介護老人保健施設における補足給付適用率

全国47都道府県に設立されている公法人、国民健康保険団体連合会(国保連合会)を会員として構成されている国民健康保険中央会では、毎月レセプトデータに基づいて、「介護給付費の状況」を発表している。そして、06年2月15日発表の05年10月分からは、補足給付需給件数(特定入所者介護サービス費件数)を掲載している。 これを受けて、『社会保険旬報』06年3月1月号(№2272)では、「補足給付は入所者の5~8割」という報道をしている。大変興味深いので以下、本文を掲載。(赤文字は、筆者加工)


昨年10月の介護保険施設等の給付見直しにともない、低所得者の負担軽減をはかるため食費・居住費の補足給付(特定入所者介護サービス費の支給)が導入されたが、その件数や金額が国保中央会が2月14日に発表した「平成17年10~11月分の介護費等の動向」で明らかになった。 補足給付の件数は介護保険施設と短期入所をあわせると、10月が56万3624件(全体106万280件の53.2%)、11月が60万1699件(全体108万5272件の55.4%)という状況で、利用者数(給付件数)に占める割合は5割をこえており、10月と比べると11月は2.2ポイント増加している。 介護保険施設に限ると、10月が49万4717件(全体79万68件の62.6%)、11月が52万4948件(同80万9944件の64.8%)である。11月分の件数を3施設別にみると、▼特養=32万5133件で合計38万8361件の83.7%老健=13万9481件で合計29万5022件の47.3%▼介護療養型=6万334件で合計12万6561件の47.7%という状況で、特養では8割をこえており、老健や療養型も5割近くを占める。なお、短期入所は2割から3割弱程度となっている。 補足給付の合計件数(11月)を食費・居住費別にみると、食費が59万9763件、居住費が17万783件。 補足給付の金額(11月)をみると、全体では168億5930万円(食費148億370万円、居住費20億5560万円)。内訳は、介護保険施設が160億8838万円、短期入所が7億7091万円で施設が9割以上を占めている。11月の結果をもとに1年間の補足給付の金額を単純計算すると、約2000億円にのぼる。
(感想) 私の勤務している老健では、インテーク面接及び契約面接の段階で補足給付(介護保険負担限度額認定)について説明を行っているため、基本的に申請漏れは少ない。それでも、入所者のうち補足給付適用率は1割程度のため、老健の全国値が5割近くであることに大変驚いた。 ちなみに、05年12月分の「介護給付費の状況」も既に公表されており、このうち介護保険3施設の補足給付適用率を計算すると、特養84.2%老健48.3%、介護療養型49.2%と軒並み微増傾向にあった。 勤務先の老健の適用率が低い理由として、勤務先の地域の市町村民家計所得が県内でもかなり上位であることから、経済的に余裕のある利用者が多いことが挙げられる。 自分の勤務先の常識が、世間の老健の常識とは必ずしも一致しない、ということを改めて実感した記事であった。(在宅復帰率もまたしかりである。)