新刊案内・これから出る本

芦沢茂喜・山岸倫子『ソーシャルワーカーになりたい』生活書院, 2020.6.14

〇内容
ソーシャルワーカーになるとはどういうことなんだろう?使える資源の量は多くなったけれど、自分達が動かなくても既にあるもの決められたものの中で行う業務となってしまったソーシャルワーク。だからこそ、そこに「人」が介在する意味を問い直したい。自らの実践を解体し対話を重ねる中からソーシャルワークの本質に迫る、ふたりの支援者からのメッセージ。

〇目次
Ⅰ おもいおもわれ、ふりふられ──ソーシャルワーカーになりたい私のものがたり  芦沢茂喜
はじめに
第1章 言葉の裏には想いがある
 通訳になりたいヨウコさん/ヨウコさんの担当になった私の一方的な思い/すれ違う思いとヨウコさんの反応/分かったつもり──「クライエントに戻りなさい」
第2章 振り回されるのが仕事
 ヨウコさんのその後と新たな決意/頻繁に通帳確認を求めるケンタさん/繰り返される面接要求と突然の別れ/「振り回したい相手の気持ちは誰が受け止めるの」
第3章 ポジショニング
 医師不足とそれを受けての退院促進/病院にいることを選ぶシュウイチさん/すれ違う私と病棟の考え/退院の障壁は、病院までの交通手段/「母さん。退院しても良いかな?」/孤立する私/「相手を見ているけど、同時に相手から見られている。」/自分を見失い、病院を退職
第4章 私があるのは、私という道具だけ
 市の「こころの健康相談」/病院の紹介を希望したキョウコさん/自分の実践を言葉にする
第5章 問題だと思っている人がいて、初めて問題になる
 休日・夜間の23条通報/近隣の悪口を大声で叫ぶハジメさん/どこで折り合うことができるか/大事だったのは役割
第6章 ただその場にいるだけのソーシャルワーカー
 強制的な介入を考える前に/近隣から嫌がらせをされていると話すタイチさん/タイチさんの話す世界/タイチさんと折り合うために──まずは脳神経外科へ/タイチさんと折り合うために──次に精神科へ/隣家から見られていると話すトシコさん/折り合うところを探す
おわりに

Ⅱ その人の世界に出会う──わたしの「世界」とその人の「世界」の接点で  山岸倫子
はじめに
第1章 わたし、育つ
 幼少期/中学時、代/高校時代/大学時代/大学院時代
第2章 わたし、出会う
 乖離する世界の中をすすむ/生活保護の現場を選んだワケ/聞きとる仕事の作法/イワシタさんという「存在」に学ぶ
第3章 わたし、冒険する
 ノボルさんの世界をかいまみる/他者の世界をうけいれる勇気のみなもと/わたしを魅了した「困難ケース」と言われる人びと
第4章 わたしと当事者性
 わたしがもっていた当事者性/当事者性とポジショニング
第5章 わたし、かかわる
 場をつくる/ユミさんの世界をひきだす/わたしの世界にひきずりこむ/ユミさんの力をひっぱり出す
第6章 彼女-わたし-社会
 チューニングする/具体的な困難をとりあつかう/「つなげる」を掘りさげる/つなぐ/終結に向ける
おわりに

あとがき  山岸倫子

謝辞

坂本いづみ・茨木尚子・竹端寛・二木泉・市川ヴィヴェカ『脱「いい子」のソーシャルワーク : 反抑圧的な実践と理論(仮)』現代書館,2020年10月

〇内容
反抑圧ソーシャルワークでは、人びとの「生きにくさ」を構造的な力の不均衡によって生まれるものと捉える。その理論と源流をひも解き、日本の福祉現場での実践可能性を検討。権力構造の是正のために、当事者への共感と自己省察を怠らず、ときに制度や規範への建設的批判や政治的活動をも行う=脱「いい子」のソーシャルワークを始めるための一冊。

〇目次

はじめに 
第1部 反抑圧的ソーシャルワークを知る
 第1章 反抑圧的ソーシャルワーク(AOP)とは
 第2章 カナダでのソーシャルワーク教育の状況と課題

第2部 反抑圧的ソーシャルワークの可能性
 第3章 「私」から始まる反抑圧ソーシャルワーク
 第4章 ささやき声の共鳴から生まれる私たちの反抑圧的ソーシャルワーク

第3部 反抑圧的ソーシャルワークと日本の現状
 第5章 日本のソーシャルワーク教育とAOP
 第6章 精神障害を問いなおす
 第7章 障害者運動における反抑圧的実践
 第8章 支援者エンパワメントとAOP

終章 座談会 明日から始める反抑圧的ソーシャルワークのタネ
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-3582-3.htm