「子どもの貧困や虐待の解決支援策として注目されるAIを活用した『スクールソーシャルワーク事業モデル』」『@DIME』2021年3月16日

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ライフハック系雑誌DIMEで、大阪府立大学の山野則子教授が主導するスクールソーシャルワークの事業システムについて、紹介記事が掲載されました。情報通信機器を前提にAIを使用することが含まれているため、このような雑誌に取り上げられたのだと思います。他職種同様にソーシャルワークについても様々情報が発信されることを歓迎します。

私が医療ソーシャルワーク分野でも長年実践してみたいと思っている取り組みであり、それがスクールソーシャルワーク分野で実用化されていることに注目しました。私のバイブルである橘高先生の『医療ソーシャルワーカーの業務と実践―援助内容データベースの構築ミネルヴァ書房,1997で構想された実践知データベースの応用が、四半世紀経過して技術的にもソーシャルワークの分野でいよいよ現実のものとなったことを大変嬉しく思います。

医師・看護師のように研究成果をベースとしたタイムリーかつ実践的な高品質の紹介雑誌が非常に少ないソーシャルワーカー業界のため、なかなか実践知が共有・蓄積と改善がされにくいのですが、ICTはその状況を改善する一方策だと思います。とは言え、ソーシャルワークに関する雑誌の創刊は今後も熱望しています。

なお、相川書房の季刊誌『ソーシャルワーク研究』にて、本事業システムの構想と実践について連載されていますので、興味のある方はご覧ください。

私個人で実践知データベース化とAIによる推奨実践事例のプッシュ通知のシステム構築は残念ながら能力的にできないため、Microsoft OneNoteを活用した、実践知データベースを現在法人内MSW同士で利用しています。

詳しくは、拙論をご覧頂ければと思います。拙論に記載した通り、今後は地域のMSWと共有して利用できるようにするフェーズに移行する必要性を感じています。技術的・手続き的課題はありますが、一つずつ解決していきたいと思います。

樋渡貴晴「当法人における医療ソーシャルワーカー間のOneNoteを用いた知識共有の試み」日本医療社会福祉協会『医療と福祉』№106,Vol.53-№2,2019,pp.8-16


「子どもの貧困や虐待の解決支援策として注目されるAIを活用した『スクールソーシャルワーク事業モデル』」『@DIME』2021年3月16日
https://dime.jp/genre/1099994/

以下、一部転載。

過去のスクールソーシャルワーカーが実施した「ケア事例」のデータベースに対し、最新のAI(機械学習)技術を用いて熟練者知識ベースを適切に修正する。

タブレットスマートフォンなどの携帯端末上で実行可能なソフトウェア上で、複数のケアを推奨度付きで支援策を提案してくれる。

提示された支援策には、 熟練者の思考や暗黙知が反映されていることから、熟練者の幅広いノウハウと妥当性の高い支援により、速やかにケアに取り掛かれるのがメリットだ。

これにより、学校の担任一人で抱え込むことがなくなる。山野教授は、ここを主眼に置いているという。スクリーニングシステム(YOSS)AIを使うことで、担任が一人で抱え込むことなく、組織で共有し、どのように対応するのかを明確に決定させることができる。これが、子どもの問題の早期対応につながるという。