鈴木邦夫「リハビリテーション病院における退院援助実践の取り組み」『医療ソーシャルワーク』54巻第1号,2005,pp31-35

【価値判断】○    【論文の種類】実践報告

【コメント】

愛知県春日井市にあるリハビリテーション病院におけるMSWの退院援助に関する実践報告。

同雑誌は、愛知県医療ソーシャルワーカー協会が発行しているもの。

総論的ではなく、実践的な内容に徹して書かれており大変読み易い。こういう良質な実践報告が、様々な現場から活発に文章化されれば、我々の実践はもっと充実すると思うのだが、なかなか現実は厳しいか・・・

著者が今後の課題と目標に挙げている中(pp34-35)で、次の3点については同感。

①退院援助実践の質的向上

特に患者の心身状況から医療福祉アセスメントを実践する上で、医療的な知識不足が目立つ。心身状況から生活障害を推測出来るように事例研究を実施促進したい。

②退院前連絡会の定着、院内スタッフの積極的参加を促進

退院援助はMSWのみが実施するものではない。各専門職種が自己の領域にて実施していくものである。外部機関との連携をMSWがコーディネートの上、他の職種が参加しやすい状況にする。

③事例分析(数量化・客観的指標によるデータの蓄積・解析)による根拠ある退院援助

また、参考資料として添付されていた『病院機能評価DATA』及び『ソーシャルワークサマリー』のフォーマットも参考になった。

学生時代、こういった業界誌の存在の有無や入手方法がなかなか分からず途方に暮れたことがある。今の学生には、基礎教育と平行して、早い段階からこの様な業界誌を手にとって読める環境を教員の側で確保してあげて欲しい。