患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合

昨日は、医療・福祉研究塾(第4回)でした。

二木先生より、以下情報提供。

厚生労働省保険局医療課長・厚生労働省保険局歯科医療管理官『【保医発0305第6号】「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について』平成30年3月5日,p16
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000203027.pdf

(8) 患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合としては、具体的には以下の例が挙げられること。なお、③に掲げる「実質的に患者の選択によらない場合」に該当するか否かは、患者又は保険医療機関から事情を聴取した上で、適宜判断すること。
① 同意書による同意の確認を行っていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を含む。)
② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
(例)
・ 救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者
・ 免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者
・ 集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者
後天性免疫不全症候群の病原体に感染している患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
クロイツフェルト・ヤコブ病の患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
③ 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
(例)
MRSA等に感染している患者であって、主治医等が他の入院患者の院内感染を防止するため、実質的に患者の選択によらず入院させたと認められる者の場合
特別療養環境室以外の病室の病床が満床であるため、特別療養環境室に入院させた患者の場合
なお、「治療上の必要」に該当しなくなった場合等上記②又は③に該当しなくなったときは、(6)及び(7)に示した趣旨に従い、患者の意に反して特別療養環境室への入院が続けられることがないよう改めて同意書により患者の意思を確認する等、その取扱いに十分に配慮すること。

今回の通知改訂で、新たに盛り込まれた内容とのこと。

なお、情報の出典である「しんぶん赤旗」日曜版の特集「お役立ちトク報」(5月20日号)の新聞記事には、「たとえ同意書があっても、患者の選択によらず、単に満床であるから(差額ベッド料のかかる部屋に)入院させたことが個別に認められた場合は、徴収できません」(保険局)と記載あり。

医学的理由で個室に入った場合は、差額ベッド代は徴収できないという理解は随分一般的になっていましたが、上記通知改訂は知りませんでした。

転院・入院支援の際に、「4人部屋は満床で、個室ベッドなら空いています。そちらでもよければ入れますが」と先方医療機関に言われることは少なくありません。医学的理由と同様に新しい基準も一般化されると良いと思いました。稼働率の高低で、受入側の反応にも強弱あるかと思いますが、ルールとして把握しておく必要はあります。