新刊案内

林祐介『効果的な退院・転院支援』旬報社,2019.1.25

〇内容
医療ソーシャルワーカー(MSW)の業務の中でもとりわけ悩ましい「患者の退院・転院支援」についての実証的研究。
退・転院支援の際、特に重要な課題となる3つの課題1「患者と家族の合意形成」2「自宅退院後の不安と困り事」3「転院困難患者が抱えている問題」に迫るため、現場のカルテ・ソーシャルワーク記録や患者と家族へのインタヴュー、社協関係者への聞き取り調査を実施。
そうした7つの調査によって得られたのは、医療現場から求められるミッションと患者のニーズどちらにもこたえるソーシャルワークを実現する新たな知見だった。
MSWとしての自身のキャリアを活かし、ソーシャルワークの支援効果に関心を寄せる研究者、よりよい支援を模索する医療関係者の橋渡しとなる、画期的な書籍!

〇目次
序章 本書のねらい
第1章 退・転院支援についての動向と課題
第2章 本研究の調査計画
第3章 患者と家族の退・転院先の意向についての調査
第4章 自宅退院後の患者と家族の不安・困り事に ついての調査
第5章 療養型病院・施設等への転院制約要因とそれを有する患者への取り組みについての調査
第6章 総括─MSWによる効果的な退・転院支援の 実現に向けて

〇著者略歴
1977年生まれ
1999年 南山大学経営学部卒業後、民間企業に勤務(~2003年)
2005年 日本福祉大学社会福祉学部卒業後、民間病院にMSWとして勤務(~2018年)
2010年 日本福祉大学大学院社会福祉学研究科修士課程 修了
2017年 日本福祉大学大学院社会福祉学専攻博士課程 修了
博士(社会福祉学)
現在 同朋大学社会福祉学部専任講師
【主要論文】
「患者と家族の退・転院先の意向についての量的研究 A病院のカルテ・ソーシャルワーク記録調査より」『社会福祉学』59(1),2018年,27-39.
「退院計画に関わる病院スタッフの支援プロセスと患者アウトカムとの関連についての研究 A病院の自宅退院後調査の取り組みから」『厚生の指標』65(5),2018年,1-7.
医療機関における保証人問題の実情とみえてきた課題」『実践 成年後見』77,2018年,44-51.

〇コメント
林さんの著書が発売されます。みなさん是非、ご購入を。




野崎和義『ソーシャルワーカーのための成年後見入門:制度の仕組みが基礎からわかる』ミネルヴァ書房,2019.1.16

〇内容
社会福祉専門職のための入門書——
成年後見制度の仕組みを基礎から解説
○離婚・親権・相続・遺言など関連領域も充実
○司法・裁判(家庭裁判所)の仕組みをわかりやすく紹介
○過去の社会福祉士国家試験(成年後見制度、親族、相続)を体系的に配列

利用者の権利を擁護し地域生活を支援する専門職(ソーシャルワーカー)のために、成年後見制度の仕組みや法の知識を基礎からわかりやすく解説。現実の後見業務を見すえ、離婚・親権・相続・遺言など具体的な関連領域も詳しく紹介。
社会福祉士国家試験の体系的な配列、解説のブロック化と徹底したクロスレファレンスによりワークブックとしての活用にも最適。

〇目次
はしがき
第1章 成年後見制度の仕組み
第2章 法定後見と同意権・取消権
第3章 法定後見と代理権
第4章 成年後見人等の職務遂行上の義務
第5章 成年後見人等に対する監督,成年後見人等による不正
第6章 法定後見開始の申立て
第7章 審判手続き
第8章 法定後見の終了
第9章 任意後見制度
第10章 成年後見・権利擁護にかかわる事業
第11章 家庭裁判所の職務と権限
第12章 婚姻と離婚
第13章 親子,扶養
第14章 親権とその制限
第15章 法定相続
第16章 遺 言
索引

〇著者略歴
1977年 中央大学法学部卒業
    中央大学大学院法学研究科博士(後期)課程を経て
現 在 九州看護福祉大学看護福祉学部教授



上田晴男・ 小西加保留・ 池田直樹編『権利擁護とソーシャルワーク(新・基礎からの社会福祉 8)』ミネルヴァ書房,2019.1.16

〇内容
法律や医療など、専門職の協同が必要とされる権利擁護の現場で役割を果たせるソーシャルワーカーになるために必要な知識を、最新情報で解説。学び方のわからない初学者に、順を追って読めば学べる工夫満載のテキストシリーズ。
「権利擁護と成年後見」の出題基準とカリキュラムを包含したわかりやすい本文と厳選された図表で理解を助ける。その上で、チェックポイントや国試で確認し、理解の定着を図る。

〇目次
はじめに
第Ⅰ部 ソーシャルワーク実践としての権利擁護
第1章 ソーシャルワークの理念と権利擁護
第2章 ソーシャルワークとアドボカシー
第3章 意思決定支援の理解

第Ⅱ部 権利擁護と法
第4章 憲法規範としての権利擁護
第5章 民法における権利,義務,責任
第6章 権利擁護を目的とした行政法
第7章 権利擁護にかかわる機関と専門職

第Ⅲ部 成年後見制度の実際
第8章 成年後見制度の理解と活用
第9章 成年後見制度の権利侵害事例への活用
第10章 成年後見制度とソーシャルワーク

第Ⅳ部 さまざまな権利擁護支援の方法と実践
第11章 福祉サービスと権利擁護
第12章 さまざまな権利擁護支援の実際
第13章 権利擁護支援システム構築の課題
さくいん



白澤政和編『ケアマネジメント論:わかりやすい基礎理論と幅広い事例から学ぶ』ミネルヴァ書房,2019.1.7

〇コメント
利用者の地域生活を支援するケアマネジメントの技法について、初学者にわかりやすく解説。介護保険下における高齢者のみでなく、障害者、児童、刑余者など、全ての人に共通する理論を最新の知見を交えてわかりやすく説明。
その上で対象者別、在宅・施設などの場所別、に様々な状況下での事例を豊富に提示し、理論、実践両面からの理解を促す。ケアマネジメント理論の第一人者の編集による、ケアマネジメントの基本を学ぶ書籍決定版。

〇目次
はじめに
第I部 理論編
第1章 ケアマネジメントとは何か
第2章 ケアマネジメントの方法
第3章 ケアマネジメントと地域

第II部 実践編
第4章 対象別ケアマネジメントの実際
第5章 在宅生活支援とケアマネジメント
第6章 福祉施設とケアプラン
さくいん



岩永 理恵ほか『生活保護と貧困対策』有斐閣,2018.12.21

〇内容
よりよい制度に向けた議論のために
貧困や生活保護をめぐるさまざまな誤解を解きほぐし,よりよい制度・社会の構築へと議論をつなげる入門テキスト。難解な制度の解説だけでなく,根本から問題について考えるための事例や,他の制度や他国の仕組みと比較しながら考える視点を提示する。

〇目次
第1章 「食うに困る」が貧困か?
第2章 働いている人は生活保護を利用できない?
第3章 生活保護を利用すると,自動車・家はもてないのか?
第4章 家族や親族がいると生活保護は利用できない?
第5章 ケースワーカーとはどんな人? 福祉事務所はどんな職場?
第6章 生活保護の増大で財政は破綻する?
第7章 生活保護はどのように展開してきたか?
第8章 生活保護で対応しきれない貧困?
第9章 現金給付か,現物給付か?
第10章 貧困対策に必要な教育費の支援とは?
第11章 貧困対策に必要な住宅と居住の支援とは?
第12章 貧困対策に必要な医療と介護の支援とは?
第13章 生活保護の権利は私たちと無関係なのか?
第14章 生活困窮者自立支援制度は貧困対策をどう変えるか?



岩崎晋也『福祉原理 -- 社会はなぜ他者を援助する仕組みを作ってきたのか』有斐閣,2018.12.19

〇内容
新しい社会福祉
地縁や血縁など特定の「関係のない他者」を援助する仕組みである「福祉」。私たちは「福祉」という仕組みがあることで見知らぬ他者と共存し,社会を形成できているのだ。その正当化の論理を,3つの局面に焦点を当て,壮大なスケールで描き出す。著者待望の渾身の社会福祉論。

〇目次
第1章 古代都市国家の「福祉」とキリスト教による転換
1 「関係にもとづく援助」の規範化
2 古代都市国家における「秩序維持型福祉」の誕生
3 キリスト教による「秩序再構築型福祉」の展開
第2章 近代市民社会の「福祉」と社会連帯論による転換
1 国家による社会防衛としての「秩序維持型福祉」
2 フランス革命後の「福祉」の社会的位置づけの変遷
3 社会連帯論による「秩序再構築型福祉」の展開
第3章 現代社会の「福祉」と「新しい社会福祉」による転換
1 もう一つの「福祉」の系譜──「社会福祉」の誕生
2 消費者へのサービス提供──「社会福祉」の解体
3 「新しい社会福祉」による「秩序再構築型福祉」の可能性
終 章 福祉の原理とは何か


阿部彩・鈴木大介『貧困を救えない国 日本(PHP新書)』PHP研究所,2018.10.17

〇内容
日本の相対的貧困率は15.7%(2015年)にも上るが、日本には本当の貧困なんてないと言う人もいる。そんな人にこそ伝えたい現実がある。一時的にせよ「飢えた」状態に置かれてしまい、万引きをしなければ食べ物にありつけない貧困家庭の子どもは少なくないのだ。本書では貧困問題のリアルと本質について、社会調査とデータのエキスパートと、貧困家庭の現場を徹底して見聞きしてきたライターが語り合う。貧困への無理解に対抗するための本音対談。

〇目次
第1章 間違いだらけの「日本の貧困」
第2章 なぜ貧困を放置してはいけないのか?
第3章 誰が貧困を作っているのか?
第4章 メディアと貧困
第5章 精神疾患が生み出す貧困
第6章 地方の貧困と、政治を動かす力
第7章 財源をどこに求めるか
第8章 支援者の問題
第9章 貧困対策を徹底的に考える



井手英策ほか『未来の再建 (ちくま新書) 』筑摩書房,2018.12.6

〇内容
頑張っても報われず、誰もが弱者になりうる社会。それが今の日本だ。生活不安が私たちを直撃し、弱者がさらに弱い者を叩く。そんな状況にあって、突破口は一体どこにあるのか?「くらしの場」、「はたらく場」、「保障の場」それぞれを再建し、自己責任社会から脱却すること。子育て、教育、医療、介護など、私たちが生きる上で必要不可欠な「ベーシック・サービス」を、すべての人に保障すること。来るべき時代への道筋を示す、希望の書である!

〇目次
第1章 生活困窮者を絶え間なく生む社会
第2章 引き裂かれる日本社会
第3章 日本の「労働」はなぜこれほど苦しいのか?
第4章 身近な世界を政策につなぐために―「ベーシック・サービス」の提唱
第5章 限定的で狭小な社会福祉からの脱却
第6章 「職業の再建」で分断を乗り越える
第7章 未来を再建せよ―すべてを失う前に



井手英策『幸福の増税論――財政はだれのために (岩波新書)』岩波書店,2018.11.20

〇内容
なぜ日本では、「連帯の仕組み」であるはずの税がこれほどまでに嫌われるのか。すべての人たちの命とくらしが保障される温もりある社会を取り戻すために、あえて「増税」の必要性に切り込み、財政改革、社会改革の構想を大胆に提言する、著者渾身の一冊。税や財政のしくみを変えれば、これからの日本、社会は大きく変わる!

〇目次
第1章 鳴り響く「一億総勤労社会」の号砲
第2章 中の下の反乱―「置き去りにされた人たち」の怒り
第3章 再分配革命―「頼りあえる社会」へ
第4章 貯蓄ゼロでも不安ゼロの社会
第5章 財政の転換をさまたげるもの
終章 選択不能社会を終わらせる

〇著者略歴
1972年福岡県久留米市生まれ。1995年東京大学経済学部卒業。2000年東京大学大学院経済学研究科博士課程を単位取得退学し、日本銀行金融研究所に勤務。東北学院大学横浜国立大学などを経て、慶應義塾大学経済学部教授。専攻は財政社会学。著書に『経済の時代の終焉』(岩波書店、2015年、大佛次郎論壇賞受賞)