2021年度介護報酬改定×ソーシャルワーカー×ICT

2021年度介護報酬改定の情報が、少しずつ具体的になってきました。現在注目しているのは2点。

1つ目は、特養・老健・介護付ホームなどでターミナルケア加算の算定要件として、看取りに関する協議等の参加者に生活相談員が明記される予定であること。

出典:厚生労働省令和3年度介護報酬改定の主な事項について」『第199回社会保障審議会介護給付費分科会』2021年1月18日,p10

2つ目は、居宅介護支援費(Ⅱ)が新設され、施設基準に「一定の情報通信機器(人工知能関連技術を活用したものを含む)の活用または事務職員の配置を行っている場合」が含まれる予定であること。

1つ目については、『人生の最終段階における医療・ケアの 決定プロセスに関するガイドライン』2018の解説編において、

・1)このガイドラインは、人生の最終段階を迎えた本人・家族等と医師をはじめとする医療・介護従事者が、最善の医療・ケアを作り上げるプロセスを示すガイドラインです。 2)そのためには担当の医師ばかりでなく、看護師やソーシャルワーカー、介護支援専門員等の介護従事者などの、医療・ケアチームで本人・家族等を支える体制を作ることが必要です。このことはいうまでもありませんが、特に人生の最終段階における医療・ケアにおいて重要なことです。(p2)

・医療・ケアチームとはどのようなものかは、医療機関等の規模や人員によって変わり得るものです。一般的には、担当の医師と看護師及びそれ以外の医療・介護従事者というのが基本形ですが、例えばソーシャルワーカーなど社会的な側面に配慮する人が参加することも想定されます。(p3)
・人が人生の最終段階を迎える際には、疼痛緩和ばかりでなく、他の種類の精神的・社会的問題も発生します。可能であれば、医療・ケアチームには、ソーシャルワーカーなど、社会的な側面に配慮する人やケアに関わる介護支援専門員などが参加することが望まれます。(p4)

といったように、ソーシャルワーカーの参画が求められていることとの整合性を図ったものと思われます。厳しい言い方をすれば、「形式を整えた」だけであって、ソーシャルワーカーに期待をしてのことではないと思います。そのため、該当する生活相談員・支援相談員は意思決定支援について学び・実践し、積極的に参加する必要があります。病院では臨床倫理のカンファレンスにソーシャルワーカーが出席することが少なくないですが、多職種でカンファレンスをしたという体を保つために呼ばれただけで、何も発言せずに終わるという実態も見聞きします。しっかりと、クライエントの権利擁護の視点から意見を述べる必要がありますし、そのためにはクライエントと日頃から援助関係を築いて意見の根拠を持つ必要があります。

2つ目については、ビデオ通話の環境整備に関わる改定項目と思います。無論、ケアマネがケアプランを41-44件に増やす際の施設基準と限定的ではありますが、その際に情報通信機器を選択することを期待します。まだまだ、「うちは、Zoomとかできる環境にないんで・・・」と病院と地域双方が言っていることが多いので、少しでも環境整備に貢献する手段が増えることは歓迎です。既に積極的にICTを活用している事業所もあります。

出典:「【最新版】居宅介護支援費 単位数一覧 <2021年4月介護報酬改定後>」『介護健康福祉お役立ち情報』2021年1月22日
https://carenote.jp/202104kyotakukaigoshien-tani/

既に、
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分)
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/korei/r20722-hoseiyosansoukatsu.html

・介護事業所ICT導入支援事業(愛知県)
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/korei/ictdounyuusienn.html
で事業所に情報通信機器を導入した居宅介護支援事業所もあるかと思います。介護支援連携指導料がケアマネとのビデオ通話でもOKとなっていることを考えると、withコロナにおいて入退院支援加算1の施設基準を満たすための地域側の環境も徐々に整っていくかなと思いました。ソーシャルワーカー部門も早急に情報通信機器の整備を行う必要があります。