伊藤周平『「構造改革」と社会保障』萌文社,2002.11


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最近、漫然と仕事をしてしまっているので、批判的精神を取り戻すために読む。

・ここでいわれている「自由」とは、F・A・ハイエクの言葉を借りれば、「強制の不在」という消極的な意味の自由である(Hayek,1960,chap.1).(p29)

Hayek,F.A.The Constitution of Liberty,Routledge and Kegan Paul,1960.[気賀健三ほか訳『ハイエク全集5/自由の条件Ⅰ・自由の価値』春秋社,1986]

・国の「参酌基準」(介護保険施設入所者を65歳以上人口の3.4%に抑えるというもの)により、施設整備数には事実上の上限が設定されている。(p94)

→なお、2001(平成13)年12月の第3回社会保障審議会介護給付費分科会で、厚労省から、次期介護保険事業計画の最終年にあたる2007(平成19)年度の施設サービスの参酌基準を同年度の65歳以上のおおむね、3.2%(特別養護老人ホーム1.5%、介護老人保健施設1.1%、介護療養型医療施設0.6%)とすることが示されている。この割合は現在の参酌基準よりも介護療養型を小さくした数値になっている。(p122:注)

介護保険上は、保険者がサービス費用(9割)を要介護被保険者に支給し、要介護被保険者が自己負担分(1割)とあわせて指定事業者に費用を支払うという形態が基本とされ、保険者から指定事業者にサービス費用を直接支払うという代理受領方式は、あくまでも便宜的な方法とされている点に注意すべきである。(p159)

介護保険制度の導入によって、本来の社会保障の権利であるサービス請求権が商品的権利へ大きく変容しているといってもよい。(p171)

・負担は能力に応じて、給付は必要に応じて(p185)