学生の感想文

5月24日(水)、母校の講義で3年生を対象に「介護老人保健施設における支援相談員の業務」というお話をさせて頂いた。160名を超える学生が支援相談員がどの様な仕事をしているのかについて聞いてくれた訳である。社会福祉の分野においても、MSW志望の学生にとって、老健は就職先の候補として、2の次になってしまい、やはり病院で働くことを第一希望としている学生が多い中で、老健の魅力について話をする機会を与えられたことは、チャンスだと思った。参加者の一部には、就職先を模索している4年生も混じっていた様で、講義の後に、「スイマセン、実習させてもらえませんか・・・」と相談に来てくれた学生が2名いた。大変驚いた。 というのも、講義開始以後も話し声が続いていたので、「あー、あまり聞いてくれてないかな。」と思っていたのだが、最後に回収した学生の感想文や上述の実習希望者をみて、意外ときちんと聞いてくれていたことに驚いたのである。 ちなみに、教員になった同期の友人や、先輩たちから「最近の学生は映像もないと、ちゃんと聞いてくれないよ。」というアドバイスもらっていた。「えー、本当かなー。」と半信半疑ではあったが、仕方がないので報告資料のパワーポイントの中に、職場の写真を10枚程度入れた。すると、実際に講義の中でそこの部分になると、アドバイス通り、驚くほど皆さん静かに講義を聴いてくれたのであった。恐ろしや、最近の学生たち・・・。 さて、講義で私が伝えたかったことは、4月29日の記事「支援相談員業務の光と影」で述べた、それぞれ2点の論点であったが、概ねこれらの論点は、学生の皆さんに伝わったことが感想文を読んで分かった。 感想文を読むと、病院でのMSW志望者が圧倒的に多かったが、一般病床等の機能上、構造的に転院援助が業務の中心にならざるを得ない(従来のMSWの援助がなくなった訳ではないので誤解のないように。また、その中で新たな役割を担い活躍しているMSWもいる。)現状において、老健では、利用者と十分な関わりが持てる点や、退所後も、継続的に地域の中で関わることが出来るといった点が、やはり学生の興味を集めた。感想文の中で、老健の支援相談員の就職も検討したいという学生がちらほら見られ、我が意を得たりと思った。 また、注意点における、利用者・家族を「管理」、更には「加工」してしまう危険性をはらんでいるという負の側面については、将来支援相談員として働く上で、是非覚えておいて欲しい視点であった。そのことに驚いた学生もいたが、就職前に知ってもらえただけでも、お話した甲斐があったと思った。 それ以外にも、私が考える「支援相談員に求められる能力」として、以下4点を挙げさせて頂いた。 ①ソーシャルワーク技術 ②法・省令・通知や学術論文などの情報収集・処理・活用能力 ③医学知識一般 ④経営センス これらについても概ね伝わったようだ。数年後、「以前講義を受けた者です。あれから本当に支援相談員になりました。」と、私に話しかけてくれる人が一人でもいたら、私の役目は果たせたのではないかと、やや楽観視しながら、家路に着いたのであった。