「DPC病院の再入院率を調査 DPC評価分科会」『社会保険旬報』№2279,2006,p30

以下、本文より掲載。さて、当法人の再入院率はどのように変化するであろうか。また、MSWの業務にどの様な影響を与えるだろうか。 関連資料:再入院に係る調査について(WAM-NET)


厚生労働省は、4月27日の診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会(会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院)で、病気や、診断内容ごとに1日あたりの医療費を定額払い(DPC)にしている病院の再入院率が、DPC導入以降高まっていることを示す調査結果を公表した。 調査は、DPCの導入によって在院日数が短縮する傾向があることを踏まえ、在院日数の短縮が医療サービスの低下に結びついていないかどうかを再入院の頻度やその理由を資料として検討することを目的に実施した。 再入院率が高まっていることを示す結果が得られたことで、いわゆる粗診粗療を招いた可能性も否定できないが、治療法の変化などを理由とする計画的再入院が増えていることも背景にあり、引き続き経年的な動向の把握が重要と結論付けている。 対象となったの病院はDPC対象病院82病院、試行的適用病院62病院、調査協力病院228病院で、合計372病院。病院名をすべて明らかにして指標を公表している。 平成14年度のDPC対象病院の平均再入院率は7.7%だったが17年度には10.7%になり、3%高くなった。DPC試行的適用病院では、15年度の8.5%から17年度には10.1%になり、1.6%上がった。15年度からのDPC調査協力病院では15年度の7.4%から17年度は9.5%となり、2.1%上がった。 再入院率が最も高かったのは、DPC試行的適用病院の日鋼記念病院の26.2%、次いでDPC対象病院の国立がんセンター中央病院の23.6%、16年度調査協力病院の旭川赤十字病院の23.4%。 一方、再入院率が最も低かったのは、15年度調査協力病院の総合大雄会病院3.6%、次いでDPC試行的適用病院の禎心会病院と17年度調査協力病院の医仁会中村記念病院が同3.8%。なお旭川赤十字病院と総合大雄会病院、禎心会病院では17年度は前年度と比べて再入院率が下がっている。 再入院の理由としては、がんの場合などで化学療法・放射線療法のため計画的に再入院する例が少なくなく、計画的再入院の率が上昇している。一方、予期しない病状の再発や合併症のための再入院率は下降している。 また医療機関でかなりのばらつきがあり、DPCの導入後、再入院率が高くなったから、医療サービスが低下したとは言えない状況だ。 調査は7月から10月までの4ヶ月間に収集したデータをもとに、6週間以内に識別IDの重複があれば再入院と判定し、集計した。