中央社会保険医療協議会 総会(第437回)

中央社会保険医療協議会 総会(第437回)が、2019年年11月29日に開催された。

今回、入院医療(その3)についてで「3.入退院支援について」が議論されている。スライド86から111ページが該当部分だ。

厚生労働省側がまとめた【現状と課題】、【論点】は以下の通り。

【現状と課題】
(入院前からの支援に係る評価について)
○ 平成30年度診療報酬改定において、円滑な入院医療の提供に繋げる等の観点から、入院時支援加算を創設した。
○ 入院時支援の取組を行うことによる効果をみると、「入院前に利用していたサービスが把握できることで、退院先の見通しが立てやすくなった」等が多く、また、病棟における業務負担が減ったという回答もみられた。
○ 入院時支援加算の算定にあたり実施していない事項があった場合の理由をみると、「全ての項目を実施するには他職種(医師、薬剤師、管理栄養士等)の協力が必要であったため」との回答が一定程度あった。
○ 患者の入院後に病棟で対応することを評価した加算等の中には、入院時支援加算で取組を求めている項目と一部内容が関連しているものがある。また、総合評価加算の取組と類似の取組が、入院時支援加算等においても評価されている。(人員配置の要件について)
○ 入退院支援加算及び入院時支援加算の現状の職員要件では、入退院支援加算2の一部の専従職員と、入院時支援加算の専従職員のみ非常勤でよいこととされている。
○ 入退院支援加算3においては、入退院支援及び5年以上の新生児集中治療に係る業務の経験を有する専従の看護師等を配置することが要件となっているが、一方で、小児の在宅移行に係る研修を受けた看護師が増えてきており、受講により入退院支援の取組が進んでいる。また、新生児特定集中治療室管理料は6床以上の施設が多く、6床未満とは入院児数や平均在院日数等の状況が異なる。

【論点】
○ 入院時支援加算について、入院前からの患者支援が円滑な入院医療の提供や病棟負担の軽減等に資することを踏まえ、関係する職種と連携して入院前に必要な評価を全て行い、入院後の管理に適切に繋げた場合をさらに評価してはどうか。併せて、当該加算の取組と関連する他の加算等については、項目や要件等の整理を行うこととしてはどうか。
○入退院支援加算及び入院時支援加算で配置を求める専従・専任職員について、医療従事者の働き方の観点から、非常勤職員による配置を認めてはどうか。
○ 入退院支援加算3の専従の看護師について、看護師の働き方及び人材の効果的な活用の観点から、専任の看護師の配置に代えることを可能とするとともに、質を担保する観点から小児の在宅移行に係る適切な研修の受講を要件としてはどうか。また、新生児医療の提供体制の実態を踏まえ、当該加算3の届出にあたっては新生児特定集中治療室の病床数を施設基準の要件に加えてはどうか。

〇コメント
・入退院支援加算及び入院時支援加算で配置を求める専従・専任職員の非常勤職員による配置を認めることについては、少なくとも入退院支援加算2については、令和2年3月31日までの経過措置の延長または恒常化と考えられる。また、近年の「医師等の従事者の常勤配置に関する要件の緩和」「医療従事者の負担軽減・人材確保について」を踏まえた、複数の非常勤職員の組み合わせや育児休業後等の従事者が短時間勤務制度を利用している間の常勤要件の緩和を反映する形となりそうだ。

・入他院支援加算3の専従の看護師の要件の厳格化が提案されている。「研修受講前後の所属施設の変化」という小児在宅移行支援指導者研修修了者を対象にした研修8か月後のアンケート結果の主観的評価をもってして、「受講により入退院支援の取組が進んでいる。」との評価はかなり甘い。職能団体の研修のアウトカムを中医協の資料に反映するという点では学ぶことがあった。

労働人口の減少を前に、人員配置の要件も柔軟にすることが検討されている。主に看護師を対象とした検討と思われるが、社会福祉士の非常勤配置のニーズはマクロで考えるとどの程度あるのだろうか(肯定的でも否定的でもなく、客観的な意味で知りたい)。

現時点では、入退院支援及び入院時支援において大きな改定は予定されていないように思う。残すは外来相談の診療報酬点数化の議論。