竹本与志人ほか「認知症高齢者のケアマネジメントにおける介護支援専門員の社会保障制度の理解と活用状況-医療職と福祉職との比較を通して-」『厚生の指標』52-6,2005,pp.15-20

【価値判断】○   【論文の種類】量的調査

【コメント】

first authorは、現役MSW。修論作成時、先行研究(竹本1997)にお世話になったことがある。介護支援専門員の特性について議論する場合に注意しなければいけないのは、ケアマネ医療職の大部分は看護職であり、ケアマネ福祉職の大部分は介護福祉士であって、社会福祉士を持っている元MSWはマイノリティーであるという事実である。

著者らは、認知症高齢者の認知症に対する通院時に「通院医療費公費負担制度」の活用可能性が高いにもかかわらず、両職種とも制度そのものが理解されていない(両職種3割近くの人が「分からない」と回答)という調査結果を明らかにし、介護支援専門員現任者研修等で事例を用いた制度活用の演習を行う必要があると述べている。私の地域ではどうなのだろうかと思った。

また、社会保障制度の活用状況に関する回答をクラスター分析を用いてカテゴライズし、コンボイモデルでそれを模式化するという方法は、参考になった。

ちなみに、介護支援専門員が活用している社会保障制度の中で、活用状況が相対的に高いのは、①訪問介護の利用料軽減措置制度(68%)であり、以下、②おむつ代の医療費控除(52%)、③市町村独自の介護手当て(48%)、④入院時食事療養費の減額制度(37%)、⑤老人医療の自己負担額減免制度(36%)であった。

しかし、④や⑤を介護支援専門員が知っていることにこしたことはないが、どの時点で本人・家族に説明するタイミングがあるのか、経験の少ない私には分からなかった。

【参考文献】

竹本与志人ほか「住所不定患者へのケースワーク」『岡山赤十字病院医学雑誌』8,1997,pp.33-40