「三者三論 『階層』社会?」『朝日新聞』2005年3月4日(17面)を読んで/メモ

山田昌弘橋爪大三郎内橋克人による階層社会についての三者三論。山田昌弘氏が同氏の『若者の将来設計における「子育てリスク」意識の研究』の結果を引用して、現在の若者が将来へ希望を持てなくなっていると述べている。そして、「戦後の若者が経験したことのない事態だった。」と。しかし、同氏が前提としている、戦後の若者は現在よりももっと将来に希望を持っていた、という意識はどこから来ているのだろうか?戦後も大体の若者は、将来に希望を持っていなかったとは言えないのか。

なお、生活水準の格差の広がりについて、同氏の「重要なのはこの格差が給料が多いか少ないかという『量的格差』にとどまらず、・・・『立場格差』『質的格差』につながっている」という指摘は賛成。

更に、野宿労働者への支援の時にも強く感じたが、上記の差が続くことによって起こる弊害として「社会的リソースへのアクセス権限の格差」が挙げられる。

それは、ブルデュー文化資本論とも関連し、「文化資本に格差があるということは、社会的リソースへのアクセス権限に格差があるということである。その人の所属する文化資本層に応じてアクセスできる社会的リソースの量は異なる。文化資本は経済資本で購入できるものではなく、単に収入が増えれば解決できるものではない。文化資本の格差による社会への影響は甚大である。」と教えてくれたのは内田樹氏。

文化資本格差社会において、社会的リソースへのアクセスを支援することと、ICFのparticipationを支援することは、恐らく関連があり、ソーシャルワーカーの役割を意味付けることにもなるのではないか。

◆福原信義・後藤清恵編『神経難病患者におけるサポートマニュアル-心理的サポートと集団リハビリテーション-』2002.3

「第5章 神経難病におけるソーシャルワーク」の「2.新潟県の難病対策事業の現状」は、事業の一覧が整理されており有用。

http://www.saigata-nh.go.jp/nanbyo/shinri/shinriindex.htm

◆天野マキ「アメリカの高齢者施策と高齢者ソーシャルワークの現状」『東洋大学社会学部紀要』第41-2号,2004,pp.85-108

時間があるときにでも読もう。ボストン大学大学院Geriatric Social Work研究所。気になる。