高野龍昭(たかのたつあき)

現在:東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科講師

http://www.toyo.ac.jp/life-d/s/t_takano.html

前職:益美医師会居宅介護支援事業所・(島根県益田市立在宅介護支援センター くにさき苑 介護支援専門員


【論文】

・高野龍昭「脳外科疾患発症・受傷患者の生活支援と医療福祉サービス 第1回 脳外科疾患患者は急性期後にどのような生活の過程をたどるか―総論」『季刊 脳外科看護』vol.4,№1,2005

【座談会】

「介護保険制度実施後1年半を経て居宅介護支援業務の課題を探る」『週間医学界新聞』2001年10月29日号

・(高野)「痴呆のケアは個別性が非常に強く、普遍化されていません。現場でのケアの担当者が経験と直感でサービスを提供してきたことが、うまくいったとしてもそれはたまたまでしかなく、分析も記録もきちんとしていなかった。施設内では、別の職員もそこからヒントを得てケアを提供するから、そこの施設だけは非常にレベルが高いけれども、そのノウハウはまったく外に伝わらず、施設の中だけに留まってしまいます。やはり分析や記録、その後のモニタリングが足りないのでしょう。しかし、医療では普遍化されたノウハウを蓄積しようと努力がされてきたと思います。」

・(高野)「福祉と医療では、文章でやりとりをするのか、口頭だけですますのかというルールの違いがありますね。両方を股に掛けて仕事をするので強く感じるのですが、福祉の世界では口頭だけで済ましてしまうところを、医療の世界では必ず文章でやりとりします。医療と連携しようと思うなら、福祉側もそういう習慣を身に着ける必要があると思います。

・(司会【新津ふみ子:看護師&社会福祉士】から「福祉の現場では、共通言語を持っていなかったということでしょうか。」と問われて。)(高野)「確かに福祉の中には共通言語はありませんでした。よくも悪くも職人芸の世界だったわけです。『福祉は人だ。情熱だ』というような言い方で、その個人が持っている資質に尽きてしまいます。」

・(新津)「もちろん個人差はありますが、福祉職は本を読んだり参考にしたりするという訓練が不十分なような気がします。一方、医療は日進月歩ですから、新しいことを知らないと不安になります。だから、学生時代からなけなしのお金で本を買って読むんですね。卒業後も、1冊は専門雑誌を読んでいないとついていけないという感覚があります。技術や知識で競い合うところがある。それが生活障害への対応となると、必ずしも日進月歩ではないので、あまり必要性を感じないというか・・・。」

・(高野)「福祉の理論やスキルも日進月歩です。ところが誰もその情報を収集して発信したりしないので、日進月歩の情報が見えてこない。そして、現場と研究者の乖離が起こってしまうのです。実際、ソーシャルワークの理論は急速に進んでいますが、現場にそれが活かされているかと言ったら、まったくと言っていいほどそうはなっていない。現場と研究者、双方に問題があると思いますね。」