新刊案内

WILLこども知育研究所『精神保健福祉士の一日 (医療・福祉の仕事見る知るシリーズ)』保育社,2017.11.28

〇内容
精神保健福祉士の仕事ってどんなことをするの?仕事の時はどんなことを考えている?精神保健福祉士になる学校ってどんなところ?精神保健福祉士になるには何を勉強しておくといいの?どんな人が向いている?そんな10代の疑問に、写真で「見る」文章で「知る」ことができる本。

〇目次
1 精神保健福祉士の一日を見て!知ろう!(精神科病院で働く精神保健福祉士の一日
市役所で働く精神保健福祉士の一日
インタビュー編 いろいろな場所で働く精神保健福祉士さん)
2 目指せ精神保健福祉士!どうやったらなれるの?(精神保健福祉士になるには、どんなルートがあるの?
いろんな学校があるみたいだけど、ちがいは何?
福祉系の学校以外から目指すことはできるの?
学校を卒業したあと、実務経験が必要なの?
気になる学費は、どのくらいかかるの? ほか)

〇コメント
表紙に「10代の君の『知りたい』に答えます」とあるように小・中学生を対象とした職業解説本とのこと。写真があってイメージが湧きやすそう。本シリーズは、第17回学校図書館出版賞(2015年)を受賞。労働人口が減少する中で、自職種を確保するために使用する教材として有用。関連で、『社会福祉士の一日』2016がある。

菱川愛ほか編『子ども虐待対応におけるサインズ・オブ・セーフティ・アプローチ実践ガイド――子どもの安全(セーフティ)を家族とつくる道すじ』明石書店,2017.12.1


〇内容
家族を「変える」のではなく、家族と「協働」し、子どもの安全をつくっていくサインズ・オブ・セーフティ。その理論を最新の知見を含め紹介するとともに、実際の事例を参画した家族からコメントをもらう形で解説する。明日からの実践に新しい展望をもたらす一冊。

〇目次
第1章 サインズ・オブ・セーフティ・アプローチの理論と方法

サインズ・オブ・セーフティ・アプローチ[菱川愛]
サインズ・オブ・セーフティ・アプローチの特徴
サインズ・オブ・セーフティ・アプローチの全体像
サインズ・オブ・セーフティ・アプローチの「何を」の欄
サインズ・オブ・セーフティ・アプローチの「どうやる」の欄
解決志向型アプローチ

演習

第2章 サインズ・オブ・セーフティ・アプローチの実践

体調不良で8年間子どもを施設に預けていた母が子どもを取り戻すまで[中尾賢史]

お母さんがセーフティ・パーソンの協力を得てSofSの一連の取り組みを迅速に行い、一日で家庭引き取りになった取り組み[高橋かすみ]

家族自らが示したゴールに向かい、修正を重ねながらセーフティ・プランを完成させた取り組み[星香澄]

ママ、ババ、地域の人の問題だらけの子育て奮闘記[橋本純]

子育てできないと言われてきたお母さんが子どもたちの声に応えるまで[小林智紀]

親子が一緒に生活するための道のり[糸永悦史・山中庸子]

姉弟間暴力の解決に向けて家族本来の力を取り戻していった取り組み[岡本亮子]

今後の子どもの安全な生活に焦点をあてて家族と一緒に考えたこと[岡野典子]


第3章 サインズ・オブ・セーフティ・アプローチのスタートアップ

サインズ・オブ・セーフティの実践を柱にするためのガイド[足利安武]

さいたま市児童相談所における、サインズ・オブ・セーフティ・アプローチの組織的導入について[野口幸]

おわりに[渡邉直]

〇コメント
長年、サインズ・オブ・セーフティの普及に取り組んでこられた菱川氏が、臨床家と共に執筆。

中村秀一『2001ー2017年ドキュメント社会保障改革―「年金時代」186本のコラムが語る』年友企画,2017.12.1


〇内容
社会保障の強化と財政健全化の同時達成にしか未来はない」とする著者が2001-2017年の小泉政権から第1次安倍、福田、麻生政権を経て民主党政権の鳩山、菅、野田政権から再び自公連立の第2次安倍政権に至る激動の17年間を綴ったコラムを掲載。「現時点からのコメント」を添える。社会保障関係者、自治体担当者、政策担当者および社会保障の研究者、学生に必読の書。

〇目次
連載のスタート:小泉改革の渦中で
2005年の介護保険改革を担当して
混迷する社会保障政策
政権交代社会保障
一体改革に参画して
虎ノ門から見る社会保障
連載の終わりに

〇コメント
このところ、厚生労働省の元高官が相次いで社会保障に関する書籍を出版している。『社会保障制度改革が目指しているもの―内閣官房社会保障改革担当室長として考えてきたこと』2016の続巻。権丈氏曰く「これ以上に貴重なドキュメントは今後絶対に生まれない」。

辻哲夫監『まちづくりとしての地域包括ケアシステム: 持続可能な地域共生社会をめざして』東京大学出版会,2017.12.22


〇内容
少子高齢化や人口減少が進むなか、人々が住みなれた地域で自分らしく暮らしていくための総合的なまちづくりとは。柏、富山、横浜、高知、山形、五島での先進的な事例を紹介し、産業、医療、交通、住宅、コミュニティの視点から地域共生社会を展望する。

〇目次
はじめに(田城孝雄・内田要)
第I部 先進事例にまなぶ
第1章 い・しょく・じゅうで支えるまちづくり:柏プロジェクトからの報告(辻哲夫・飯島勝矢)
第2章 路面電車によるコンパクトシティ富山市の高齢化対策(森雅志)
第3章 いつまでも自分らしく過ごせるまちづくり:横浜市青葉区の地域包括ケアシステム事例と考察(大石佳能子)
第4章 中山間の小さな拠点:高知県の集落活動センター(中村剛・樋口裕也)
第5章 病院の再編・統合と地域づくり:山形県における取り組み(村上正泰)
第6章 地域での調剤情報共有とデータ二次利用長崎県五島市の取り組み(山口典枝)
第II部 持続可能な地域づくり
第7章 持続可能な地域経済の実現:岡山県真庭市の木質バイオマス利活用(中村聡志)
第8章 持続可能な地域を支える医療・介護(田城孝雄)
第9章 公共交通を守り、育てる(加藤博和)
第10章 地域に根差した新たな住宅政策の展開:住宅地と空き家の未来と近居(吉田友彦)
第11章 実践コミュニティの形成:宮崎文化本舗のネットワークと熊本宮原の子ども記者クラブ(根岸裕孝)
座談会 人々の暮らしを地域で守る(内田要・加藤博和・田城孝雄・辻哲夫)
付録 地域活性化地域再生、地方創生、持続可能社会への潮流(田城孝雄)

〇コメント
地域包括ケアシステムのの先進事例を紹介。

川上富雄編『地域アセスメント:地域ニーズ把握の技法と実際』学文社,2017.12..27


〇内容
地域活動において、どのようにアセスメント(評価・査定)を行うか――
理論と実践例から学ぶ。NPO、地域社会福祉協議会等さまざまな地域福祉実践でのアセスメントを紹介。

〇目次
第1部 地域アセスメントの理論と方法 (川上富雄:駒澤大学文学部)

1 地域アセスメントとは
2 地域アセスメントの方法論的特質
3 地域アセスメントの必要性1~超少子高齢・無縁社会の進展とニーズの変容~
4 地域アセスメントの必要性2~地域もニーズも多様~
5 地域アセスメントの歴史~理論と実践の発展~
6 他分野における地域アセスメントの取り組み
7 地域アセスメントの考え方 ~「ニーズの普遍化」と「ストレングス視点」~
8 地域アセスメントの対象
9 地域アセスメントの主体
10 地域アセスメントの圏域
11 地域アセスメントの展開1 ~地域アセスメントの展開・内容~
12 地域アセスメントの展開2 ~既存統計データ等の収集および既存資源のリストアップ~
13 地域アセスメントの展開3 ~当事者・活動者・専門職等への聴取・懇談会・ワークショップ~
14 地域アセスメントの展開4 ~数的把握のためのアンケート調査~
15 地域アセスメントの展開5 ~地区視診・地域踏査(フィールドワーク)~
16 課題分析と小地域福祉活動計画の策定
17 地域アセスメントの枠組み・項目とアセスメントデータの共有・更新

第2部 地域アセスメントの実践と関わり

1 地区社協設立に向けた地域アセスメントの活用 (小林 孝行:座間市社会福祉協議会)
2 コミュニティソーシャルワーカー(CSW)による個別支援から地域支援への取り組み (藤居 昌行:相模原市社会福祉協議会)
3 市社協のひきこもり支援と地域アセスメント (佐野 裕二・中井 俊雄:総社市社会福祉協議会)
4 地域アセスメントにおける地域包括支援センターのかかわり (田中 聖子:地域包括支援センター聖テレジア第2)
5 市社協からみた地区社協活動計画づくりと地域アセスメント (川島 徹也:静岡市社会福祉協議会)
6 地域アセスメント情報の共有と活用 (井出村 一朗:横浜市中区社会福祉協議会)
7 高齢・過疎地域における地域アセスメントと移動販売事業 (堂野﨑 平:江田島市社会福祉協議会)
8 小さな町のきめこまかい地域アセスメント (藤田 徹:内灘町社会福祉協議会)
9 県社協によるコミュニティワーク実践力強化の試みと地域アセスメントの推進 (柳下 亮平:神奈川県社会福祉協議会)
10 防災の町づくり支援と地域アセスメント (緑川 久雄:東備消防組合)
11 地域における医療介護連携と地域アセスメント (大森 信彦:国立病院機構岡山市金川病院)
12 公益社団法人日本駆け込み寺 ~歌舞伎町パトロールの取り組み~ (千葉 龍一:公益社団法人日本駆け込み寺相談員)
13 ホームレス支援NPO活動から見た地域アセスメント (新名 雅樹:NPO法人岡山・ホームレス支援きずな)
14 地域の基幹的社会福祉法人の地域ニーズの把握と対応 (佐藤 秀圭・小川 征志・角田 堅吾:社会福祉法人新市福祉会統括センター)
15 地域ニーズに応える開拓的地域公益活動~福祉楽団の取り組み~ (飯田 大輔:社会福祉法人福祉楽団)

〇コメント
104ページの中に盛りだくさんの内容。地域アセスメントの体系化がなされるとともに標準化され、他地域との比較可能性が高まると面白い。まち・ひと・しごと創生本部(内閣府)は、地域経済分析システム(RESAS(リーサス))を開発。厚生労働省は、地域包括ケア「見える化」システムを開発。これらの通り、ITを活用したデータの視覚化が取り組まれており福祉分野でも開発が進むことを期待している。そうしないと、あっという間に他の分野の集団が開発してしまうだろう。


宮島俊彦監『社会保障と税の一体改革 ―改革推進の軌跡と要点』 第一法規株式会社,2017.12.27

〇内容
社会保障と税の一体改革」に携わってきた宮島俊彦氏の監修のもと、平成20年から平成29年までの取り組みを理解するための資料を厳選し収録。時期により4章立てとし、各種会議の経過を記述した解説、それぞれの時期で議論されてきた内容の検討結果、報告書の概要、法案の概要など豊富な資料を掲載。

〇目次
第1章 「社会保障・税一体改革成案」までの動き(平成20年1月~平成23年7月)
第2章 「社会保障・税一体改革関連法案」の提出まで(平成23年8月~平成24年4月)
第3章 「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」の成立まで(平成24年5月~平成25年12月)
第4章 社会保障制度改革プログラム法に基づく改革の推進(平成26年1月~)
関係資料

〇コメント
検討過程の様々な会議等をとりまとめてきた清家篤氏、初代の社会保障改革担当室長である中村秀一氏による巻頭言も収録されているとのこと。