平成30年度診療報酬改定と社会福祉士

2018年1月24日、中央社会保険医療協議会 総会(第386回)が開催され、「○個別改定項目(その1)について」が公表された。総-1(PDF:1,709KB)は492ページにも及ぶ。

この中で、社会福祉士に言及のあったのは以下の通り。

〇退院時共同指導料1

[算定要件]
注1  保険医療機関に入院中の患者について、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医の指示を受けた看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等若しくは社会福祉士が、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医、看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等又は社会福祉士と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回に限り、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関において算定する。ただし、別 に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、当該入院中2回に限り算定できる。

〇退院時共同指導料2
[算定要件]
注1  入院中の保険医療機関の保険医、看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等又は社会福祉士が、入院中の患者に対して、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医若しくは当該保険医の指示を受けた看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等若しくは社会福祉士又は当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の指示を受けた訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)と共同して行った上で、文書により情報提供した場合 に、当該患者が入院している保険医療機関において、当該入院中1回に限り算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、当該入院中2回に限り算定できる。

■コメント
これは、日本医療社会福祉協会の要望がストレートに取り入れられた結果となる。調査研究部の調査活動の賜物であろう。また、入院医療機関側の社会福祉士も退院前カンファレンスの開催調整と参加をしていることが少なくないため、非常に良い改定と思う。

〇療養・就労両立支援指導料    ○点(6月に1回)

    相談体制充実加算  ○点

[算定要件]
就労中のがん患者であって、入院中の患者以外のものに対し、以下の全てを行った場合に算定する。
(1) 医師が病状、治療計画、就労上必要な配慮等について、産業医あてに文書で診療情報を提供
(2) 医師又は医師の指示を受けた看護師若しくは社会福祉士が病状や治療による状態変化等に応じた就労上の留意点に係る指導
(3) 産業医から治療継続等のための助言の取得
(4) 産業医による助言を踏まえ、医師が治療計画を見直し・再検討

[就労等相談体制加算の施設基準]
(1) 療養環境の調整に係る相談窓口を設置し、専任の看護師又は社会福祉士を配置していること。
(2) 就労を含む療養環境の調整について、相談窓口等において患者からの相談に応じる体制があることを周知していること。

■コメント
がん患者のうち、就労中の外来患者で、かつ主治医と産業医と文章でやりとりがある、というかなり限定的な算定要件のため、各都道府県のがんセンターでない限り、対象患者はかなり少なくなるのではないかと予想される。但し、算定要件と施設基準それぞれに社会福祉士が掲載されたため、就労支援を本格的にやろうと考えているがん相談支援センターの社会福祉士にとっては追い風となろう。

■全体
上記で取り上げた以外にも、退院時共同指導料2の算定要件として、「自宅以外の場所に退院する患者も算定可能とする。」となったことも重要な変更点となる。また入院医療機関が連携先の医療機関と「特別の関係」にあたる場合であっても、入退院支援加算1、退院時共同指導料2 が算定できることも法人内で急性期以外の医療機関訪問看護を有する場合には追い風となろう。

「○個別改定項目(その1)について」であったため、今後もその2が公開されることになる。今回の診療報酬改定で一番注目している外来相談の診療報酬点数化がどうなるのか引き続き注視したい。