社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会

社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syakai_390337_00001.html

日本福祉大学山田壮志郎先生が構成員に!!

無料低額宿泊所への入居のきっかけの一つに医療機関というものがあります。医療機関無料低額宿泊所の関係について調査を行ったものに、以下の研究結果(アンケート調査分)があります。

1-4 研究結果
1-4-1 アンケート調査から明らかになったこと
1-4-1-1 無料低額宿泊所の利用状況
回答医療機関の約半数は、ホームレス患者の退院後の居所として無料低額宿泊所を利用
した経験を持っていた。なお、この点については地域差がみられた。東京都内に所在する
医療機関は利用経験のある比率が高く、無料低額宿泊所の地域的偏在の影響が推測された。
ただし、退院後の居所として無料低額宿泊所を利用するのは、医療機関側の主体的な選択
というよりも福祉事務所からの提案を受け入れているという要素が強かった。医療機関
の宿泊所に対する評価は高くなく、そもそも宿泊所の処遇内容を把握していない医療機関
が多くを占めたことは、患者のニーズに即して医療機関が主体的な選択をしたわけではな
いことを示している。

1-4-1-2 医療機関と福祉事務所ケースワーカーとの関係
ホームレス患者の医療費は多くの場合生活保護で賄われているため、ホームレス患者の
支援では福祉事務所ケースワーカーとの調整・連携が必要となる。福祉事務所との関係は、
退院後の居所の設定を MSW 側の主体的な選択によって行うのか、福祉事務所側の意向を
中心に行うのかを左右する。この点に影響を与えそうな要素として、本研究では、1ホー
ムレスに対する生活保護の運用の地域的な違いがあること、2MSW 所属部署の責任者が
MSW 以外の職種であると福祉事務所側の判断を受け入れやすいことの 2 点を指摘した。

1-4-1-3 ホームレスの医療ニーズの把握や退院後の地域生活支援に対する意識
前述の通り、本研究ではホームレス・生活困窮者支援における医療機関の役割として、
1ホームレス状態にある人の医療ニーズを把握すること、2ホームレス・生活困窮者の退
院後の地域生活移行・定着を支援することの 2 つを仮定した。これらの活動は、多くの医
療機関は取り組めていなかったが、取り組む責任があることは多くの医療機関が認識して
いた。特に、MSW 所属部署の責任者の職種が MSW である場合には、その認識が高かった。
また、MSW 所属部署の責任者の職種が、MSW の実践や意識に一定の影響を与えることが
示唆された。

出典:『済生会生活困窮者問題調査会平成25年度調査研究助成事業 報告書 ホームレスの地域生活移行に向けた公私連携の現状に関する調査研究』(代表:日本福祉大学山田壮志郎)2014年3月