第49回全国社会福祉教育セミナーin愛知

2019年12月1日、第49回全国社会福祉教育セミナーに参加するために日本福祉大学美浜キャンパスに行ってきました。台風の影響で延期開催でした。主催は、日本ソーシャルワーク教育学校連盟。

偶然にも、お世話になっているT事務局長にお会いすることができたため、色々とお話をうかがう。うーん・・・。悩ましい。どうしたものか。

■印象に残ったこと・考えたこと
全国社会福祉法人経営者協議会副会長 谷村誠氏
・2040年問題の1つとして、地方部の人口流出。2040年にかけて、人口5,000人未満の小規模な自治体が急増し、全国の市区町村の1/4に達する見込み。人口5,000人未満の自治体数2015年249(全体の14.8%)→2040年406(同24.1%)。
・2016年社会福祉法改正による24条2項の追加(社会福祉法人は、社会福祉事業及び第26条1項に規定する公益事業を行うに当たっては、日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない。)これは、社会福祉法人改革の一環であり、非課税の根拠でもある。また、「地域における公益的な取組」の運用の弾力化(2018年1月23日)についても展開が始まっており、複数法人間連携による取り組みは、47都道府県中45都道府県で実施(平成31年3月末時点)。例として、青森県青森しあわせネットワーク(※令和元年11月より保証人確保支援モデル事業を開始)。大阪府大阪しあわせネットワーク三重県みえ福祉の「わ」創造事業兵庫県神戸市垂水区ほっとかへんネット。ポイントは、市町村圏域(生活圏域)における複数法人間連携の取組。
・生活圏域での社会福祉法人のネットワーク化は、平時は地域生活支援。有事は災害派遣福祉チーム(DWAT)となりうる。

※身寄りのない患者も元は地域の市民。制度の狭間で支援からもれている彼ら・彼女らに対する支援の一方策として、社会福祉法人の公益事業は十分に検討の余地がある。都道府県・市町村社会福祉協議会とのコラボレーション。

北星学園大学 畑亮輔氏

・2018年度 ソ教連 社会福祉推進事業による北海道におけるプラットフォーム構築に向けた取り組みを報告。

「これまで社会福祉士の養成では、主として養成校教員・学生、実習指導者(実習配属先の社会福祉士)の 3 者が中心となって実習教育が個別に展開されてきた。しかしながら、前述のとおり、社会福祉法人等の事業者、職能団体、養成施設・養成校がこれから目指すべき姿として同じ方向性を向いていると理解できる。そのため本事業では、全国区及びモデル地域(5府県)で3者による社会福祉士の育成と、現任者の学び直し・養成校学生の実習・社会福祉法人の地域公益活動を検討するプラットフォームを作り(第 1 段階)、プラットフォームを活用しながら当該エリアの行政や地域住⺠とともに学び合う場を創出し(第 2 段階)、プラットフォームでより住⺠に近いレベル(市町など)で住⺠フォーラム等交流の場を設定する(第 3 段階)ことを目的に事業を実施する。」
出典:日本ソーシャルワーク教育学校連盟『(厚生労働省平成30年度生活困窮者就労準備支援事業費等補助金 社会福祉推進事業)包括的相談支援及び地域課題解決体制を担うソーシャルワーク人材養成・育成体制の構築並びにそのパイロット事業の実施に関する調査研究事業』2019年3月

※養成校・事業所・職能団体の三者協議の場というシステムは非常に良い。愛知県でもできないだろうか。学生に現場のイメージを持ってもらう、フィールドワーク実習、就職フェア、実習ガイドラインや実習需給調整、この枠組みでのソーシャルワーカー養成と生涯教育。市民団体や市民との接点はやや見えず。

青森県立大学 工藤英明氏
青森県社会福祉協議会では、県内各団体が主催する研修の年間計画を取りまとめ公表しているが、各団体間の組織的連携はない。各団体が主催する研修は、法定研修、自治体痛く研修、職能団体による生涯研修プログラム、自主的な研修など多様であるが、研修の種別によって参加者数や参加者の意欲にバラつきがあるといった課題を有している。

※上記年間計画とりまとめには、社士会以外のMSW協会・PSW協会は参画しておらず、看護協会が参画している。

厚生労働省 塩崎敬之氏
精神保健福祉士養成課程の教育内容等の見直しにおいて、⑦低所得者に対する支援と生活保護制度と⑨保健医療サービスが再構築される。

※再構築とは廃止ということ。他のカリキュラムの中で習得することが期待される。精神保健福祉士は、旧科目でいう公的扶助について社会保障の中で多少学ぶだけ。貧困について、広範かつ体系的に学ぶことがないとは、果たして大丈夫であろうか。

首都大学東京 和気純子氏
来年度 第50回全国社会福祉教育セミナーは、2020年11月14日・15日。首都大学東京東京都立大学)で開催。

※今回初めて、全国社会福祉教育セミナーに参加。ソ教連になり、かなり大きな枠組みの中で議論する素地がある。養成校・事業所・職能団体というプラットフォームの構築という意味で実務的なところが良かった。

■番外
・厚生労働統計協会が、動向誌バックナンバー集 DVDを販売していた。もう、自宅に大量のバックナンバーを置いておく必要が無いと判明。