして協働する。
ソーシャルワークは考え方であり、実践方法である。
ソーシャルワーカーは人間行動、プラクティス、そして政策の相互作用を概念的に理解しなければならない。ジェネラリスト指向の枠組みを用いて、問題を広角レンズを通してみて「人―環境」の相互作用のダイナミクスを認識し、あらゆる人の置かれた状況のコンテクストを分析し、あらゆるシステムレベルの問題、課題、ニーズに対処するインターベンションを開発する。
■ストレングス、エンパワメント、ダイバーシティ、社会正義を学び、議論せよ。
これはらソーシャルワークの知識と価値を理解するためのフィルターであり、インターベンションのスキルの基盤となる。専門職ソーシャルワークについて学ぶ中で、今後も最も重要なテーマであり続ける。

〇目次
序文 第1部 専門職としてのソーシャルワーク 1 ソーシャルワーク 援助の専門職 2 進化し続ける専門職 3 ソーシャルワークと社会システム 4 ソーシャルサービス提供システム 第2部 ソーシャルワークの視座 5 ソーシャルワークの価値と倫理 6 人権と社会正義 7 ダイバーシティソーシャルワーク 第3部 ジェネラリスト・ソーシャルワーク 8 エンパワメント・ソーシャルワーク・プラクティス 9 ソーシャルワークの機能と役割 10 ソーシャルワークと社会政策 第4部 プラクティスの現場における今日的課題 11 ソーシャルワークと貧困、ホームレス、失業、刑事司法 12 保健、リハビリテーションメンタルヘルスにおけるソーシャルワーク 13 家族と青少年とのソーシャルワーク 14 成人と高齢者のためのサービス エピローグ 参考文献 索引 監訳者あとがき

〇コメント
驚愕の21,600円!!!。コア・コンピテンシーという切り口から編集。

小西加保留 編『HIV/AIDSソーシャルワーク: 実践と理論への展望』中央法規出版,2017年11月21日

〇内容
HIV/AIDS罹患者への支援に必要な、関連する幅広い知識を網羅的に学べる1冊 近年HIV/AIDSの医療の進歩は目覚ましいが、罹患者が抱える生活上の課題に対する支援の道は未だ険しい。 本書は、感染症としての基本知識を押さえ、ソーシャルワークの観点からセクシャリテイやメンタルヘルス、外国人支援、就労支援、薬害など、関連テーマを掘り下げた。

〇目次
第1部 HIV/AIDSソーシャルワーク
     変遷と課題
 第1章 HIV医療・体制の変遷と課題
 第2章 HIV/AIDSソーシャルワーク
      変遷の枠組み
 第3章 価値・倫理的課題
 第4章 各テーマに向けた
      社会福祉学の射程

第2部 HIV/AIDSソーシャルワーク実践
 第1章 HIV/AIDSソーシャルワーク
      枠組み
 第2章 各領域における理論と実際

第3部 社会福祉学としての理論的考察
 第1章 多様なテーマの
      社会福祉学としての構図と課題
 第2章 アドボカシーの概念と
      HIV/AIDSソーシャルワーク
 第3章 チームと連携
 第4章 地域福祉への展望

資料編

〇コメント
小西先生によるHIV/AIIDSソーシャルワーク研究の最新著。